1回目 采女由紀子の独白
~采女由紀子の独白~
私は伊藤ルキが嫌いだ。
あいつは私と同じ女子校に通っているわけだけど、姿を見るだけでイライラする。何度か喧嘩を吹っ掛けたが私の手下たちは返り討ちにあっている。その時の映像を隠し撮りして、あとであいつに脅そうかとも思ったが私達の悪行が幾つもあいつに撮られていた。何も手出しが出来なくなったしまった。
朝倉と最初に遊んでいたのは私だったのに…。あいつが弱っている所を優しく慰めて信頼を得たら色々なことで遊んでやろうと思ったのに…。
ふざけんな!何私の獲物を横取りしているのかしら?あいつ何様なの?私は采女由紀子よ。あのクソ伊藤が…。
万死に値するわ!いつか私自身の手で伊藤を苦しめて朝倉から遠ざけて…ふふふ。想像しただけで濡れてきやがる…。
そんな想像をして日々を過ごしているとある噂が学校に広がった。「異能力鬼ごっこ」というものが流行っているらしい。一体どんなものかと聞いてみると言葉通り鬼ごっこの最中にのみ「異能力」が授けられ、制限時間まで逃げきれればなんでも願いが叶うというものらしい。その噂を聞いた瞬間私は「これだ!」と思った。普通ならこんな噂に「これだ」なんて言わないけどね…。この時の私はとても精神が不安定だったみたいね。でもこれなら物理的・社会的に不可能と言われている願いでも可能になる可能性が高い。
しかし肝心のゲームに参加する方法が全く分からなかった。一体どうすればそのゲームに参加できるかさっぱり分からない。噂では噂を流した者はどういうわけか行方不明になっている…。新聞部にも何か知らないか探ってみたが、特に目ぼしい情報は手に入らなかった…。
わざわざ校外に行って情報を探しに行って聞き込みをするも「異能力鬼ごっこ?なにそれ?」と鼻で笑われた時は、かなりイラついた。ズタズタに引き裂いてやろうかと思ったくらいだ。でも私はそれをしなかった。なぜか?こいつらは潰す価値のない人肉だからだ…。私が潰さなくてもそのうち勝手に死んでいるだろう。普段足元に歩いている蟻を潰さない人間のように勝手に殺されてくれるだろう…。
まぁそれはそうだよな。もし私がルキを苦しめるなんて目標がなくて、異能力鬼ごっこなんて言葉を聞いたら似たような反応はするだろう。情報を探しては疲れて家に帰って寝るという日々を繰り返していたら、ある日スマートフォンに知らないアドレスからメールが来ていた。怪しいなと思いつつもメールの中身を開いて見ると目を見開いた。
なぜかというと、それは私が喉から手が出るほど欲しがっていた「異能力鬼ごっこ」の招待状が届いていたからだ。何も怪しまず招待を受けると返信をすると、日時と場所が書かれていた。これに勝って伊藤を…。いや、伊藤の前で朝倉に何かさせるというのもありか…?っは!にやけが止まらないぜ…。早くゲームが始まらないかな~♪