〜帰還〜
ーー場所は移り、ある館。
「ただいま戻りました、主よ」
「うむ。ご苦労だった。首尾はどうだ?」
「『悪魔公ヴェルダの始末』も含め、ご随意の結果になったと思われます」
「そうか。で、どうだ?新しい悪魔公達は生まれそうか?」
「あの国では主都に集めていた民の半数は死亡しました。現在あの国では魔物への恨みが蔓延しています。悪魔、悪魔公含め、何体かは生まれることになるでしょう。『あの単細胞』の命の代わりに、新しい悪魔公が誕生となれば間違いなくプラスでございます。『あれ』にはこの2年間苦労をさせられましたからね」
「ワハハ、お前がそこまで扱いに苦労するとはな!愉快なこともあるものだ!」
「・・・アレを抑えておくのは本当に苦労したのですよ、何せ待つ、ということを全く知りませんでした。中級悪魔ごときがとバカにされ続けましたからね」
「お前を知っていれば侮ることはないのだろうがな。肩書きが『中級悪魔』というだけで、戦闘力も頭脳も誰もお前には勝てないのだから。」
「確かに力を示せば簡単に扱えたのでしょうが、龍の器にはまだ侮っていて欲しいですからね。中級悪魔にしては多少強いということはバレたと思いますが、その程度で済めば安いものです」
「最終局面まで全て計算でのことか。・・・恐ろしいことだな」
「恐れ入ります」
恭しく頭を下げる『中級悪魔』。自分に刃が向かないようにしなければ、と思う主であった。
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グレンたちはベルタの街で復興の手伝いを行なっていた。
エメリアは『心魂』の力を使っての瓦礫の撤去、ユーリは『転移』を使っての他の国との早急な情報交換。どちらとも『新王フッキ』の頼みによってしていることだった。
その彼本人も『心魂』の力を使って土地の整備、道の整備を先頭で行っていた。新王として政治的なこともこなしつつ、1日たりとも休まず、復興をこなしていく。
そんな彼を見て民たちも負けてはいられないと頑張っているようだ。
そしてグレンはというと、ベルーガの前に造られてしまった土壁の前にやってきていた。
これをそのままにしていると、主都との間にずっと壁があることになる。それでは困るのでなんとかならないか、とフッキから相談されたのだ。
そこでグレンの出番だ。
彼はベルーガの街の領主を伴い、壁の前に立っていた。
「開ける穴の大きさはどのぐらいあればいいですか?」
「・・・馬車が2台すれ違える幅があれば何も文句はありませんが・・・ほんとに可能なのですか?」
「ええ、大丈夫だと思いますよ」
「しかし、あのSランクパーティ『雷光の槌』の面々ですらお手上げだったと聞きましたが・・・」
それは事実だ。当初壁が壊せるかどうか試したそうだが、ただの土壁だと思いきや、厚さもさることながら、術者の魔法的な防御がかかっているのだ。それが強く作用しており、壁を傷つけることはできなかった。
Sランクの面々でも無理なものをどうにかできる人間がいるはずがない。そう思っているのかも知れない。
「ではやってみます。離れていてください」
グレンは彼らがしっかり離れたことを確認した。
『心魂来臨、握り潰せーー黒皇龍』
黒剣を手に持ったグレンは、その場で前に向け届かないはずの刺突を放つ。
すると次の瞬間、ボコっという音と共に目の前の壁がくり抜かれた。
それをみたグレンは何発も突きを放つ。
そうしたことでできた穴は、まるできちんと整備されたように綺麗に穴が空いていた。
高さは十分。馬車が横並びに4台は並ぶスペースが確保されたのだった。
それをみた領主御一行は冷や汗を垂らしながら、感謝を述べたのだった。
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それから何日か、俺たちが必要なほどの大まかな仕事がなくなり、手伝えることは細々としたものになってきていた。
そして今俺たち家族とサラは新王フッキの元へ訪れていた。
「フッキさん、そろそろ俺たちは家に帰りたいと思います。龍王国ドラゴニアの王や姫にも直接報告もしたいことですし」
「・・・うむ、本当に、本当に助かった。貴殿たちがいなければこの国の民は残らず蹂躙されていただろう。本当にありがとう」
「困った時はお互い様ですからね。
・・・それからサラのことは本当にこちらで預かっていいのですね?」
「・・・エメリア殿とユーリ殿にとても懐いているようでな、私もこれから忙しく、付きっきりで面倒は見きれなくなる。サラもそれを望んでいるし、重ね重ねよろしく頼む」
「わかりました。復興頑張ってください。フッキさん」
「ああ、気をつけてな」
俺たちは握手を交わす。そして振り向いた。
「さあ、久しぶりの家へ帰ろうか」
こんばんは。
ここで2章終わります。
新しく小説を書き始めました。こちらもよろしくお願いします。
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