〜終戦、その後〜
あの事件の収束から1週間、黄金都市ベルタからの避難民、そして避難場所であるベルーガの民はフッキの名の元に、結束を見せていた。
ベルーガの街は特に損害もなく終わったため、備蓄を使って避難民の食料等を賄った。
やがてすぐにベルタの街へ様子を見にいった先遣隊が戻ってきて、危険がないこと、そしてあの街の現状を報告すると、すぐにベルタの街へ戻る人間達が現れた。ベルーガの街には、簡易の冒険者ギルド支部も設置され、そこから護衛も出されることとなった。
その報告の中に、英雄王の死体を発見したという報告もあった。魔物にやられたのではなく、自決したものと思われるという報告もあり、英雄王という名は、一気に地に落ちた。ラ=ジャジャという名は、この国危機に何もしなかった堕落王として名を語られていくこととなる。
だがこの国の未来を考えれば、彼の築いた『黄金都市ベルタ』を捨てることはできない。前王が残した唯一のものがこの国の復興につながるものなのだ。
フッキはそれを理解していた。
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フッキの父は王ではあったが、愚王だった。
民に税を課し、息子には厳しい教育を課す。全くの自由もなく育った。フッキはそんな風になることを望んではいなかった。
自由が欲しい。そう思って家を飛び出した。冒険者になったのだ。
彼はその自由な生活を謳歌し、またそれが性に合っていたこともあり、どんどん名を馳せていった。やがて冒険者の間でも有名なSランクとなる。
だがそうなった頃、十分に歳を取った彼が思ったのは自分が飛び出した国、父のことだった。自分にとっては良い父ではなかった。民にとってもいい王ではなかっただろう。
だが外の国を回れば嫌でもわかった。父は国を守るため、あの土地では王としてそうするしかなかったのだろうと思うようになっていたのだった。
そんなことを思いながらも何も行動を起こせなかったある日、クーデターが起きた、と聞いた。王は死に、新王が即位したと。
自分には何もいう資格はない。
彼は国に戻った。新王になって国は混乱していないか、民は大丈夫かと。
だがそんな心配は杞憂に終わった。
出街税は廃止され、街ごとの連携も取れるようになっていて、自分が知る国だった頃よりもはるかに豊かになっていて、金という特産品が並ぶ。
黄金都市ベルタでは特にそれは顕著だった。
何も心配はなかった。彼は冒険者として新しくできてすぐの支部に顔を出し、状況を聞いた。
街も栄え、冒険者ギルドもできた。唯一の心配は新王が政治が上手くないかもしれないというだけだった。
それでも何か気になり、新王を調べることにした。それは肉親を殺されたことによる恨みのようなものだったのかもしれないが、とにかく調べて回った。
そうして新王の周りを調べていくうちに彼は深くまで入り込みすぎてしまった。英雄王と協力関係にあると思われる悪魔に腕を千切られることになったのだ。
『これに懲りたらうろちょろするのはやめるんだな!』
Sランクの冒険者である彼が、相手の姿も確認できず腕を飛ばされた。
振り向いてもそこには誰もいない。新王は得体の知れないモノと繋がっている。そのことだけはわかった。
血をどくどくと流しながらフラフラと彷徨い歩き、辿り着いたのは裏路地だった。
やがて傷が癒えた彼はこの国闇の部分をまとめ、生活の面倒を見ながら、自分は王を監視する、という任を続けて行くことになったのだった。
ーーそして現在、危機を乗り越えたフッキは徐々に新たなる王として、民に認められ始めている。
民の危機に身を呈した者こそ王。この国の民を最も守った者が王になる資格があるのだ。
もうすぐ2章終わりです。




