〜意外な終わり〜
エメリアは冷や汗を流しながら目の前の悪魔ラスティと対峙していた。
追いついたと思ったが、まだ実力差がある。どうすればこの悪魔に勝てるのだろうか・・・。
油断せず、目の前の相手を見つめ、距離を保つ。
が、その均衡は意外な形で破られた。どこかを見たと思ったら、いきなりラスティが魔装を解除したのだ。同時に2本の黒剣も消える。
『今日のところはここら辺で引かせて頂きます。
あちらも終わったようなので、命令はここまでです。
・・・それから怖い人が近づいてきているのでね。
ではまた。ごきげんようお嬢さん』
「ちょっと・・・!!」
引き留めようとしたエメリアだったが、引き留められる実力はないのだ。去ってくれて幸運とさえ言える。彼女は出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。
ラスティは『転移』で消えていった。
それにしてもあの悪魔ラスティはどういうつもりなのだろうか。
はっきり言って全然本気を出していなさそうだった。
殺そうと思えば殺せたはずだ。何が目的なのか、そして彼に指示を出せる人物とは何者なのか。
そして彼の言動で、彼以外にこの国にいる悪魔公が一人。それとは別に彼に指示を出している人物が一人。これで3人の悪魔がいることは確定した。
・・・精一杯やった。でも中級悪魔にも勝てなかった。これから自分はどうしたらいいのか・・・。
数分後、それと入れ替わるようにユーリが転移してきた。
「エメリア姉!大丈夫なのです・・・!?」
「・・・ええ、悪魔と少し戦いましたが、大丈夫です。
心配してくれてありがとう」
「悪魔!!やっぱり悪魔がいたなのですね!」
「・・・やっぱりってどういうことかしら・・・?」
ユーリはこちら側であったことを一つ一つ丁寧に説明した。
「・・・そうですか、色々驚きはありますが・・・
今はとりあえずよくがんばりました。ユーリが無事で嬉しく思います。
亡くなった方々の埋葬や、これからのこの国の復興もできることなら手伝いましょう」
「・・・はい!なのです・・・」
亡くなった人のことを思うとやりきれないこともあるのだろう。自分の力のなさを悔しく思っているかもしれない。
「あなたはあなたにしかできないことを頑張りました。それは誇っていいことです。
ユーリの力のおかげで犠牲はかなり減った。胸を張りなさい」
「・・・はいっ!!!」
「とりあえず今はグレンとの合流を目指しましょう。
魔物が片付いたのなら、あとは『悪魔公』だけです」
「わかったなのです!!」
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エメリアとユーリはベルーガの街に転移してきた。
そこには逃げてきた民がごった返しているのが見えた。
これからどうしたらいいのか、亡くなった自分の家族を弔えないのか。みんなどうしたらいいか途方にくれているようだ。
発展したベルタの街も魔物に蹂躙されてグシャグシャになってしまっているだろう。最悪の場合、また最初からやりなおしだ。
そんな中寒い夜に備えて、フッキが先導して毛布を配ったり、炊き出しへの誘導を行なっていた。
そう言った動きのおかげで、民達は少しずつではあるが落ち着きを取り戻していったのだった。




