〜希望〜
『雷光の槌』リーダーのクラネルは土壁を背にして魔物達を迎え撃っていた。街への直線距離は近いのに街への道は大きな土壁によって阻まれてしまっている。
迂回しようにもこの土壁の端はかなり遠い。広範囲に渡って広がっているのだ。この土壁は間違いなく人為的なものだ。しかしこんな大規模な魔法は・・・誰ができるというのか。それができる人間が魔物側に味方についている?・・・まさかこれが噂に聞く悪魔の力か?
土壁は越えられない、ならば迂回するしかないか。
そんなことを考えている間に魔物達に追いつかれてしまったのだ。
迎え撃つ、という選択肢をとることにした。護衛をある程度広げて護衛対象の大人数を守る。
問題は魔物の数が多すぎることだ。ここを守っているだけではすぐに突破されるだろう。
どう頑張っても護衛の人数が足りない。
そう考えていると、護衛の一角が崩れた。そこから民の方へ侵入される。一人に被害が出る。それだけで民もうがパニック状態になるのを避ける手段はなかった。とにかく魔物から距離を取ろうと壁伝いに左右へと走って逃げていく。
「「「うわああぁぁ!逃げろぉー!!」」」
誰かが叫び声を上げ出したらもうみんなパニックだ、バラバラに散った人間から魔物に狩られていく。
そうなってしまってはいくらSランクパーティといえどもやれることは少ない。
自分たちは『心魂』を出して戦える。近くにいる民は守れる。だが魔物も雑魚ばかりではないのだ。多少苦戦する個体もいる。どう頑張っても、この魔物の数はこの護衛の数では守りきれない。
周りでは護衛対象が魔物にどんどん殺されていく。血がそこらじゅうで舞っているのだ。
『絶望』
その言葉がその場にいる全員の頭によぎる。
その時壁の向こうからよく通る男の声が聞こえた。
「護衛の人間よ!聞こえるか!民をこの壁に向かって右に逃がせ!
俺たちがそっちの先で迎える!多少戦力がある。壁を迂回して街へと民を入れるんだ!」
その声は唯一の希望だった。
「わかった!民達をそちらへ逃がす!頼むぞ!」
そうしてパニックの民へと号令をかける。かなりの民がやられてしまった。
・・・だが今は生き残った人間だけでも助けなくては。クラネルは大声で全員に伝える。
「壁に向かって右へと全力で走れ!!そこで向こうの迎えの戦力と合流するんだ!!」
その声を聞き、民達は全力で駆け出した。それしか助かる道はない。誰もが真剣に走り始めたのだった。
今日6話目です。また明日更新します。




