〜エメリアの戦い〜
エメリアは自分で自分に課した役目を果たしていた。
『心魂』の力を纏って剣を振り続ける。
たまに強い魔物もいる。が、今の彼女の力の前では、『一撃で死なないだけ』で、続けて二撃目を与えた時には大抵は消滅していく。
そんな彼女の足元には何千という数え切れないほどの魔石が転がっていた。
だがどれだけ片付けても敵がいなくならない。数が多すぎるのだ。
それにここを片付けたらユーリの元に合流に向かう。更なる戦闘に備え、無駄な力は使わない様にしなければならない。
彼女は他のことにも注意を向ける。
おそらく今頃他の門は突破されているだろう。そろそろ切り上げて、ユーリとの合流を優先するべきか。
そう考えていると、魔物達の動きが急に鈍くなった。
・・・なに?なにか嫌な感じがする・・・
剣を振るのをやめ、即座に距離をとった。
「フフフッあの時殺したと思ったのですが。
かなり成長した様ですね」
上空を見る。そこにいるのはあの時エメリアの腹を突き刺した悪魔、その張本人だった。
「あなたは・・・あの時の悪魔!
まさかこの魔物の動きはあなたが・・・?」
「その質問の答えはYesですね。ですが私もまた協力者に過ぎませんよ。私はたかが中級の悪魔。この土地で新たに生まれていた『悪魔公ヴェルダ』様の手伝いをするように仰せ使っているだけです」
「そうですか・・・それで私の前に現れたということは、私のお相手をしていただけるのかしら?」
「ええ、そうなります」
彼女は会話をしながら、これはまずいと思っていた。
ここで悪魔が現れ、ここにもう1体の悪魔がいることを示唆してきた。
しかもそれは『悪魔公』だという。この悪魔よりも確実に強い相手であろう。それがこの騒動の裏で手を引いている。
『この悪魔』、『悪魔公ヴェルダ』、『魔物』
対処すべきモノが3つに増えてしまった。グレンと私で悪魔を1体ずつ抑えたとしても一箇所には確実に手が届かない。瞬殺できればそれに越したことはないが、少なくとも自分の目の前の相手はそんなレベルにはないはずだ。
現実的なのは悪魔を出来うる最速で倒し、倒した方から魔物を倒しに向かう。避難民の護衛には時間を稼いでもらう。
これが最善か。この悪魔がここにきた以上、『悪魔公』がグレンを抑えに行っていないとは考えにくい。
「お相手します。私の名はエメリア=アスガルドですわ」
「では私も名乗りましょう、『中級悪魔』のラスティと申します」
そういって門外での戦闘が始まったのだった。
本日4話目です。




