〜新しい出会い〜
パクパク・・・モグモグ・・・パクパク
彼女のフォークはとまらない。相当にお腹が減っていたのか、しゃぶりつくように肉にありついている。
その様子を見て笑顔で目を合わせる俺たち。
話を聞くのはもう少し後にしようと言うアイコンタクトだ。
ある程度食べて、落ち着いた彼女は深刻そうに話し始めた。
彼女の名前はサラ。
家は父と二人暮らしだった。彼女の母は彼女を産んだその日に死んでしまったそうだ。クーデター前から2人で細々と生活していたという。細々とはいえ、彼は精一杯仕事も家事もし、頑張って育てたのである。正義感が強かったため、どんなに自分達が貧しくても人のものは盗ったらいけないと教わってきたそうだ。
そしてクーデター後例に漏れず、父は金の採掘の仕事に就いたそうだ。最初はうまくいっていた。生活も良くなり、新王に感謝していたという。
だがすぐに金鉱の縄張りを主張する者が現れたのだ。新王は金鉱の場所は言い当てたが、その後の管理等はしなかった。
その人間は自分の金鉱で取れたものの50%を納めろと言ってきたのである。元々正義感の強かった父は虐げられる人間たちの代表として、国に抗議しにいったが誰にも相手にされず、最終的には縄張りを主張するものに直談判しにいった。
それが良くなかった。
彼女の父は見せしめのために殺されてしまったのだ。そうして彼女は孤児となってしまった。
殺人ということもあったため、その人間は捕まったが、彼女にとってはそんなことどうでもよかった。
唯一の肉親を失ったのだ。
大声で泣き喚き、やがて借りていた家も追い出され、彼女には最初は行くところがなかった。
現在路地裏に住むようになって1年ほどになる。年齢的にまだ金鉱で働けない彼女は父の教えを守り、盗みは行わず、生きてきた。
そんな彼女にも唯一の救いがあった。同じく裏路地で生活する者たちのまとめ役、フッキの存在だ。
彼女が路頭に迷い始めて2日後ぐらいに会うことができたらしい。それが彼女には幸運だった。
彼は中年の元冒険者で、剣の扱いがうまかった。利き腕ではない方の腕がない、いわゆる隻腕だった。
だが片腕だけでも十分に強く、路地裏の生活に困った人間だからと、差別し、いじめてくるような輩は、彼に追い返されてもう二度とこなくなった。
彼はいわゆる路地裏のボス的な存在で、元々持っていたパイプを使って、路地裏民でもできる仕事の斡旋を行ってきた。
彼がいることで路地裏民は本当の意味で路頭に迷うことはなかったのである。
そんな彼が何者かの襲撃にあった。
応急手当てはしたが、腕自慢の彼が、残った方の利き腕を飛ばされる重症であったという。
そうして何日か経過。まだ目を覚まさず、高熱が出ている状態だという。
1日ぶりに顔を見にいって、じっと顔を見ていたら何とも居た堪れなくなってしまって、街の治癒術師のもとになんとか頼みに行こうとしたところで俺にぶつかったそうだ。
話し終えた彼女は深刻そうな顔を継続していた。
父を失った彼女にとってフッキという存在は大きかったのだろう。
唯一の頼り。それを失うかもしれない恐怖は言うに難くない。
「そうか、よく話してくれた」
俺に続いてエメリアも言う。
「話すのも辛いことなのによく話してくれましたね。とてもいい子ですね。
でももう心配いりませんよ。」
「・・・え??」
エメリアの言葉にサラはキョトンとする。
そんなサラの様子をみてユーリが胸を張って言う。
「僕に任せておきなさいな!!」
「・・・」
それでもまだキョトンとするサラ。
それに俺がちゃんと言葉にしてやる。
「彼女ならフッキを治すことができる。安心しろ。
だから、案内してくれるか?」
サラは涙を堪えながら大きく頷いたのだった。
こんにちは、今日1話目です。




