〜目的地への道のり〜
俺たちが向かうのは、港町バスタから北へ向かい、砂漠の越えた果てにある岩でできているといわれる山、『巌砂山』。
その山はギリギリこの国の領内にあるが、資源的な意味で何もなく、誰も好んで行こうとは思わない。
が、そこからさらに北には金を欲しがる貿易相手がいるのだ。そことの貿易の道として、一種の目印として使われている程度だった。
そんな山には龍が住んでいると言う目撃情報がある。ここ20年、頻繁に目撃されるようになったらしい。
飛んで帰ってくるのをみたと言う人間もいるし、飛び立って行くのをみたと言う人間もいる。
実際調べていて、この空を飛んで行く龍のようなものを、暗部も目撃しているそうだ。
それが俺の探している龍なのかはともかく、この国にそれらしい何かは存在するということだ。
俺たちは港町バスタから歩き出している。
「暑いな」
「これは暑いですわ」
「暑い・・・なのです」
砂漠は暑い、と聞いていたがこれほどとは思わなかった。
これはダメな暑さだ。
港町バスタを出発して、直接山まで行くつもりだったが、到底無理そうだ。
直線でラクダを使って行けば、砂漠を丸々14日、つまり2週間の旅で終わる予定だった。
だがこの暑さとなると、そう簡単に行くものではない。
計画を修正する必要がある。
ちなみにユーリの『転移』は、既に行ったことのある場所へしか行くことができないので、目的地へ転移でいくことはできない。
なので帰りは心配ないが問題は行きなのだ。
これは予想外に時間がかかりそうだ。
俺たちは地図を買い、街を経由して進むルートを選択した。
遠回りになるが、きつすぎる道のりになるよりはまだいいだろう。家族会議をした結果、4つほど街を経由して進むこととなった。
それでも街と街の間は全て砂漠であり、ある程度はきつい旅にはなるだろう。覚悟して進まないとな。
俺たちはラクダを借りて、最初の街へと向かうことにした。
ちなみに『ラクダ貸し』を生業としているのは、1つの商売組合のみであり、どの街で借りたラクダでも、組合がある街なら借りた場所で返す必要はない。
俺たちは最初の街で借りて、最後の街で返そうと思っているのである。
旅は順調に進んでいる。
宿屋で眠れるのも長旅には大きなことだ。
砂漠の夜は寒く、氷点下になることもしばしば。
昼と夜の寒暖差で体調を崩しやすい。
寒さに凍えず、暖かい宿で眠れる日があるのはありがたいな。
途中何日かは野営をするのだが、これがまた本当に寒いのだ。
こっちのルートにして正解だった。
1つ目、2つ目、3つ目の街とも、この街に住む人口こそ少なくみえるものの、商店街はそこそこの賑わいを見せていた。
金を細工したものを売っている店が多い。
主都の近くで採れるといわれる黄金がそれを促しているのだろう。
情報によると、主都にはものすごい人数の人間がいて、今もさらに増えていっているらしい。
商人、金持ち貴族なども純度の高い黄金を求め、主都のベルタへ集まっているそうだ。
俺たちの次に街はそのベルタの予定だ。どんな栄え方をしているか、楽しみである。
2話目です。




