〜敗北〜
「なんだそれは・・・!」
「これが私達悪魔の力ですよ。私の自慢の爪を折った報いを受けなさい」
反応できるかできないかギリギリの爪による斬撃。凍刀で受けたが、威力を殺しきれず、吹っ飛ばされる。
俺は即座に氷翼を生やし、もう一度こちらから飛びかかる。奴は爪で受け、今度は鍔迫り合いに発展した。
「何が目的なんだ!」
「ここへきたのは「龍の器」に取り込まれる前に封印してしまおうと思ったからですよ。
ここの炎龍は山を噴火をさせることに力を使った後、その後少しだけ力が弱まるんですよ。
そこを狙いにきた、というわけです」
そういうことだったのか。
タイミングがいいのか悪いのかわからないな。
俺の考えの重心が偏った瞬間を見逃さず、悪魔はスッと爪を引いた。
突然力を抜かれた俺は前に倒れかかった。倒れるのをグッと堪えて、引いた悪魔にもう一撃、横薙ぎで剣を振るが躱されて当たらない。
そのまま剣を地面に突き刺し技を繰り出す。
『氷華』
地面から氷の刃が出現し、それは前方に向かって広がっている。
だが。
『転移』
悪魔はそう呟くと目の前から消えた。瞬間後ろから声が上がる。
「がはっ!!!」
後ろを振り向くと背後から腹を貫かれたエメリアがいた。
「エメリアァ!!!」
膂力最大で悪魔へと向かう。爪を引き抜いてエメリアから遠ざかった悪魔は、下がりながら、
『悪魔火』
今度は上級魔法程の威力の炎がユーリを襲う。
光障壁を発動したがバリンッという音とともに炎が襲う。
「きゃあああ!!」
「ユーリッ!!・・・くそっ!!」
俺は悪魔に肉薄し、また鍔迫り合いになる。悪魔が話しかけてくる。
「攻撃の威力は私とあなたで互角。
が、転移には全く対応できない様子。彼女たちを守りながら私と戦って勝てるのですか?」
「・・・・・・」
2人から離れすぎないように今の全力で一撃で倒しきるしかないか・・・。
・・・そんなことが可能な相手か?
でもやるしかない。そう考えたところで声が聞こえた。
『我が主を滅さんとする愚か者はお前か
中級の悪魔ごときが我らが器に手を出すな』
その声とともに溶岩色に燃え上がった炎の龍が、火山口から飛び出してきた。
「溶炎龍!!」
悪魔が驚きの声を上げた。
一瞬驚いて固まったがその後諦めたように言った。
「・・・器を守るために出てきたのですか。これは分が悪い。今日はこのあたりで撤退させてもらいます。
ニンゲンよ、次は命を奪わせてもらいます」
そう言った悪魔は俺を一瞥して、『転移』で去っていった。
唖然として立ちすくむ俺を見かねたのか、龍が話し始めた。
『今から我はお主の中に入る。詳しいことは、奴等とは違い魂で話してやる。
その前にやることがある。その者たちの手当をして、少し待て。』
俺はすぐに2人に回復薬をかけて、息があるか確認した。
重症ではあったが、大丈夫だ。
俺は何も守れなかった。
あれが俺の敵なのだとしたら、このままではいけない。なんとかしなければ。
・・・そんなことを考えていると溶炎龍の準備ができたようで、俺の中に入る、と言い出した。
わかった、と返事をすると、光りながら姿がブレ、俺の中に侵入してきた。
その光が収束すると、俺の目に変化が訪れたのがわかった。
『龍紋眼』
それが俺に新しく宿った力であった。
・・・今新しい力を手に入れたのだとしても、俺の心は晴れない。
ひとまず、急いで街へ戻ろう。
本日3話目です。
また明日更新します。




