〜決戦〜
『我を倒してみよ、龍の器よ』
即座に反応し、構えをとる。
「二人とも下がっててくれ!」
「「・・・・・・」」
二人とも恐怖のせいか足が動いていない。
「早く動け!!」
「「!!」」
俺の大声にやっと反応し、2人は後退していった。
眼前の龍を見つめる。氷を纏った美しい白龍。
不思議とこれほど強大な相手を前にしても俺に恐怖はない。
「いくぞ!『龍の心臓』」
最初から全開で行く。
『黒焔砲』
全開のブレス。それをみた白狐龍もブレスの構えに入った。
お互いから発せられるキュイィーーンという音の後、一瞬の静寂が訪れる。
「ガアアアアアァァァーー!!!!!!!」
俺は気合の入った大声と共に、黒焔砲を撃ち出した。
白狐龍も同じタイミングでブレスを放つ。
全てを凍て付かせるであろう超低温の氷砲。
俺たちの中央で、
『塗り潰そうとする黒』と『凍て付かせる白』のぶつかり合いが起こる。
ブレス同士がゴゴゴゴゴゴゴゴとせめぎ合う中で、俺は押し切られないように懸命に出力を維持する。
龍の力を借りて戦っているだけで、俺は龍ではない。時間勝負だと部が悪い・・・。
そう思いながら踏ん張っていると、やがて中央で力の逃げ場を失ったブレスが大爆発を引き起こした。
爆発の中心地がクレーターのように大きく削れている。
未だ消えぬ砂埃の中、俺は翼を生やし、白狐龍へと一直線に向かっていった。
全身に巡っている精霊の力を黒刀のみに集中し、龍の顔面向けて振り下ろす。
ギィィィンという音とともに、黒刀が弾かれた。硬い。
が、弾かれたとは言え無傷ではなく、少しの切り傷、そしてそこから血が滴っていた。
・・・全身が硬いのか、頭が特別に硬いのかわからないな。
それ以外の柔らかそうなところから削っていくしかないな。
俺は狙いを切り替え、腹や関節の付け根を狙うことにした。
だがそんなに簡単にやらせてくれる相手ではない。
そこからしばらくは剣戟、となった。
俺は刀で斬りつけ、龍は牙や爪で引き裂こうとしている。ぶつかるたびにギイィィンという音が辺りに響く。
相手は違うが、俺はいいのを一撃貰えばそれで終わりだろう。
そんなひりついた戦いの中で俺が感じている感情は恐怖ではない。
楽しい。全力の戦闘がこんなに楽しいとは。
目の前には全力を出しても届かない白狐龍。
・・・あぁ、もっと強くなりたい。
小一時間そんな地形を変えるほどの戦いを続けていた俺たち。
その戦いの終止符は意外な形で結末を迎えることとなった。
「お、おやめください勇者様!神龍様は魔物ではないのです!!」
その声は俺たちの足元から聞こえた。
そこにいたのは王族のような服装をした、姫と言って差し支え無さそうな人間。
そしてその姫の後ろで平伏する、俺が生まれ育った国とは違う一軍がいたのだった。
『・・・ここまでだ強き龍の器よ』
地形を変えるほどの戦いはこうして決着したのだった。
こんにちは、今日1話目です。




