〜決闘2〜
俺が見た感じ、彼の対人戦における戦闘スタイルは、初級、または中級あたりの魔法の詠唱破棄で距離をとり、大規模な魔法で倒すと言うのが必勝パターンのようだった。
確かに一撃で決まらなかったとしても、簡単に距離を詰められず、同じことを繰り返せばなかなか対応できる人間は少ないだろう。
しかし先程の超級魔法を簡単に破ってみせれば、奥の手を使わざるを得ない、と言う事だろう。
さらに言うと身体強化だけでは攻撃を躱すので精一杯なことは先程の一合で明白だった。俺の攻撃を躱すのすらままならないとなれば、奥の手を使おうという判断だろう。
『心魂来臨、鷹よ吹き下ろせーー風鷹狩』
声と同時に、エメリアと同じように竜巻を纏うようにして風を見に纏う。
その状態でのエメリアとの明確な違いは、彼の背中に半透明の薄いエメラルド色の翼のようなものが生えていることだろう。
・・・まさか、飛べるのか?
その疑問を肯定するように、ラストアはふわりと上空に浮き上がった。
「私の心魂の真骨頂は、攻撃の届かない空からの制圧だよ。珍しい飛行型の力さ。いくら君が速くても、ここまではこれないだろう?
さあ、いくぞ!」
『翼の雨』
上空に飛んだラストアに生えている翼から、緑の半透明色の短剣のように鋭い翼が、俺に向かって発射されてくる。それも1枚だけではない、間を開けずに次々に飛んで来る。
俺はすぐに足を動かして、的を絞らせないように逃げ回る。
それにしても上空からの一方的な攻撃は困ったな。この広範囲攻撃もいつまでも逃げ切れるかわからない。
『黒焔一閃』で斬撃を飛ばすか。それとも魔法で大きな1発を狙ってみるか。
飛べれば楽なんだがなあ・・・
そう考えた俺は思いつく。
あれ?俺の心魂が龍なら飛べるんじゃないか・・・?と。試してみるか。
ひとまず隙を作ることにした。
俺は一瞬立ち止まり、相手に向かい斬撃を放つ。
『黒焔一閃』
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ラストアに悪寒が走った。黒い炎の斬撃が迫ってくる。先程超級魔法を正面から破られた技だ。あれはまずい。
威力的にも大きさ的にも無関心ではいられず、攻撃を一時中断せざる負えなくなった。
空を取れていると言うと言う圧倒的優位があってこれだ。
あの一撃は受けることを考えてはいけない。本能がそう告げている。
空中で大きく動き、躱すと、一瞬見失ったグレンを探す。
そしてすぐに姿を見つけたが、先程と違う点に気づいた。
翼だ、ヤツにも翼が生えている・・・!!
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『黒焔一閃』で隙を作った俺は、集中してドラゴンの翼をイメージする。
精霊幻界の魔力を背中に集め、そこから伸ばすようにして翼を生やしていく。
できるだけ精密に。できる限りの集中をもって。
・・・なんとかうまくいった。
『龍の翼』
動揺している相手の隙を突くように、翼を羽ばたかせ、一気に飛び上がった俺は相手へと肉薄する。
飛行という条件が同じになり、これ以上の切り札がない状態で肉薄されては、彼にやれることは防御しかなかった。
肩から、足から鮮血が舞い、少しずつ防御が削られていく。
膂力も近距離での読み合いも上。もう負けようがなかった。
「・・・・・・降参だ」
その言葉で決着となった。
2話目です。夜また上げます。




