〜失敗、そして友達〜
自室に戻った俺は、おそらく高級品であろう自室の椅子に腰掛け、少し考える。年齢的に家の敷地の外にはまだ出られないこの現状で、何をするべきか・・・。剣の鍛錬は今まで通り一人でも続けるとして、身体強化魔法はともかく、攻撃魔法はこの家では使える人間は少ない。剣と『心魂来臨』と呼ばれる心魂の力を極めていくのがこの家の方針だからだ。
「やはり俺の中の心魂の力と向き合わないとな」
俺はそう呟くと、部屋の地べたに座り込み、目を閉じ集中する。自分の魂に語りかけるように、自分の眠る力に手を伸ばすように、深く潜り込んでいく感覚だ。
そうして潜り込んだ先で目を開けると、平坦な遺跡のような空間の真ん中に自分がいる事に気づく。
「ここまでは来れるようになったけど・・・ここからどうしたらいいかわかんないんだよな・・・」
自分の周りを見渡しても、黒い炎が燈る松明が所々にあるだけで、それ以外は何も見当たらない。何か漠然とした力は感じるが、それだけだ。何回かここへきても何も変わらない。何も存在しない空間。父に聞いても、「それは人によって様々だ。俺の時は入ったらすぐ襲ってきて、何度もぶちのめされた。」と笑いながら言われた。その度剣技を磨き、納得させられる力を見せたことで、やっと力を引き出せるようになったらしい。
俺はそんなことを思い出しながら色々歩いて回るが、やはり何もいない。
「やっぱりだめだな」
俺はそう呟いて現実の世界へと戻ってきた。そもそも俺の中にもちゃんといるのか疑問にも思う結果だがしょうがない。いつものことだ。俺は一旦切り上げリビングへと向かう。
「母さん、父さんはどこ?」
「父さんなら先程また仕事に行ってしまいましたよ」
そんな答えが返ってきた。そうか、父さんはもう行ってしまったか。そんなことを考えていると、ピンポンと家のベルがなると同時に元気な声が聞こえた。
「グーレーンーー!!!」
この家の目の前に設置されているベルを慣らしている時点で、庭先の門番は仕事をしていないということだ。あえて通しているという言い方もできるが。
メイドの一人が玄関を開けると、そこには綺麗なエメラルドグリーンの色のミディアムでちょっとクセのある髪をした、いかにもお嬢様といったようなフリフリの格好をした女の子が立っていた。
「おはようグレン!今日も遊びましょう!」
「おはよう、エメリア」
彼女は、エメリア=シルフィーデン。俺のラストリア家とは親同士の親交があるシルフィーデン家のお嬢様であり、シルフィーデン家は、うちの家と共にこの国の4大名家に数えられる家の一つだ。俺にとっても、同い年ということもあり、いつも仲良く遊んでいる仲だ。そんな彼女はニヤッと微笑みながらこう言った。
「今日は冒険しに行こう!!」
こんにちは、続きです。