〜春来亭とお金〜
登録を済ませた、「アルス」と「エリーゼ」はまず依頼を受けず、宿屋へ向かうことにした。
この国にはしばらくいようと思っているので、受付嬢に安めでおすすめの宿を教えてもらったのである。Eランクではたいした稼ぎができないはずなので「安め」なのである。
俺たちが着いた先は「春来亭」。家族で切り盛りしている宿屋兼食事処で、食事もうまいらしい。両親と娘の3人経営であるらしい。
「いらっしゃーい!!」
入った俺たちに、元気な声で出迎えがある。
「お好きなテーブルへどーぞ!」
見た目的に6、7歳だろうか。なんかこちらも元気にしてくれそうな明るい声だ。
そんな彼女に声をかける。
「宿屋もやってるって聞いたんだけど合ってるかな?」
「合ってますよ!」
「2人部屋を1部屋でいいですか?」
「いえ・・・」
「1人部屋を2部屋でお願いします。」そう言おうとした俺の言葉はエメリアによって遮られることになる。
「そうねお嬢さん、1部屋で大丈夫です!!」
「わかりました!じゃあご案内しますね!」
俺たちはその案内についていく。彼女の名前はリリというらしい。6歳だそうだ。案内についていく途中エメリアは、「これからどれだけお金が稼げるかわからないんだから、安い方がいいでしょ」と耳打ちしてきた。
なるほど。一理あるが・・・
「この部屋を使ってください!
この部屋で良ければ、1日朝と夜の食事付きで、お2人で銀貨1枚と大銅貨6枚です。
1週間先払いしてもらえるなら大銀貨1枚でいいですよ!」
安いな。部屋も綺麗で文句ないしそうしようか。1週間試しでいてみて、何か問題があれば宿を変えればいいしな。
「じゃあそれでお願いします。これからお世話になります」
そう言って俺は大銀貨1枚を渡した。
「ありがとうございます!ごゆっくりしててください。また夕食時お声かけに来ますね!」
お願いします、というと彼女は出ていった。
よくできた娘さんだ、お金の勘定もして、客に対する気配りもできる。何よりいい笑顔だ。
ちなみにこの世界のお金だが、
鉄貨
銅貨
大銅貨
銀貨
大銀貨
金貨
大金貨
華貨
大華貨
と言う順で価値が高くなる。
それぞれ10枚で次の硬貨と同じ価値になる。
一般的な価値としては、金貨1枚で1ヶ月、大人一人が普通の暮らしをできるほど、と言われている。
お金の価値として低い鉄貨や、高すぎる華貨以上は一般的な暮らしでは使われないことが多い、という感じである。
2話目です