〜これから〜
「あ、すみません。一旦保留でお願いします。説明ありがとうございました。」
「かしこまりました」
丁寧に説明してくれた受付嬢には申し訳ないが、急用ができたので失礼することにした。
俺はエメリアをギルドの外に連れ出して、一緒に歩きながら話す。
「本当についてくるのか?これからどんな生活になるかわからないんだぞ?」
「それなんだけど、お父様に少しだけ聞き出してきたことがあるの。言いたくなさそうだったけどね。
『龍の黒炎と、何も残らない真っ白な世界』と言うのがこの国では厄災として語られているらしいの。約400年前の史実らしいんだけどね。グレンの心魂の力はその力を思い起こさせたんじゃないかしら?」
・・・そういうことか。ただ俺の力が一族のものとは違うから、というわけではなかったのか。
「ありがとう。どの程度の人がそれを知っているかわからないけど、人目のある場所では使わない方がよさそうだな。」
「そうね。それからこの国は西側の国とは森を抜けて貿易の相手として取引しているから、この国より西にはその話が伝わっていると考えた方がいいかもしれないわね。」
なるほど。ありがたい情報だ。じゃあ向かうなら東の国か。・・・その前に。
「本当に俺についてきていいんだな?」
「うん!!」
「・・・ありがとう。これからよろしく」
「これからも、でしょ?」
そう言って彼女は笑顔を作った。
もう何も言わない。本音で言えば実際に嬉しいしな。
じゃあこれからどうするか、相談しようか。
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とりあえずの話し合いで、最終的に東の国、アザフ=カバス王国を目指すということは決定した。
が、現在東の国と、この国、カルバンシア帝国は完全に国交を閉ざしており、かつてかなりの遠回りであるが山を迂回して通れたルートは完全に使われなくなり、森に飲み込まれているらしい。
東へ行こうとすれば、山を登るしかないということである。
だがこの山は約400年前の厄災の現場であり、標高が高くなればなるほど、魔物的にも高レベルのものが出現するらしい。無策ではいけないと判断した。
この国はすぐに出なければならないと言う約束がある。そこで一旦西の国へ向かい、そこで冒険者登録をし、依頼を受け、冒険者のランクを上げつつ、魔物と戦ってみる。それと情報収集を並行して行う。俺の『心魂』は人目のある場所では使わない。
これからの予定はざっくりとそんな感じに決まったのだった。
本日2話目です。また明日更新します。