〜告白〜
青年期
「父上、少しお話を・・・いえ、少し見せたいものがあるのですがよろしいでしょうか?」
父が仕事をしている書斎にて、そう俺は切り出した。
「ああ、構わんぞ。私も話がある。少し外で待っていなさい」
話?なんだろうか。そういって一旦書斎から出た俺は、庭で父を待つ。しばらくすると父がやってきた。
「何を見せてくれるんだ?」
「それは後のお楽しみです」
そんなやりとりをしたが、俺はドキドキしっぱなしだ。穏やかな父だが、鍛錬の時などは厳しい顔を覗かせる父だ。今日見せて俺は家から追い出されることもないこともない。
2人で少し歩いてラストリア家領地内の何もないだだっ広い草原のような場所に着いた。他に誰もいないのを確認して準備に入る。
「父上、ではよろしいでしょうか」
「ああ」
確認をとった俺は父を背中にして深呼吸する。
『心魂来臨、塗り潰せーー黒龍神』
俺はこっそり鍛錬し、使いこなせるようになった『心魂』の力を見せる。ゴオォォォ、という音ともに、体の中から溢れ出してくる黒炎を見にまとい、現れた黒刀を右手に持った。あの時と違うのは、左手に龍の頭の形のようなものが彫られた、籠手が顕現していることだ。
俺はこの『心魂』の力を使っていくうちに、俺に力を貸してくれているモノは龍の形をしているのではないかと気づいた。面と向かって見たわけではないが、この籠手がそう見えることと、技の内の一つに龍のブレスを模したものがあるからだ。
ふぅ・・・と深呼吸をして。
・・・・・・俺はその状態で恐る恐る父の方を振り向く。どんな反応が返ってくるか不安だ。
2話目です。