〜初めての戦い、そしてその後〜
少年期→青年期
目を覚ました俺はのそっと起き上がった。その場で倒れ込んで気絶していたようだ。・・・さっきまでのは全部夢か?そう疑った俺だったが目の前の光景をみて思い直した。
目の前には魔物の姿はなかったが大人の拳よりやや大きいぐらいの魔石が転がっていた。そして俺から見て人獣狼がいた側の木や草は燃えてしまって更地になっていた。自分がしたことだと思うと恐ろしい。
更地になった先から太陽が覗いている。眩しい。といってももう傾きかけているようだ。自分の体に違和感がないことを確かめると、俺は魔石を拾って帰ることにした。
歩きながら考える。力が使えるようになったことは嬉しいが、自分の力があの父のような美しい燃えるような朱色の炎ではなかったことに少しショックを受けていた。
まあとりあえずいい。疲れたし帰って寝よう。俺はそう思い直して歩き続ける。
「あれ?結局帰り道どっち?」
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「ただいま」
迷いに迷いながらなんとか家にたどり着いた。1人で出歩くのはトラウマになりそうだ。そんなことを考えながら家へ入ると、メイドが出迎えてくれた。
「・・・グレン様、何があったのですか?」
「ん?」
自分の姿を見る。体はなんともないのだが、長袖だった服は所々破けていて、右腕部分に至っては、付け根から何もなかった。
「・・・何でもないよ、ちょっと遊んでたらこうなっただけ」
「・・・わかりました。すぐにお風呂の支度をしてまいります、エレン様も心配しておられたので顔をお見せになってください」
「わかった」
母さんのところに顔を出すとかなり心配されたのは言うまでもなかった。
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風呂に入り、自室に戻った俺はそのままベッドに潜り込んだ。
この力は見せてもいいのだろうか。父にがっかりされないだろうか。どうするか、しばらく考えよう。
疲れが溜まっていたのもあり、そう考えをまとめた俺はそのまますぐに眠りについた。
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翌日、目を覚ました俺は決めていた。この力のことは、ある程度使いこなせるまで黙っていよう、と。
少年期終わります。少し早いですがここからメインの青年期へと移りますのでよろしくお願いします。