表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
9/92

009 勇者魔法って、超べんりすぎ

「あ、ぼくクリスです」

「そしていまぼくは、ぷち家出、してますぅ」


 それというのも、ぼくのおっぱい好きをアイナママに知られてしまったから。


「んあーっ? けど! ウソじゃないところが~~~っ?」


 あれから何度かぼくは、アイナママに勇者の件を話そうとした。

 けど? 結果はぜんぶ同じで、別のセリフに強制変換されちゃったっ?


「しかも! よりによって! ぼくの恥ずかしい好みを! 話させるだなんてぇぇっ?」


 おかげでぼくはアイナママに、何度も恥ずかしいカミングアウトしちゃって──

 いまはただ、ひとりになりたくて……ひとりで山の中を歩いていますぅ。


「うぅ、紙に書けばいける!って思ったら……」


 書き終わった文字を読んでみれば、


【朝起きるとぼく、なぜだかおちん○んがおっきしちゃうの】


 なんて書かれてて──


「そんなの! アイナママに読ませたりしたらぁぁっ? ぼくが!【恥ずか死】するぅぅぅっ?」


 この下ネタ変換は、ミヤビさまのシュミにちがいないっ?


「こんど会ったら、絶対にクレームを入れなきゃ!」


 ぼくは固くココロに誓い、もくもくと山中を歩いたのでした。


 ◇◆◆◇


「ふう、このあたりでいいかな?」


 今まで出なかった村のお外に、ぼくはいまひとり。

 わりと山の奥に入ったそこは、いつ獣や魔物が出てもおかしくない、危険な場所だった。


「アイナママや村の人に、ウソいって出てきちゃったのはムネが痛むけど、んー【万物真理(ステータス)】!」


 ぼくのステータスさんは超有能なので、いろんな機能がある

 【自分のスキルがしらべたいなー】って考えながら発動させれば、通常のステータス画面が出て、各種パラメーターやスキルが表示されるし?

 【このアイテムがしらべたいなー】だったら、そのアイテムの【鑑定】がされちゃう。

 そして今回は【まわりに敵がいるかなー】って考えたから……


 パッ!


 ぼくの視界に、自分を中心とした360度のまぁるいレーダーが表示された。

 そこにはいくつかの緑色の光点があって、


「緑ってコトは動物かぁ もうちょっと範囲を広げて~ ああ、いたっ」


 およそ2時の方向、距離300メートルくらいの所に赤い光点がひとつ。

 この赤い光点が【魔物】や【魔族】を示してしてるんだ~


「青い光点は人族や亜人で、黄色い光点は【敵意を持つ人族や亜人】、だっけ?」


 ちなみにメートル表記なのは、召喚勇者が日本人だから。

 もちろんこっちの世界にメートル法なんてないけど、いまのぼくにはこっちのほうが便利なのでこっそり使い続けてる。


「この光の大きさだと、やっぱしアレかな?」


 光点が大きいほど、強い敵(もしくは人)だってコト。

 けれど、この【獣よりはちょっと強いくらい?】な光点は、


「えと【異空収納(インベントリ)】!」


 広げたぼくの左手の手のひら。

 その数センチ前に、すうっと魔方陣が現われた。

 ぼくはその魔方陣に右手を差し込むと──


「よ……っと」


 そこから抜き取った右手には、剣のグリップが握られてて、そのままにゅ~~~っと、魔方陣から刀身が現れた。


「んふふ 異空収納(インベントリ)が使えて、ホントよかったぁ やっぱこれ、便利だもんね~」


-------------------------------------

異空収納(インベントリ)

 種別:勇者魔法

 状況:常時

 対象:術者

 効果:異空間にアイテムを収納し、無限に持ち運べる魔法。

    念じると手のひらに魔方陣が展開して、そこから物を出し入れが可能。

    魔方陣のサイズを大きくする事で、かなり大きな物でも収納できる。

    中は次元の異なる空間で、入れた物体は時間が停止した状態となる。

    生物は入れる事ができないが、死体・石化状態などなら収納可能。

    任意でいつでも発動可。魔力消費は、出し/入れする毎に『1』。

-------------------------------------


「あぁこの剣、懐かしいなぁ」


 召喚されてすぐ、剣術のスキルを付ける為に渡された、細めの剣。

 初めて触ったホンモノの剣ということで、記念にもらっておいたんだ~


 ヒュっ


「んー、いまのぼくにはちょっと重いけど、ギリギリいける?」


 試しに何度か、剣を振ってみるぼく。

 レベル87の剣術スキルがあるから、それはもう滑らかな剣筋でした。


「んー、スキルはともかく、問題はぼくの【パラメーター】だよねぇ」


 アイナママも説明してくれたけど、普通、魔物を討伐すると経験値が入る。

 そして経験値が一定数貯まれば、レベルが上がる。

 そしてレベルが上がれば、HPにMPとかのパラメーターも上がる。


「ええと【万物真理(ステータス)】!」


 パッ!

-------------------------------------

・H P:《ヒットポイント》『打たれ強さ』を数値化したもの。

     生命力の数値化ではない。

     (現状/最大)で表示される。

     一割を切ると【瀕死】となり、ゼロになると死亡する。


・M P:《マジックポイント》魔力量を数値化したもの。

     魔法を使うと数値が減ってゆく。

     (現状/最大)で表示される。

     一割を切るとだるさを覚え、ゼロになると昏倒する。


・筋 力:総合的な『力の強さ』を数値化したもの。攻撃力の数値に影響する。


・瞬発力:『素早さ』を数値化したもの。攻撃の速度や回避に影響する。


・知 力:『賢さ』を数値化したもの。この数値が高いと魔法の威力も高まる。

     故に同じ魔法でも、冒険者の等級により威力が異なる。


・攻撃力:相手を攻撃する際の力の強さを数値化したもの。

     武器の装備でプラス補正される。


・防御力:相手の攻撃を受ける際の防御性能を数値化したもの。

     防具の装備でプラス補正される。


・経験値:魔物および魔族を討伐した際に自動的に得られ、蓄積してゆく数値。

     強い魔物ほど、高い数値が得られる。

     ある一定の経験値の取得によりレベルが上昇する。

     単独討伐の場合は全てを得るが、パーティーの場合は頭割りとなる。


-------------------------------------


「んー、さすがぼくのステータスさん、有能」


 この世界の神々の魔物&魔族嫌いはかなりのモノで【魔物を倒してくれるなら、いくらでも強くしてあげちゃう】という大盤ぶるまい。

 だから、魔物さえコツコツと討伐していけば、どんどん強くなれるんだ。


「あぶないお仕事なのに、冒険者が減らないハズだよねぇ」


 なので強い冒険者パーティーに寄生して、パワーレベリング! なんてこともできたりする。

 とはいえそのやりかたで上がるのは、レベルひとケタの【初心者】くらいまで。

 それ以降は神々が祝福をくれなくなっちゃうけどね~


「じゃあ、魔物を討伐していれば、訓練はいらないかというと?」


 それだと増えるのはパラメーターだけで、スキルが付かない。

 なのでけっきょくは、ふだんの訓錬もしなくちゃいけないんだ。

 うーん、日ごろの訓錬とお勉強、大事!


「筋トレはしなくていいけど、剣の練習はしなきゃダメ! みたいな感じ?」


 だけど【召喚勇者】だけはさらに【ズル】をする。


-------------------------------------

超越身技(オーバークロック)

 種別:勇者魔法

 状況:戦闘時

 対象:術者

 効果:筋力、知力、攻撃力、防御力などのパラメーターを増強する魔法。

    いわゆる【バフ効果】で、術者のパラーメーターを、

    1等級冒険者(英雄級)の3倍相当の能力値に高める。

    効果は術者が望む限り継続するが、魔力消費が膨大なので注意が必要。


-------------------------------------


 ──という、超反則級魔法です。

 スキルも最初から高レベルのを持ってるし?

 これで一切の訓練ナシで、超人になれちゃいます。


「というか? 英雄級の3倍とかチートすぎだよねぇ」


 けどコレ、魔力消費量がメチャクチャ多めで、発動中は魔力を消費し続けるという、超・悪・燃・費!

 しかも戦闘時に自動で発動するから、戦闘が10回なら、その魔力も10倍かかるワケで~

 もちろんいまのぼくのMPじゃ、発動すらしません。


「うぅ、MPが20万とかある勇者だからこそ使える、ゴリ押しワザだよねぇ」


 そして、いまのぼくのパラメーターは、こくフツーの少年の【レベル1】相当の数値であり、超貧弱。

 なのにレベル63なので、64まで上げるのは、めっちゃ経験値が必要。

 なので? レベルアップによるパラメーターの増加も見込めない。


 つまりぼくは──【天才的なスキルを持つ非力な少年】というワケだ。


「なっ なんという中途ハンパ」


 ヒュンヒュンヒュン──


「まぁ? そのへんは、少しづつ工夫、するしか、ないよ、ねぇ」


 トントンとステップを踏みながら、踊るみたいに剣を振るぼく。

 ただ、まぁ?


「ふぅ やっぱり、途中で息が、切れるなぁ はふぅ」


 筋力や持久力のなさはどうしようもない。

 そのへんはスキルと工夫を組み合わせて、地道な練習を何度も繰り返す事でなんとかするしかない……かなぁ?


「っと、そろそろ──いたっ」


 そこには、おおむね30センチオーバーの【たぷんっ】 とした青い魔物──

 【スライム】がいた。


「あ、ちなみにこの世界のスライムは、まぁるいなみだ型です」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] エ○スライムなら粘液形態だろうが!!!(魂の叫び)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ