089 ミヤビさまからのごほうび
「おきなさい、おきなさい、わたしの可愛いクリスきゅん♡」
「はっ!? その声は…………ミヤビさま!?」
そんな声にぼくが目を覚ますと……そこは真っ白な世界──
「じゃなくて、ぼくのお部屋?」
「ミヤビさま……地上に来れたんですか!?」
「んふふ♪ そうしたいのは山々ですが~」
「神はそう簡単に顕現することは、出来ないのです」
「え? でもココぼくのお部屋──ん?」
というか……ぼくはおやすみする前に、アイナママと『レッスン』してたはず。
なのにアイナママはいないし、シーツもぜんぜん汗とかで濡れてないし……
「ま、まさかコレ……」
「ええ、わたくしがクリスきゅんのお部屋を再現しました♪」
「な、なんというムダっぽいクオリティ!?」
「無駄じゃありませんー、ちゃんと意味があるんですぅー」
「意味って……どんな意味があるんです?」
「んふふ♡ それはクリスきゅんももう、気づいているのではありませんか?」
「え?」
ニヨニヨと、ミヤビさまが悪戯っぽい目でぼくを見てる。
それはいつもの乳首と股間だけを隠す、羽衣だけの姿なんだけど~
そんなミヤビさまは、ベッドの端に腰掛けてて……
(うぅ そろそろ見なれたと思ってたのに……)
(それがぼくのお部屋だと、すっごくドキドキして──はっ!?)
「みっ ミヤビさま!?」
「んふふ♡ ここはわたくしの司る世界……」
「声に出さずとも、その想いは伝わるのですよ? クリスきゅん♡」
「しまったぁぁぁ!?」
「そう……見慣れたと思ったこすちゅーむでも……」
「それが自分の寝所であれば、一気に新鮮な感覚に!」
「あぁっ♡ クリスきゅんが胸を高鳴らせているのが判ります♡」
「そしてわたくしっ んぁ♡ 見られちゃってるぅぅぅん♡ あはぁ♡」
「むぎゅう!?」
びくんびくん♡
ミヤビさまはぼくを抱きしめると……
お顔をおっぱいに押し付けて、ぎゅぅ~ってハグをした。
(や、やっぱりミヤビさまっ 『露出女神』だよぉ!?)
なんてココロのなかで思いながらも、ミヤビさまのおっぱいには抗えなくて……
むしろそのおっぱいに、お顔をうずめたのでした。
◇◆◆◇
「はふぅ♡」
ぼくのそんな反応に満足したのか……
ミヤビさまはぼくを開放して、ベッドの上に寝そべったんだ。
すると──
「わっ そ、そのかっこうは……」
「ええ♪ 最近流行しているという、ビキニアーマーの多重装備……」
「それを再現してみました♪」
一瞬、ミヤビさまのカラダが光ったと思ったら、その姿は……
白い三角ビキニと、レースの黒いマイクロビキニの重ね着になってたんだ。
(うぅっ それこそ最近、やっと見慣れたとおもってたのに──はっ!?)
「んふふ♪ さすがはクリスきゅん♡ いい反応をしてくれますぅ♡ はぁん♡」
「しまったぁ!?」
そんな満足げな笑みを浮かべながら、ミヤビ様はベッドの上でポーズを取る。
それがまた、メチャクチャ色っぽくて……
「って!? み……ミヤビさま! 今日はなんのご用なんですか!」
「あン そんなの~ クリスきゅんがそろそろわたくしに……」
「聞きたい事があるのではないかと、夢枕に立ちましたのにぃ」
「えっ そうなんですか?」
「ええ♪ そしてクリスきゅんは、かの【6体の魔物】すべてを再封印しました」
「今回はその労いも兼ねて、こうして夢枕に立ったのです♪」
なんていいながら、女豹のポーズでおしりをフリフリするミヤビさま。
そのポーズはぼくに効くから、ヤメてほしい……
「はっ いま……ねぎらいっていいました?」
「ええ、あの魔物たちは魔族によって強化された凶悪なもの……」
「それを無事再封印したことは、称賛に値すること」
「故に、その功労者であるクリスきゅんには、新たなスキルを授けましょう♪」
「新たなスキル!? そ、それってどんな──」
「ふふ、それこそもう………判っているのではありませんか?」
「えっ? ぼくがわかってる、ですか?」
「ええ、あなたが今、心から一番欲している能力……それは──」
「あ……」
そうだ……
確かにあの【6体の魔物】は無事に封印できた。
けど、まだ安心はできないんだ。
そう、まだアイツが残ってるから……
「ぼくは……あの【悪霊】を討伐したいです」
「ええ、よくぞ言ってくれました♪ その意気やよしです♡」
「では、あの悪霊を倒すチカラを授けてくれるんですか?」
「いえ、かの魔族はすでに何百年前に、実体を無くしています」
「そしてそれは上級ではあるものの、霊体の魔物とさほど違いはありません」
「え? じゃあ……」
「ええ、聖女の持つ【神聖魔法】で十分浄化し、消し去ることができるでしょう」
「な、なるほど……」
そう……アイツが本当に厄介なのは、その居所がなかなか掴めないから。
普通の魔物や魔族なら、【万物真理】のレーダーでマーキングすれば、
どこに逃げようが、すぐに見つけることができる。
(だけどアイツは、カンタンにカラダを入れ替えるから……)
【万物真理】のマーキングは、あくまでその【身体】に対してで……
乗り換えられてしまったら、それはもう意味のないモノになってしまうんだ。
だから、居所さえわかるようになれば……
「ならあの悪霊の居所を、常に【万物真理】で追えるようにしてください」
「ええ、良いでしょう」
「かの魔族がどの様な者に憑依していても、常に追えるようにしてあげましょう」
「あ……ありがとうございますっ ミヤビさまぁ!」
「あぁっ♡ クリスきゅんの純粋な感謝と信仰が……まぶしい♡ びくんびくん♡」
居所さえわかれば、もうアマーリエさんの時みたいに騙されたりしないで済む!
むしろこっちから追いつめることだって、カンタンにできそうだし!!
けど……
「って!? ミヤビさまぁ!」
「せっかくいいシーンなんだから、ダブルピースはヤメてくださいよぉ!?」
「あひ♡ クリスきゅんには……勝てなかったのぉぉ♡ びくん♡」
「あぁもぉ! だいなしですよぉ!?」
◇◆◆◇
カポーン
「「はふぅ♡」」
そして今回も……天空の露天風呂につかるぼくたち♪
例によってまたミヤビさまに、仰向けでだっこされてるぼく。
「………はい、先程の新たなスキル、準備完了です♪」
「はやっ! さすがはミヤビさま♪」
「あぁん♡ クリスきゅんの感謝と信仰が~っ♡ びくん♡」
「って! それはもういですからっ」
「でも? これであの悪霊を討伐できます!」
「ええ……ですがひとつだけ、難があるのです」
「難……ですか?」
「かの魔族がどんな者に取り憑いていても、追えるようにはしたのですが……」
「その実体を捨てて【魂】のみで逃げた場合……追えなくなってしまうのです」
「そうなんですか?」
「かの魔族の魂は、すでに【霊】となっているのです」
「ええと……【魂】と【霊】って、違うんですか?」
「魂は、生ける者の【精神体】と言えますが……」
「霊は死者のそれであり、本来は黄泉の住人なのです」
「黄泉の……それってアンデッドってコトですか?」
「いえ、アンデッドはあくまで魔物の一種です」
「しかし黄泉の者は……わたくし達【神】でも、追うことすら出来ません」
「それって……」
「ええ、黄泉はかの【邪神】の統べる世界……そして霊も、その管轄なのです」
「ですからどうか、その点には注意して下さいね?」
「わ、わかりましたぁ」
【魔族大陸】を統べる【邪神】は天の神様たちの天敵だとは知ってたけど……
黄泉──いわゆる【あの世】も、邪神の影響下にあるのか~
けど? この新しいスキルはかなりのアドバンテージになるはず!
「あ……それでミヤビさまぁ」
「ついでにもうひとつ、お願いがあるんですけど~」
「んふふ、なんですかぁ? クリスきゅん♡」
「ええと……ぼくはもう【姫巫女の従者】、やらなくていいですよね?」
「ダメです♪」
「なんでぇ!?」
「世代交代する【姫巫女】と違い、従者は神託としてそのチカラを授かるのです」
「故に、その能力は姫巫女が代替わりし、新たな【従者】が覚醒しない限り……」
「死して黄泉に逝くまで無くなることはありません」
「そうなの!?」
「って……じゃあもっと歳をとって、お年寄りになっても?」
「ええ♪ その場合は、覚醒した時の姿に転身することになります」
「若返るパターンだった!?」
そういえば……
ヒロインのお婆ちゃんが、伝説の魔法少女だったってアニメがあったけど。
そのお婆ちゃんも、ヒロインと同じくらいの歳に、若返ってたっけ。
「で、でもぼくっ 男のコなんですけど!?」
「んー、クリスきゅんは姫巫女と入れ替わっていた時期に……」
「その身体【土の巫女】として覚醒してしまいましたので」
「そのまま引き継がれてしまった様ですね」
「でもそれ、入れ替わってたアプリルさんの魂が、女のコだからですよね!?」
「今はもとのカラダに戻ったんですから、ぼくは身も心も男のコなわけで──」
思わず後ろを振り返ってそういうぼくに、ミヤビさまは優しく微笑んで──
「あなたが姫巫女の従者として転身した際……」
「誰か一人でも『見苦しい』『ふさわしくない』などと言われましたか?」
「え? いえ……」
「ならば問題ありません♪」
「クリスきゅんの可愛らしさは……皆が認めるものなのですから(ニッコリ)」
「ですからぼくっ 男のコ! 男のコなんですって!?」
「それにぼくっ 【純潔】じゃないのに!」
「ええ、ですが【乙女】ですよね?」
「え?」
「それとも……あるのですか?」
「なな……なにが でしょう?」
「殿方のアレを 受け入れたことが、です♡ ハァハァ♡」
「そっちぃぃ!? って! あるわけないですよぉ!?」
「でしたら何も問題はありませんね♪」
「そんなぁ!?」
うぅ なんとか女装イベントのフラグをなくそうとしたのにぃ!?
「ですが……安心してください」
「え? それはどういう──」
「いちど覚醒してしまえば、その後は【乙女】で居続ける必要はありません」
「ですから安心して、ろすとばぁじん☆ しても良いのですよ?」
「しませんからっ!?」
なんてコトいうの! もぉもぉ!
「うぅ でもこれって……」
「ミヤビさまは最初からこうなるって わかってたんですかぁ?」
「いいえ……神であろうと、未来は予測できません」
「え? じゃあ……ぼくがアプリルさんと入れ替わったのは──」
【姫巫女の従者】は、姫巫女を想い・慕う女性がなるもの。
だからエルフの森から遠く離れたここでは、そうした人はいるはずがない。
だからアイナママは、あの入れ替わりはむしろ好ましい結果になったって……
「ええ、あくまであれはあなた方が自ら引き寄せた運命……」
「そんな運命と必然が重なり合って、あの結果に導かれたのですよ?」
「そう……だったんですね」
ただ、結果的には従者は4人全員が揃ったし、6体の魔物も封印できた。
そして入れ替わったカラダも、今は無事にもとに戻ってる。
もしかしたらアレは……アプリルさんの【幸運】が引き寄せたのかもしれない。
「神は信仰を捧げる者に、ほんのささいなきっかけを与えるだけ」
「そもそも、生きとし生けるものの運命を、勝手に変えてしまうなど……」
「それは神とて許されるざる行為なのですよ? クリスきゅん♡」
「そう……ですよね」
それでも……そのきっかけを与えてくれるのは、神様の優しさだと思う。
で、そこから本当に救われるかどうかは、そのヒトの運と努力次第なんだ……
「ミヤビさまぁ いつもぼく達を見守ってくれてありがとうございます」
「ええ……神はあなたがたと共にあり、いつも見守っているのですよ」
「えへへ♡」
いつもはちょっと──ううん、すごくエッチで露出癖のあるミヤビさまだけど、
こうしてお話すると、やっぱり神さまなんだなぁって、つくづく思う♪
「ろ 露出癖……っ!?」
「そんな言い方はヒドいですよっ クリスきゅん!」
「ええと……いってないんですけどね?」
モノローグまでミヤビさまには筒抜けとか~
「そもそもわたくしにとっての露出は癖などではなく……人生っ!」
「神様なのに!?」
「いわゆる、らいふわーくというヤツですわ♡」
「おかげでぼくの周囲には、ビキニの女の人でいっぱいですけどね~」
「あら? クリスきゅんは、ビキニのおっぱいがお嫌いですか?」
「………大好きですぅ」
「うふふ、ならば良いではありませんか♡」
そういうと、ミヤビさまはぼくのお顔をおっぱいに埋める♡
それはぼくの知るおっぱいの中で、いちばん大きなおっぱいで~
(あぁっ でもほんとうに……癒やされるぅぅ♡)
そのあまりの心地よさに……
ここは夢の中なのに、思わず眠りに落ちてしまうぼくなのでした。




