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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士
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076 それってぼくのまねっこだよぉ!?

「もしかしたら、【6体の魔物】! 先に行きますっ!」

「あ、アプリルさんっ」


 ぼくは【瞬速】のスキルを発動して、さっきの音の方へ駆ける!

 アイナママたちにはいえなかったけど……

 ぼくの【万物真理(ステータス)】のレーダーには、中ボスクラスの強い光点の魔物が、映っていた。


(しかもその周囲には、ルシアママたちがいる!)


 そこまでわかっているぼくは、駆け出さずにいることなんてできなかったんだ!


 ゴガァァァァ!


「いた! って、あれはっ! 【万物真理(ステータス)】!」


 パッ!

-------------------------------------

【ケルベロス】

 出典:万物真理事典『ステペディア(stapedia)』


 三つの頭と蛇の尾を持つ 炎をまとう巨大な猛犬の魔物。

 一節には【冥府の番犬】などとも呼ばれ、その入り口を守護しているとされる。


 その身体は巨大な黒犬で、三つ首はそれぞれ別の意思を持ち、

 眠る時もどれか一つの首は必ず起きているという。


 鋭い爪や牙の攻撃力は絶大で、さらには炎の息を吐く。

 その炎は【煉獄の炎】と呼ばれ、罪深き者を焼き尽くすと言われている。

-------------------------------------


「け、ケルベロス! やっぱり【6体の魔物】!」


 アプリルさんいわく【煉獄の三頭獣】。

 そのカラダ巨大で、真っ黒な三つ首の犬。

 だけどその全身を炎がまとわりつき、おおきく開いたクチからはキバが飛び出してる!


「ルシ──じゃないっ カニンヒェンさんっ 助力します!」

「アプリルか! コイツ、かなりやるぞ!」

「そのようですね、切り裂けっ【烈風斬(れっぷうざん)】!」


 挨拶代わりにぼくは、単純なチカラなら最大の【烈風斬(れっぷうざん)】を叩き込む!

 巨大な風刃が5本同時に、ケルベロスに向かって放たれた!

 けれど──


「なっ! 避けた!」


 ルシアママたちの攻撃をさばいていたケルベロスは、

 さらに襲いかかるぼくの風魔法に気付いたとたん、跳躍して避けてしまった。


「あ、ありえない! 魔法を見てからよけるだなんて!」


 魔法は普通、すごい速さで飛んでゆくから、まず避けることなんてできない。

 とくにぼくの魔法は【風】なんだ。

 それをああもやすやすと、


「撃ち抜け!【電光石火】!」


 レニーさんがくり出す【雷】の精霊魔法!

 それがケルベロスに襲いかかる。

 けど、


 ボヒュ!


 その身にまとう炎が燃え盛さかって、雷を吸収してしまった!


「ちっ またかい!」

「レニーさんっ」

「さすがに雷の速さは避けられないみたいだけどね、けどああして炎で雷を受け止めちまうのさ!」

「そんなっ」


 この前の【スピンクス】は、レニーさんの落雷を受けて真っ黒に焼け焦げてた。

 けど、ああして炎をまとっている以上、熱系の攻撃は効かないかも。


「姫巫女さまっ あぶないっ」

「え──」

「跳ね返せ!【水鏡】!」


 ゴォォォォ!


 ぼくの目の前に張られた【水の防壁魔法】が、

 ケルベロスの吐き出した炎を防いでくれた!


「あ、ありがとうございいますっ アルタムさん!」

「いえ、ですが姫巫女さまっ もっと下がって!」


 けど──


 ジュバァァ!


「わっ! こ、これは──」


 吐き出される炎を受け止めていた水の防壁。

 だけどその熱に晒されるうちに、一気に蒸発してしまったんだ!


「くっ マズい、真っ白で──見えない!」


 一面にたちこめた人工の【濃霧】に、ぼくはケルベロスの姿を見失う!


「この霧を、吹き飛ばせ!風樹嘆(ふうじゅのたん)】!」


 ブワっ!


 ぼくの放った風魔法が、あたりの霧を風で吹き飛ばす!

 けれどその瞬間──


 ゴガァァァ!


 ケルベロスがぼくに肉薄して──3つの首が同時に襲いかかってきた!


「喰らえ!【真・塵旋風(しん・じんせんぷう)】!」


 ギュオォォっ!


 ルシアママが放った逆巻く竜巻が、ケルベロスの身体を取り囲む!

 そしてその凶悪な風刃は、縦・横・斜め! 縦横無尽にヤツを切り刻む!


(ってぇ! ルシアママっ なにワザの名前、叫んじゃってるのぉ!)


 ルシアママの風精霊魔法は【考えただけ】で発動するんだから、今まで呪文どころか発動ワードさえナシだったんだ。


(それに助けてもらってアレだけどっ ぼくのまねっこ技に【真】とかつけちゃってるし!?)


 しかも、


「やったか!」

(ルシアママっ ソレって失敗フラグだからヤメてぇぇ!)


 ボヒュウ!


「うわっ!」

「なんと、あの風刃を喰らっても、無傷なのか!」


 ケルベロスは逆巻く風のなかで炎を爆発させて、強引に塵旋風から抜け出してしまった!


「ちっ! アルタムっ この前の【アレ】をやるよ!」

「アレ? あっ 水で濡らした後に 雷で──判りました!」

「喰らいなさいっ【鉄砲水】!」


 ブシャァァァっ!


 アルタムさんの水魔法が、極太の水流となってケルベロスを襲う!

 けれど──


「あぁっ! 避けられたぁ!」

「でもアルタムさんっ もし当たったとしても、すぐに蒸発しちゃうかも?」

「はっ! そうでした!」

「ちっ、ホントにやっかいなヤツだね!」

「こ、こんなのいったい、どうやって倒したら──」


 そのとき──


「【キリエレイソン】!」


 キラキラキラ…


 ガァァァ!


「アイナママ!」

「ハァっ ハァっ 遅くなりました!」


 アイナママの神聖魔法を受けて、ケルベロスのカラダが青白い炎に包まれた!

 それを嫌がったのか、後ろ向きに跳躍して、ぼくたちから距離をとった。


「アイナか! いや、コイツが予想以上に手強くてな」

「そうなのですか?」

「ただでさえ素早く魔法を避けてしまうのに、さらにはあの身体に纏った炎で、雷の魔法も打ち消してしまうのだ」

「なんてこと……」

「で、では私の火の魔法でも?」

「ああ、効き目は怪しい上に、最悪の場合──むしろヤツに活力を与えてしまうかもしれん」

「そ、そんなぁ!」


 まさかの戦力外通知に、がっくりと落ち込むアマーリエさん、

 けど、


「でもアマーリエさん? もしかしたら火の防壁なら使えるかも?」

「そ、そうですよね?」

「いや、火の防壁はあくまで熱で魔物を寄せ付けなくするモノだ。むしろヤツなら、ゆうゆうとそれを乗り越えてくるだろう」

「あぁっ、やっぱりダメなんですねぇ!?」

「ご、ごめんなさい、アマーリエさんっ」


 うぅ、ただでさえ素早くて攻撃が当たりにくいのにぃ

 当たったとしても、炎熱系や水系、そして風刃が効きにくいだなんて!

 そもそもあの3つの頭で同時に見て、考えてるから死角もないし、判断もはやすぎるんだよぉ!


(ん? 3つの頭で同時に? ──そうだ!)


「私、試してみたいことがあるんです!」

「アプリルさん、それは?」

「はい、それにはクリスくんの協力が必要です!」

「ぼ、ぼくでお役にたつなら!」


 そんなぼくとアプリルさんの強い意思に、アイナママとルシアママも頷いてくれた。


「そしてその協力とは──」


 ◇◆◆◇


「【アインヘリヤル】!」


 ぱぁぁ、


 ぼくとアプリルさんの身体を、アイナママの魔法──その全身を【聖防壁】が包み込む。

 これは攻撃による衝撃を緩和・消滅させ、白兵戦を行う対象者の身を守る魔法。

 そしてこの魔法をまとって、ぼくたちは──


「えと、じゃあ失礼しますね?」

「はい、しっかり掴まってください!」


 ぼくのカラダであるアプリルさんを、ぼくはよいしょと背中におんぶする。

 そして風魔法でふわりと浮かび上がると──


「じゃあクリスくん、飛行魔法の制御はおまかせします」

「は、はい!」

「そしてぼくは……【ソニックブレード】!」


 キュ──ン


 ぼくの剣に風をまとわせて、その切れ味を格段に上げた!


「じゃあ、いきます!」


 ギュン!


 ぼくたちはおんぶの体制のまま、ケルベロスに襲いかかる!

 風が持ち上げてくれるから、アプリルさんの重さはほぼ感じない。


「たぁっ!」


 ギャン!


 そう、ぼくがしているのは?

 アプリルさんとふたりで飛ぶことによる、風魔法の【速度強化】!

 それと同時に、アプリルさんが飛行制御。

 そしてぼくが攻撃担当の、いわば【並列思考】!


(アプリルさんとは同じ【風精霊魔法】使いとして、一緒に修行してきたんだ! だからこんなこともできるんだよっ!)


 ズパっ!

 ギャヒン!


「いけるっ!」


 ふたり同時の飛行魔法はとにかく素早く、まるでハチのように襲いかかる!

 そして【ソニックブレード】で強化された剣は、


「たぁぁぁ!」


 ズパバっ!


 ケルベロスの右の首を、切り飛ばした!


「や、やった──うわぁぁぁ!」

「きゃぁ!」


 ゴォォォォ!


「し、しまった! 炎が──」


 【アインヘリヤル】は物理攻撃は防ぐけど、炎熱や雷撃は防げない!

 風防壁が多少は防いでくれたものの、業火の炎にぼくらは吹き飛んだ!


「あぐっ!」

「あぁっ アプリルさん!」


 思わず本当の名前を読んでしまうぼく。

 アプリルさんが壁に叩きつけられるときに、その身でぼくを庇ってくれたから。


「ぐぅぅ、っ!」

「アプリルさんっ 大丈夫ですか!」

「だ、だいじょうぶ、です! まだ、やれますからっ」

「で、でも!」

「わ、私っ 嬉しいんです」

「え?」

「こうして、あなたと修行してきて、その成果がこうして、カタチになったことが」

「あ、アプリルさん」

「あぁ、クリスくんと出会えて、ほんとうに私──」


 そのとき──


「「え?」」


 ぱぁぁぁっ


 アプリルさんの股間に、光り輝く──

 変身ヒモパンが現れたぁぁぁ!?


(ちょっ それぼくのカラダ! だから乙女(しょじょ)ところか、女の子ですらな──)


 そんなぼくの必死な思いはあっけなく無視しされて。

 アプリルさんのカラダが虹色の光に包まれ、そこには──


「土の精霊! 土の元素を司る、慈愛の橙黄の大地! エルフィー・ノーム参上!」

「土にかわってぇ 天罰☆落としますっ」


 きゅぴーん☆


挿絵(By みてみん)


(ぼっ ぼくのカラダで女装しないでぇぇぇ!?」

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