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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
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006 ぼく、アイナママの生徒だもん♪

「えっ 冒険者ギルド! じゃあ街にいけるの? ぼくっ」


 あのミヤビさまとのお話しから数日。

 アイナママがぼくにそう言ってくれたんだ~


「ええ、クリスが誕生日になったら、すぐに行くつもりだったのだけど……」

「あー ぼくがお熱を出しちゃったから~」


 熱を出した、と言うと大したこと無いみたいに感じるかもだけど?

 医療レベルの低いこの異世界では、ちょっとの病気で人が死んじゃうんだ。


(日本でも【七つ前は神のうち】なんてコトバがあるしね)


 とくに、近代医療が確立される前までの時代。

 七歳までは【神様から子どもを預かっていると思って、大切に育てろ】という意味なんだけど──

 それは【いつ死んで、居なくなってもおかしくない】という意味でもある。


(さすがにぼくは、そんな小さいコじゃないけどね)


 あのアイナママの献身的な看護がなければ、ぼくは死んじゃってたかもしれない。

 この異世界は、そんな人の命が軽い世界でもあるんだ。


「ごめんね? アイナママぁ ぼく、がんばって強いコになるから」

「うふふ、そうね。ちゃんと剣の練習もしているのよね?」

「うんっ 最近は走りこみもしてるんだよ?」

「まぁ 偉いわ、クリス」

「えへへ」

「じゃあこんど街に行ったら、お肉でも食べましょうか」

「ホント? やったぁ」

「うふふ お誕生日だものね、レイナにはナイショよ?」

「えへへ わかったよ、アイナママっ」


 レイナちゃんには悪いけど? せっかくのお誕生日だもん、いいよね~

 あぁっ それにしてもアイナママとおでかけ。

 この村を出るのもはじめてだし、すっごく楽しみっ


「そういえば、アイナママ?」

「あら? どうしたのかしら」

「なんで、冒険者ギルドなの?」


 ◇◆◆◇


 【冒険者ギルド】は冒険者のための互助会みたいなもので、町や村の依頼主からお仕事を受けて、それを冒険者たちに振りわける【仲介】が、メインの役目なんだ。


(ギルドには勇者だった前世、あれこれお世話になったなぁ けど、ぼくは冒険者になるワケじゃないのに?)


 するとアイナママはきょとんとしたお顔をした後、気まずそうに目をそらしながら口を半開きにした。


(あ、これ【いけない、言ってなかったっけ?】ってお顔だ)


 するとアイナママは、こほんっ と咳をして、


「冒険者ギルドではね? その人の【ステータス】を調べることができるの」

「あ、ステータス!」

「ええ、目には見えない、その人の【レベル】や【状態】。あと【HP】(ヒットポイント)【MP】(マジックポイント)、さらには【スキル】なども調べることができるわ」

「ええと」


 そう説明してくれるアイナママだけど、前世で勇者をやっていたぼくはもちろん知っている。

 でも『知ってる』って言うワケにもいかないし?

 ここはおとなしく説明を受けておこっと。


「そして【レベル】というのはね? 魔物や魔族を討伐すると、その強さに応じて神々から【経験値】という祝福を頂けるの」

「しゅくふく?」

「神々はね? わたしたち人族に、魔物や魔族を討伐することをお望みなの。それは知っているわよね?」

「うんっ」

「うふふっ 偉いわ、クリス。だから魔物をたくさん討伐する人は、祝福をたくさん頂けるの」

「それが経験値、だよね?」

「そう、そしてその経験値が一定数貯まると、ひとつレベルが上がるの」

「レベルがあがる」

「そしてそのレベルに応じて、その人の色々な能力が上昇するの」

「えと、能力って?」

「それは【筋力】【瞬発力】【知力】【攻撃力】【防御力】ね。そういったチカラがすこしづつ上昇すれば──」

「もっと強くなる、ってこと?」

「その通りよ。うふふっ クリスは賢いわね」

「だって、アイナママの生徒だもーん」

「まぁ、うふふ」


 そういってアイナママが嬉しそうに微笑む。

 あぁ やっぱりアイナママは、笑っているお顔が一番ステキ。


「そうした色々な能力の他にも、さっき言ったHPやMPの数値が上昇するわ」

「ええと」

「HPは、いわゆる【打たれ強さ】を数値化したものね。その最大の数字と、現在の数字を表しているの」

「うたれ強さ?」

「ええ、その数字が大きければ大きいほど【頑丈(タフ)】な人であると言えるわね。そしてその数字がゼロになれば、死亡してしまうの」

「な、なるほど」

「だからといって、ゼロでなければ平気かというと……そうじゃないの。その数値が低ければ低いほど、衰弱しているということだから、HPの残りが1割以下になれば【瀕死】の状態になるわ」

「そうなんだ」

「でも安心して? HPは休息や睡眠で、徐々に回復することができるわ」

「あ、それは判りやすい」

「うふふ そうね。そして回復魔法や回復薬でも一定量回復することができるの」

「アイナママの、得意技だね」

「ママ、回復魔法ならちょっと自信があるわ」


 と、かつての勇者の従者【慈愛の聖女】が言っております。

 アイナママ、この大陸で最高レベルの神聖魔法の使い手だよね?


「じゃあMPは、魔法のこと?」

「正解よ、クリス。ご褒美はぁ ママのキスです。ちゅっ」

「えへへ 最高のごほうびだよぉ」

「まぁ、クリスったら」


 アイナママが、そんなぼくをぎゅっ てしてくれる。

 ぼくもぎゅっ てしかえしたり。


「正確には【魔力量】ね。このMPも最大の数字と、現在の数字で表されるの。そして1割を切れば、だるさや目眩を覚えるし、ゼロになると昏倒するわ」

「倒れちゃうんだ……」


 いわゆる【枯渇酔い】というヤツだ。

 これはほんとうに辛いんだ。

 まるで強烈な乗りもの酔いみたいな──


「このMPも、休息や睡眠で徐々に回復することができるの」

「そこはHPと同じなんだね~」

「そしてこの数値が大きければ【魔法使い】や【神官】としての適正があると言えるわ」

「あ、そっか」

「もっとも、魔力が多いのはほとんどが女性で、男性はその1割にも満たないことが多いの。そのぶん男性はHPが多いから、【戦士】【武闘家】などに向いていると言えるわね」

「なるほどぉ」


 もちろん例外として、魔法が使える男性もごくまれにいるみたいだけど?

 超強力な魔法を使える男性は、アイナママもぼくも、ひとりしか知らない。

 前世のぼく、召喚勇者のことだけどね~


「じゃあ最後のスキルだけれど……スキルとは、神々からわたしたち人族に与えられた、一種の【加護】なの」

「かご?」

「ええ、その技術に対して、一定の研鑽を積むと得られる場合が多いわね」

「たとえば剣の練習をいっぱいすれば、【剣術】のスキルが付くわ」

「そしてスキルを持つと、その行為が難なく……ほぼ無意識に行なうことができるようになるの」

「すごい」


 いわゆる【身体が覚えている】というヤツだね。

 なので冒険者は【スキル持ち】が多いんだ。


「スキルは武器用や魔法用のもの、さらに技術系・生活系など…多彩なのよ? また親から子へ、スキルが受け継がれることも多くて、その場合は誕生の時から備わっているわ」

「そうなんだ?」

「たとえば……うちの村で、代々猟師をしてるおうちがあるでしょう?」

「うん」

「そのおうちの子供は、いまのクリスの歳の頃にはもう【狩猟レベル1】のスキルが付いてたそうよ?」

「そっか、そうやってそのおうちのスキルが、受け継がれて行くんだね?」

「そうね、ふふっ やっぱりクリスは理解が早いわね」

「えへへ」

「なーでなーで」


 そんなアイナママが、ぼくの頭をなでなでしてくれる。

 前世の記憶があるから、ちょっとズルだけど?

 アイナママは説明が上手だから、初めて聞いたとしても、きっと理解できたと思うしね~


「とはいえ、レベルは魔物を倒さないと上がらないから、魔物と関わりの無い多くの人たちは、その一生をレベル1で過ごすわ」

「あ、そっか」

「けれど、MP量やスキルは将来の職業ににとても影響するから、ギルドに登録できる歳になったら、すぐに調べてもらうのが一般的なの」

「なるほどー」


 とまぁそんな感じでぼくの暮らすこの世界では、ステータスを調べるのはけっこう大事。

 まさに一人前になった証ともいえるワケで。


「じゃあ、2~3日のうちにでも、街に行きましょうか」

「アイナママも一緒、だよね?」

「もちろんよ。それともママと一緒じゃ、恥ずかしいかしら?」

「ううんっ というか、アイナママと一緒がいい」

「うふふっ クリスはほんとうに、甘えんぼうねぇ」

「ち、ちがうもんっ」

「あら、そうなの?」

「アイナママは、ぼくが尊敬するひとだもんっ だから一緒にいて恥ずかしくなんてないし」

「まぁ、クリスったら」

「ほんとだよ?」

「うふふ、嬉しいわ」

「えへへ」


 もちろんこれは、おせじなんかじゃない。

 アイナママは、ほんとうにすごい才女なんだ。

 きっとそれは、王都で通用するくらいに


「それにママも、クリスがどんなスキルを授かっているか、楽しみだわ」

「うん、でもぼくにはどんなスキルがあるんだろ?」

「んー、でもクリスはあのステラの息子でしょう?」

「うん」

「だから、ひょっとすると……魔法が使えるかもしれないわね」

「そうだと、いいなぁ」


 そう、ボクの産みのママ、【ステラ】。

 その人はアイナママと同じ、かつての勇者の従者のひとり。

 【土】【水】【火】【風】……すべての【元素魔法】を使いこなす【大陸最強の魔女】。

 ぼくがまだ小さいころに亡くなってしまった、その人の名前なんだ。


「クリスがもし女の子だったら、きっとすごい魔法使いになったでしょうね」

「うぅ でもぼく、男のコだもん」

「うふふ そうね」


 そういって、アイナママはまたぼくを、ぎゅっ てしてくれる。

 でもこれって、男のコを主張するぼくにする事じゃないような?


(うぅ、でもそんなアイナママを、ぼくはふりほどけない~)


 むしろまた、アイナママをぎゅっ て、し返して。

 そんなぼくとアイナママのイチャイチャは、もうちょっと続くのでした。

明日からしばらく、毎日1回更新しますね~

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