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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士
53/92

053 エルフの森の、そういった習慣

「むぅぅぅっ!」

「……………うぅ(大汗」


 いま、ほくとアイナママは──

 ルシアママのお部屋で、床に正座しています。


(え、エルフにも、正座の文化ってあるんだ? って、土下座するくらいだし、それもそう?)


 床にはふかふかのじゅうたんが敷いてあるし?

 ぼくは元日本人だから、わりと平気だけど、


「………………(プルっ ブルっ」

(ああっ アイナママがもう限界っぽい!)


 あれから──

 ルシアママはスネました。

 それはもう盛大に拗ねまくりです。


(うぅ ルシアママ、【激おこ】だぁ)


 ともあれ、ぼくたちは必死にルシアママに説明したんだ。

 これは【手ほどき】であること。

 一人前になった人族は、経験豊富な村の女性からそれを受けること。

 そしてそのぼくの相手を、アイナママがしてくれたこと。


「い、いつからなのだ。その、クリスに【手ほどき】を始めたのは!」

「それは、収穫祭の日から、ですね」

「そんな前からなのかっ?」

「ええ、その数日前の大イノシシの討伐──それが村人たち全員が、クリスを【一人前】として認めた日、でしたから」


 ぼくもいま知ったけど?

 村のお姉さんたちがいっぱい【手ほどき】の相手として立候補してたんだって。

 どきどき!


「な、なんと」

「ですから経産婦であり、夫の居ないわたしが手ほどきをする事に」

「だ、だが──」

「ではふたつ、貴女にお伺いします」

「な、何をだ?」

「ひとつは、エルフの森には、そういった習慣はないのですか?」


 そう聞かれて、思わず『むぅ』っとしたお顔をするルシアママ。

 だけど──


「………いや、ある。むしろエルフの出産率は、人族のソレに比べてかなり少ない。故にそうした教育は必ずする」

「なるほど、そうなのですね」


 やっぱり、エルフにもそういう文化があったんだ?

 そういえば、エルフは【氏族】を大事にする種族。

 赤ちゃんも氏族全体で育てるっていってたし、やっぱりそうなるよね?


「そしてその相手は、同じ氏族の者から選ばれる。その【手ほどき】をする事で、その者も子供を授かりやすい身体になるからな」

「子供を授かりやすい身体、ですか?」

「ああ、エルフは寿命が長いからな。夫婦になってもその期間が長すぎて、どうにも子作りが疎かになりがちなのだ」

「まぁ」

「妊娠出来る期間も長いので、新婚のうちに出来ないと……『まぁ、いずれそのうち作ればいい』と」

「さ、さすがは長生きな種族ですね」


 この世界の人族の平均寿命、は50~60歳くらい。

 それにくらべて6倍近くあるからね。


「となると、ますます赤ん坊が授かりにくい体質になる様でなぁ」

「そうなのですか?」

「ああ、長生きな種族はある意味【生への執着】が薄くなりがちだ。故にそうした行為をすることで、身体が活性化するというか……主に【子孫繁栄】【種族繁栄】への意識が高まるらしいのだ」

「な、なるほど」

「だからむしろ【人妻】の方が、手ほどき役に選ばれることが多いのだ」

「えっ 人妻っ?」

「ま、まさかその【手ほどき】で、子供を?」

「ああ、それは違う。あくまでも自分の夫とだ」

「あ、あぁ、安心しました」

「妻の方は母性本能を刺激され、子供が欲しくなるし……夫の方も何故かその妻を、強く求めるらしいのでな」


 それってNTR(ネトラレ)ですよね?

 な、なんてミヤビさまが【はぁはぁ】しちゃいそうなしきたりなんだ!


「とまぁ人妻は子宝の即戦力だからな。むしろその手ほどきをする事は、慶事の様な扱いですらある」

「そ、そこまでエルフは重視しているのですね」


 そんな習慣がエルフにもあるなら?

 ルシアママも、納得してくれる、かなぁ


「わかりました、ではもうひとつお聞きします」

「むぅ」

「ではルシアは、村のどの女性なら、納得したのですか?」

「ぐっ」

「先程も申し上げましたが、わたしは夫の居ない経産婦。そして『ママ』と呼ばれてこそいますが、血の繋がりもありません」

「うぅ」

「しかもこの村の誰よりも。そしてルシア? 貴女に負けないくらいクリスを愛しています」

「だ、だがっ」

「だが、何でしょう?」

「ぐぬぬ、だが、なら何故、私に相談してくれなかったのだ!」

「そ、それは……」


 アイナママが、目を伏せてる。

 そしてしばらく考え込んで──


「それは、その……ルシアはいつ、帰ってくるか判りませんでしたし」

「な、なら何故帰ってきても、今まで──」

「それは……」

「それは?」

「は、恥ずかしくて、うぅ」(かぁぁぁ)

「んなっ!」

「そ、そこは申し訳ないと思っています。ですが、どうしても恥ずかしくて、言い出せなくてぇ うにゅぅ」

「あ、アイナママぁ」


 お顔をまっかにして、もじもじしちゃうアイナママ。

 かわいい♪


「そ、それにクリスに【レッスン】をするとですね──」


 と、【MP】(マジックポイント)のお話をするアイナママ。

 さすがにそれはルシアママもしらなくて、びっくりしたみたい。


「なんと、MPが……か?」

「ええ、そうよね? クリス」

「うん、さいしょはぼく、29しかなかったけど? いまはそろそろ、400になりそうなんだ」

「400! というと、そろそろ上級の冒険者というところか」

「えへへ」


 ルシアママ自身も、精霊魔法使いだし?

 MPの量の問題に関しては、けっこう大事だってわかってる。

 そしてぼくみたいな【筋力】のない冒険者が、魔法が使えるのはとっても大事!


「で、ですから、その、定期的に【レッスン】をしてですね──」

「ずるい!」

「ず、するい、とは──」

「それならっ! 私とてこの村でクリスを一番愛しているという、自負がある!」

「ルシアママ」

「そ、そして私もまた、クリスの母ではあるが、血縁はないっ にゃので!」


 噛んじゃった!

 かわいい♪


「わ、私も! 義母として、クリスに【女】を教える!」

「「え?」」


 ルシアママが、ぼくと?


「「えぇぇぇぇっ!」」


 ◇◆◆◇


「ルシアママぁ」

「く、クリス」


 そしてルシアママのお部屋に、ぼくたちはふたりきり。

 ステラママを亡くしたぼくを、育ててくれた、大好きなルシアママ。

 そんなルシアママと、【レッスン】する。


「ルシアママ、きれい」


 ルシアママはベッドの上、シーツの下にはなにも着ていない。

 そのきんいろの髪がキラキラ光って、ほんとうに女神さまみたいに見えた。


「ふふ、ありがとうクリス。だが、これは付けたままでいさせてくれ」

「うん、」


 そんなルシアママがぼくに見せたのは、

 ハダカの身体に装備したままの、ガントレット。

 左手首は、魔王戦で失ってしまったから。


「これがないと、クリスを両手で抱きしめられないからな」

「うん」

「すまない、こんな身体で、ほんとうにすまない」

「ルシアママ」


 無事なほうの右腕で、自分の左腕をきゅっと抱くルシアママ。

 だけど──


「ううん、ぼくはこの手になんども抱っこされてきたんだ。だからそんなこと、言わないで?」

「く、クリスぅ」


 ルシアママのその手に、ぼくは指を絡めてきゅっと握る。

 そうしたらもう……

 することはただひとつだけだった。


 ◇◆◆◇


「はふぅ」


 ぼくは──ルシアママおっぱいに、お顔をうずめた。


(ぼくのできるだけのことはした!)


 アイナママとの【レッスン】で身につけた、あれこれ。

 それをルシアママに、ぜんぶ出しきったつもり。


「ルシアママぁ ありがとう。ぼく、とってもうれしかっ──あれ?」

「………………」

「ルシアママ?」


 ルシアママ、なんだか寝ちゃってるみたい?

 ときどき、腰のあたりが【ぴくんっ】って跳ねるけど、さっきから揺さぶってもぜんぜん起きないっぽい。


「うぅ、寝ちゃうくらいダメだったのかなぁ でもこのまま朝まで寝たら、カゼひいちゃうよね?」


 なんとか気をとり直して、ぼくはルシアママをベッドの真ん中にうごかす。

 それで毛布をかけてあげようかと思ったんだけど──


「あれ? なんだろ、この赤いシミ? って……ま、まさかこのシーツの赤いシミって」


 もしかして、血?

 そして見れば、ルシアママの脚の付け根にも、同じ赤いモノが!


「なんてことを! ぼくがあんまりダメだったから、ルシアママのカラダを傷つけちゃった!?」


 いつも元気で【最強】のルシアママ。

 そのカラダから血を流すなんて、魔王戦以外で見たことないのにっ


「あわわ、どどど、どうしたら! ま、まずはキレイなお水で洗って──」


 そんなふうに、ぼくがあわあわしていると、


「う、ん……」

「ルシアママっ」


 ルシアママが目を開けて、ぼんやりと宙をみつめてる。


「ルシアママぁっ ごめんね? ぼくっ ぼくぅぅ ぐすっ」

「く、クリス! どうした、そんな泣いたりして」

「え? だ、だって、ぼくルシアママを傷つけて」

「傷つけた?」

「え? その、平気なの?」

「ん? いやその、平気かと聞かれれば、平気ではいられなかったというか?」

「やっぱり! そんな痛かったんだっ」

「あ、ああ。やはりそれなりに、な?」

「うぅ、ごめんね、ルシアママぁ」

「ん? だから何故、そこで謝るのだ?」

「え? だって、ぼくがあんまりダメだったから、痛かったんでしょ?」

「え? いやその、痛さより、むしろ天国が見えたというか~」

「天国!? 死んじゃうくらいだったのっ?」

「あ、あぁ 途中、何度も『死んでしまう』と──」

「うぅ、やっぱりぃぃ はっ 今ぼくが、回復魔法を!」

「回復魔法? クリス、どこかケガでもしたのか?」

「ぼ、ぼくじゃなくて、ルシアママが!」

「私が? あんなに丁寧に愛されて、ケガなどしていないが?」

「でもっ そこに血のあとが」

「こ、これは……うぅ」


 自分の脚の付け根を見て、びっくりするルシアママ。

 ルシアママ、今まで気づかなかったみたい。


「待ってて! いま呪文を──」

「いや、いらん」

「なんでぇ!」

「こ、これは、仕方ない事なのだ」

「しかたない?」

「あ、ああ……私は」

「今日この今が、初めてだったのだ」

「………………はじめて?」


 ぼくはルシアママを改めてじっと見る。


「そ、そんなに見つめないでくれ……は、はじゅかしいではにゃいか」(かぁぁぁっ)


 かわいい!?

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