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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
16/92

016 アイナママと、デートみたい♡

「うわぁ やっぱり街はお店がいっぱいだね? アイナママぁ」

「ええ、この街には5千人くらい住んでいるそうよ?」

「すごい!」


 それだけぼくの村が、イナカってことなんだけどね~

 それでもお店のある通りには、お買いもののお客さんでいっぱいだ。

 アイナママもぼくが迷子にならないように、さっきから手をつないでくれる。


「ねぇアイナママ? にもつ、ぼくも持つよ?」

「うふふ、大丈夫ですよ。こう見えてもママは力持ちなんです」

「んー」


 そりゃぁ、アイナママはレベル50オーバーの【英雄級】冒険者だし?

 レベルアップで【筋力】とかも高くなってるはず。


「でも、男のコのぼくが持たなくて、女の人のママが持ってるのは~」

「うふふっ そういうのはレイナにしてあげなさいな。あの子きっと、すごく喜ぶわ」

「むぅ そんなの、ぼくが持つのあたりまえだもん」

「ええ、クリスは優しい子ね」


 でも、レイナちゃんはぼくよりも背が、ちょっとだけ! 高くて。

 それに重いものとかを持つときも、レイナちゃんのほうがチカラ持ちなんだ。


「うぅ、もっと剣の練習とか、しなきゃダメかなぁ」

「でも剣術のスキルは、レベルが6もあったのでしょう? それなら今はじゅうぶんよ」

「そぉかなぁ」


 でもそれ、ホントはレベル87なんですぅ

 レベル6はレイナちゃんのレベル5に、1足しただけなんですぅ


「さ、今日はお誕生日のお祝いだから、約束どおりお肉でも食べて帰りましょうか」

「わぁい あ……でもぉ」


 市場の通りには、それこそいろんなお店があって、そこにはお魚やお肉も売ってた。


「ね、アイナママぁ ぼく、やっぱりおうちで食べたいな」

「あら、そうなの?」

「うん、ぼくもお料理、おてつだいするから。お肉はレイナちゃんと一緒に食べようよ」

「まぁ。うふふっ クリスはほんとうに優しい子ですね、ちゅっ」

「やぁん♪」


 そんなぼくに、アイナママはほっぺにキスをしてくれた。

 アイナママとふたりでデートも、いいけど?

 やっぱりおいしいものは みんなで食べた方が、もっとおいしいからね。


「じゃあ今日は、お菓子も買っていきましょうか?」

「えっ いいの?」

「ええ、最近話題になっているお菓子があると、ギルドで伺いましたから」

「わぁい」

「そこでお菓子を3つ買って……レイナにはナイショで、わたしたちはお店でも食べちゃいましょう」

「うあぁ」

「あら? ダメかしら」

「えへへ、ぼくとアイナママの、ヒミツだね」

「まぁ、うふふ」


 そんなぼくたちは、ニコニコしながらお店を探す。

 やっぱりこれ、デートみたいかも♪


 ◇◆◆◇


「えへへ、おいしかったね~」

「ええ、これは当たりでしたね」


 ぼくたちはカフェみたいなお店でほっこり中。

 ちなみにお菓子は、ワッフルみたいな小麦粉を焼いたのでした。

 サクサクしてるのにふんわりしてて、それにハチミツまでかけてあったんだ


(まぁ? この世界のお菓子って、だいたいおさとう入りの小麦粉を焼いたのだけどね~)

「でもこのお菓子、サックリ甘くていいかんじ。おいしかったぁ」

「ええ、そうね」


 ちなみに? ぼくたちの主食も小麦粉で、それでパンを作って食べる。

 だけど保存優先だから、固い黒パンにすることが多い。

 どのご家庭でも7~8日にいちどくらいのペースで焼いて、保存に気をつければ、半月くらいはもつんだ。


(これにマメとおやさいのスープ、だいたいいつもこんなかんじ?)


 で、たまーにお魚やお肉が手に入れば、塩漬けにして少しづつ食べる。

 なので、しょっぱくないお肉はけっこう貴重だったりする。


「えへへ、お肉たのしみ~ お菓子もおうちでまた食べられるし? あぁ、しあわせぇ)

「まぁ、うふふ」


 ここでお茶がほしいところだけど?

 こういうお店では、お酒しかおいてないことが多いんだ。


(そのお酒も、お水でわってるからすごくうすいけどね~)


 だからアイナママも、いまは水割りのワインを飲んでる。

 まえにちょっとだけ飲んだことがあるけど、ぶっちゃけ美味しくない。


(あとビールとかもあるけど~)


 やっぱり薄くておいしくないっぽい。

 でも、塩漬けのお肉やお魚ばっかりだから、どうしても飲みものがいる。

 なので【生水飲んでおなか壊すよりはマシ】ってかんじっぽい。


「それに、おうちなら紅茶があるもんね?」

「ええ、今日はとっておきの缶をあけましょう。それからジャムもたっぷり入れちゃいましょうか」

「わぁい」


 アイナママは、いつも【質素倹約】をモットーにする【神官】だけど?

 ひとつだけ、ぜいたくをするのが【紅茶】なんだ。


(前世のぼくが、そうさせちゃったんだけどね~)


 ◇◆◆◇


 前世の召喚勇者をやってるときも、飲み物はほぼお酒だった。

 品質こそよかったけど。

 でも、前世のぼくもお酒はぜんぜんダメ。

 薄めるともっとまずくなるから、ブドウをしぼったジュースを飲んでたんだ。


(そのジュースも、飲む文化がなかったんだけどね~)


 で、そのうちぼくはこう聞いたんだ。

 『お茶はないの?』って。


(紅茶くらいはあると思ったんだけど……)


 そうしたら、この大陸にはお茶そのものがなかったんだ。

 あるのはいわゆる【ハーブティー】で、それはぼくの好みじゃなかった。

 で、王宮の人が探してくれたのが、ずいぶん前に献上品として届けられた、極東の島国【フソウ】のお茶だった。


(もらってなん年もたってたから、緑茶みたいなのはダメだったけどね)


 中国茶みたいな発酵させたお茶があって、それは紅茶っぽい味と香りがして、けっこうおいしかったんだ。

 で、そのお茶に、


(アイナママが、ハマったんだ)


 そこでアイナママの気を引きたい前世のぼくが、とりあえずそれを【紅茶】ということにして。

 おいしい淹れ方とか、レモンやミルクをいれる飲みかたとかの、ウンチクをおしえてあげたら?

 アイナママは、もっとハマっちゃったんだ~


(でも?)


 そもそも喫茶文化がない大陸だから、あったのは献上品としての1缶づつだけ。

 なので勇者のクエストでフソウに行ったときに、ぼくがワガママをいって、おいしい紅茶を探しまくった。


(クエストと関係ないのにねぇ)


 で、その時に魔族から助けてあげた人が、フソウのえらい人だったんだ。

 お礼をしたいといってきたので、紅茶(っぽい発酵したフソウ茶)を、こっちの王宮あてに送ってほしいってお願いしたら……


(それがいまでも続いてたんだなぁ フソウのえらいひと、ありがとう)


 そしていま思えば? 年にいちど、おうちににお茶をとどけてくれる人。


(あの人、王宮からのお使いのひとだったんだね)


 なのでアイナママはその時期が来ると、うきうきして待ってる。

 そしてその紅茶を、少しづつじっくりと味わいながら楽しんでる。


(アイナママ、かわいい)


 ◇◆◆◇


 そしてアイナママは、ぼくたちのためにもぜいたく品を買ってくれる。


(それは、ハチミツ)


 ほんとうはおさとうが欲しいところだけど?

 それはとってもお高いアイテムで、まだハチミツのほうが普及してる。


(ハチミツとビールは神殿が作ってるから、神官のアイナママはちょっとだけお安く買えるみたいだね~)


 それを季節のくだものと一緒に煮て、ジャムを作ってくれる。

 それでそのジャムは、クッキーとかと一緒に、おやつにしてくれるんだ。

 ぼくもレイナちゃんも、アイナママのジャムが大好き!


(そしてアイナママは、紅茶と一緒にジャムをなめるのが好き)


 いわゆる【ロシアンティー】の飲みかた。

 お茶に溶かして飲むんじゃなくて、スプーンですくって少しづつなめるんだ。

 ジャムの甘さとお茶のシブさが交互にきて、止まらなくなっちゃうんだって~


(ぼくもいつかアイナママにプレゼントしたいけど、どっちもすごくお高いからなぁ、ふぅ)


 ぼくもおこづかいはためてるけど、レイナちゃんのおみやげを買ったらだいぶへっちゃった。

 ちなみに買ったのは、あったかそうなかわいい手袋。

 でも後悔はしていない。


(レイナちゃんの笑顔、プライスレス)


 レイナちゃんはかわいいのに、なぜだかいつも怒ってる。

 だからぼくは、そんなレイナちゃんを笑顔にしてあげたいんだ。


 ◇◆◆◇


 それからぼくたちは、おみやげ用のお菓子を包んでもらって、また村の荷馬車にゆられて村へ帰ったんだ。


(いろいろあったけど、やっぱり楽しかったなぁ)


 おかいものもできたし?

 お菓子もおいしかったし!


(ビキニアーマーは……うん、これはもうあきらめよう)


 あんなかっこうになったとはいえ、女性冒険者は死ににくくなったし?

 なんだかんだで、女の人たちもビキニを楽しんでるみたいだし?

 もちろん男の人たちも、うはうはだったみたいだし!


(それに、ぼくも命を救われてる。ビキニアーマーを装備した、アイナママに)


 そう考えると、あんがいビキニアーマーも悪くないのかも?


(うん、そういうことにしておこう)


 それに、アマーリエさんのお話しも、すごく勉強になった。

 前世の記憶で知ってたこともあったけど、依頼のお仕事のノルマのこととかは、知らなかった。


(でも、それをするのも楽しそ──ん? そうだ、これなら)


 ノルマといえ、これはりっぱなお仕事。

 ちゃんとおちんぎんだって出るんだ。

 だったら──


(依頼のおしごと、いちどは受けてみたいな)


 あはは、やっぱり今日は楽しかったぁ

 お菓子もおいしかったし?

 アマーリエさんともなかよくなれたし!


「あっ そういえば。アマーリエさんがくれたきねんひん、なんなんだろう?」


 そんなぼくが包みをあけると、そこには──


「ん? ちいさな布とヒモ?」

「あら? クリス、それ」


 冒険者ギルドがくれた記念品、それは──

 ギルドのロゴ入りビキニアーマー(未奉納)でした。


「クリス、装備してみましょうか♪」

「ぼくっ 男のコなんですけどっ」

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