表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
15/92

015 救国の英雄からの、おねがい

「こ、これは……すごいですね」


-------------------------------------

・名 前:クリス

・性 別:男

・レベル:LV01

・状 態:正常

・H P:13/13

・M P:29/29

・スキル:

    【剣術:LV06】【盾術:LV08】【清浄魔法:LV03】【回復魔法:LV01】

    【土魔法:LV01】【風精霊魔法:LV01】【作法:LV05】【調剤:LV04】

    【清掃:LV06】【文章作成:LV04】【治療:LV01】【薬草栽培:LV03】

-------------------------------------


(どきどき!)


 HPはレイナちゃんとおなじに──ほんとは1たしたけど?

 でもっ 勇者スキルをほぼ消して、剣と盾も少なくしてあるのにっ


(やっちゃったの? ぼくっ!)


 アイナママのお顔を見ると、最初こそちょっと驚いたかんじだったけど?

 とても嬉しそうにニッコリとほほえんでる。


「こほんっ 失礼しました」

「い、いえ?」

「HPこそ、クリスくんの年齢相応の数値ですが……驚くべきはそのスキルの数多さです」

(え? スキルの数、多いの?)

「しかも【剣術】【盾術】の武術系スキルは、すでに6等級クラス。【作法】【調剤】などの技能スキルも、すでに働いている新人並み」

(そうなの?)

「そしてなんといっても魔法スキルが4つ! さらにはレベル1の時点で、MPが30近くあるだなんて!」

「え? これ、多いんですか?」

「クリスくん? そもそも男性は、1桁を越えること自体、珍しいんです。まったくMPのない人も多いですし、これはすごい事なんですよ?」

「そう、ですか」


(しまったぁ! もとが20万だったから少なく感じてたけど、これでも多かったんだっ でもスキルとかは、ホントにあるやつだしぃぃ)


 すると、アイナママがくすっと笑う。


「やはりステラの息子ですね。クリス? 彼女もあなたがその素質を引き継いでくれて、さそや喜んでいることでしょう」

「アイナママぁ」

「そうでした! クリスくんは【大陸最強の魔女】ステラ様の──」

「アマーリエさん?」

「は、はいっ アイナさんっ」

「これは【お願い】なのですが……」

「ななっ なんでしょうか?」

「クリスが、男子にしてはMPが高いこと、魔法スキルがいくつかあること……それらは【秘匿】していただけると、たいへん助かるのですが」

「そ、それは──」

「もちろん、ギルドのしかるべき立場の方々には、通達していただいて結構ですので」

「でっ ですがっ」

「うふふ、お願いしますね?」ゴゴゴゴゴ……

「しっ 承知いたしました!」


 そんなアイナママの【笑顔の威圧(ゴゴゴゴゴ)】に、即堕ちするアマーリエさん。


(救国の英雄の【おねがい】だもん、これはことわれないよねぇ)


 たぶん、このぼくのスキルやMPの多さは、確かに多いみたいだけど?

 それよりも【救国の英雄の息子】だから、という立場に興味を引かれる人が多いんだと思う。

 だから、


(アイナママはそういう人からぼくをまもってくれてるんだ、ひみつにすることで)


 とはいえ、ぶじ(?)にステータスも調べられたし?

 ギルドですることはもう終わりかな?


「では……このたびクリスくんは、冒険者ギルドへの加入をご希望とお伺いしておりますが、よろしいでしょうか?」

「あ、はい」


 さいしょは、ステータスを調べるだけのつもりだったんだけど? ぼくもギルドに入ることにしたんだ。

 アイナママも冒険者ギルドに籍があるみたいだし、ね。


「うふふ、ありがとうございます」


 するとアマーリエさんは、また別の紙をとりだした。

 そしてまたぼくに向かって、すっとさし出してくれる。


「こちらが、冒険者ギルドの加入書類になります。失礼ながらクリスくんは、文字は?」

「あ、はい。よむのもかくのもできます」

「まぁ、それは素晴らしいです」

「えへへ、アイナママがおしえてくれましたから」

「そういえば【文章作成】のスキルがありましたね」


 やっぱり読み書きできる人は、あんまりいないみたい。

 なのでとっても褒めてくれたけど……

 そんなぼくをアイナママは、とっても嬉しそうに見つめてくれたんだ。


 ◇◆◆◇


 あ、ちなみにこの世界では、紙はそれなりに普及してるんだ。

 いわゆる植物からできてる紙で、その品質は繊維が見えちゃってざらざら。

 色もけっこう茶色かったりする。

 それにけっこうお高いけど、そんなにめずらしいものでもなかったりする。


(なん代かまえの召喚勇者が、広めたそうだけど?)


 でも、紙は普及してても、やっぱり本はほとんどない。

 印刷技術がぜんぜん進んでないから、ぜんぶ手書きしないといけないからね。


(そんなお高い紙を使えるなんて、やっぱりギルドはもうかってるのかな~)


 なんて思いながら、ぼくは必要事項を書いてゆく。

 とはいえそれは、住んでる村のなまえ。

 それと男か女か? と、じぶんのなまえと歳、だけだったけど。


「はい、かけました」

「ありがとうございます、クリスくん。あら、とても綺麗な字ですね?」

「えへへ」

「うふふ、ではこれで正式に、クリスくんも冒険者ギルドの一員となります。今後とも、よろしく願いしますね」

「はいっ、こちらこそ」


 アマーリエさんが差し出した手を、ぼくもきゅっと握る。

 あ、この握手の習慣も、まえに勇者が広めたそうです。


「ではアイナさん、これで手続きはすべて終了いたしました」

「はい、お忙しいところお手数をお掛けして、申し訳ありません」

「いえっ そんな」

「ですが、クリスも現場で実際に働く、あなたのお話が聞けました。それはかけがえない経験となって、この子の糧となるでしょう。ほんとうに、感謝しています(ニコっ)」

「あ、あぁ……そんな、恐れ多いですぅ」

「では、こちらをお収めください」

「お、恐れ入ります」


 アイナママは袋に入ったままの……たぶんお金?

 それをアマーリエさんに差し出した。

 たぶん検査にかかったお金とか、それとも入会金かな?


「では行きましょうか? クリス」

「うん、アイナママ」

「あっ クリスくん」


 ぼくたちが立ち上がると、アマーリエさんも一緒に立ち上がる。

 そして、布に包まれたなにかを渡してきた。


「こちらをどうぞ、ギルド加入の記念品です」

「え? いいんですか」

「ええ、魔法適正のある子には、さしあげているんです(ニコっ)」

「うわぁ ありがとうございますぅ」

「いえいえ クリスくんは将来有望ですからね。ギルドとして── いえ、私個人としてもバックアップは惜しみません」

「あ、ありがとうございます?」


 個人?


「それにあのスキルなら、うちの支部の職員としても即戦力です」

「そうですか? えへへ」

「ええ、その気になったらぜひ! 私たちと共に、冒険者たちを導いてあげましょう! クリスくんなら──立派な受付嬢になれますよ」

「ぼくっ 男のコですけどっ」


 ◇◆◆◇


 アイナママと一緒にギルドをでて、街を歩く。

 【おこ】なぼくだったけど?

 アイナママが手をつないでくれたので、すぐにきげんもなおっちゃった

 そして街はあいかわらず、ビキニ姿の女の人でいっぱいだ。


「ねえ、アイナママ?」

「あら? どうしたのかしら?」

「あ、あのね? もしかして」

「なぁに?」

「前にぼくがお熱をだしたとき……アイナママ、ビキニ装備してた?」

「………………(ふいっ)」


 なにもいわず、目をそらすアイナママ。

 いやそれ、装備してたっていってるのとおんなじだから。


「ええと、アイナママ?」

「クリス? 世の中にはね……」

「知らなかった方が良いものも……あるのよ?(ニコっ)」ゴゴゴゴゴ……

「ひぃっ」


 で、でも……いまのぼくならよくわかる。

 ビキニアーマーを装備すれば、【知力】の数値が倍増する。

 それは魔法の威力も、さらに強大してくれるはずで。


「ぼくのために、回復魔法のチカラをすこしでも高めるために……装備、してくれたんでしょう?」

「……ええ、そうですよ、クリス。このままでは、あなたが死んでしまうかもしれない。そう思ったら迷いはありませんでした」

「あ、アイナママぁ」


 そんなアイナママの思いやりが嬉しくて、ぼくはアイナママに抱き付こうと──


「ですが!」

「えっ?」

「いいですか? クリス。この件は、誰にも話してはいけませんよ?」

「え? そうなの? でも──」

「いえ! わたしの様な者がビキニアーマーを着るだなんて……」

「えっ?」


 あれ?

 アイナママが神殿の人とおはなししてたときも、ビキニを装備した神官の女の人は、いっぱいいた。

 だったら、同じ神官のアイナママが装備しても、おかしくないよね?


「ええと、アイナママ? 神殿でも装備してる女の人、いっぱいいた──」

「クリス」

「はいっ」

「一度しかいいません、よく聞いてください」

「は、はひっ!?」

「ビキニアーマーはね」

「び、ビキニアーマーは……?」


「20代中程までの、若い娘が装備するものなんです」

「おぅふ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「ビキニアーマーは20代半ばの 若い娘が着れるんですよ」 なんと実体験が籠もったお言葉ですな… きっとお土産はビキニアーマーに違いない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ