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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
13/92

013 ギルドの受付嬢さんも、ビキニでした

「おー、ここが冒険者ギルドなんだね」

「ええ 、じゃあ手続きをしましょうね?」


 ケストレルの街の冒険者ギルドはけっこう立派な建物で、そこにはたくさんの職員さんや冒険者でにぎわっていました。


「えっ? あのコ、聖女様のお嬢様じゃなかったの?」

「違うわよ! あの子はステラさまのお子さん。しかも男の子!」

「うっそ! あんなカワイイのに? 男の子なのっ?」

「あのねぇ あんな可愛い子が女の子のワケないでしょう? ハァハァ」

「やーん カワイすぎるぅ」


 なんて声が聞こえるのは、ぼくの気のせいでしょうか?

 アイナママもステラママも【救国の英雄】だし? 目立つのはしかたないけどー


(なんでさっきから、ぼくのことばっかり!)


 ちなみにいまの女のひとたちは、ギルドの受付嬢さんだったりします。

 しかもみんな若くてきれいなひとばかり。


(やっぱり気性の荒い冒険者相手のお仕事だから? 美人さんを並べておいたほうが、つごうがいいって聞いたことあるけど)


 ギルドの女性職員さんも、若い女性はみんなおそろいの制服とビキニです。

 たぶん20代じゃないっぽい女の人は、スーツっぽいのを着てるけど。


(ギルドとしても、ビキニアーマーを推してるんだなぁ やっぱり若い女性冒険者に着てほしいよねぇ)


 そもそも女性冒険者というのは、若い女性がなる場合が多いんだ。

 そして、死んだりケガをしたりすることがなくなれば、けっこう稼げるお仕事でもある。

 つまり、


(若くて稼げる女性冒険者というのは【かっこいい】んだよね)


 街の普通の若い女性たちにとっては、ちょっとした【アイドル】みたいな?

 すると、そのビキニ姿はけっして恥ずかしいモノじゃない。

 むしろ冒険者じゃなくても、進んでマネすべきモノ

 ──と、いうことになってるのかも?

 と、いうことは、さっきのお兄さんの喜びかたからすると、


(日本人の感覚だと【ブラウスにブラが透けてる】くらいのエッチ度っぽい?)


 そりゃぁ前世のぼくだって? 夏場の女子やキレイな女先生のブラウスが透けてて、ちょっと嬉しくなった時はある。

 でもそれを、わざわざ指摘するのはヤボってモノだし?

 逆に【エロい目で見てる】って思われかねない。

 だからこの場合──


(むしろエッチな目でみるのは【×】、マナーいはん。ココロの中でだけ、こっそりエッチな目でみるのが【○】)


 そうやって、理解したうえで街を見れば──

 ビキニ姿の女性を横目で見ては、鼻の下をのばしてる男の人。

 それに気付いて呆れてるけど、べつに気にしない女の人。

 そんな構図が、あちこちで見られた。


(うぅ とにかくあれは防具! エッチなモノじゃない! だからエッチな目で見ちゃだめなんだ~~~っ)


 必死にそう思い込もうとするぼくだけど、


(でも、でもだよ?)


 そりゃぁぼくだってビーチでのビキニ姿なら、なんとも思わない。

 いや、少しは思うし? おっぱいとかおおきければ、そりゃあ見ちゃうけど?

 でも少なくても、むやみにエッチな気分になったりしない。


 じゃあ、想像してみてほしい。

 たとえば日本のお役所とか銀行に行ったとして、そこの若い女性職員さんが、みんなビキニだったら?


(むむむっ ムリっ だってこれ、ギャップがありすぎるよぉっ!)


 ◇◆◆◇


 そんなぼくがアイナママに手を引かれて、受付カウンターのひとつにすわった。

 アイナママは、ぼくの後ろに立っているつもりだったみたいだけど?

 職員さんがイスを持ってきてくれたので、ふたりで並んですわってます。


「初めまして、アイナ様、クリス様。冒険者ギルド、ケストレル支部へようこそ」

「はっ はひ」

「私は受付嬢のチーフを務めさせて頂いております【アマーリエ】と申します。今後は私がクリス様の担当を仰せつかりました。以後よろしくお願いいたします」


 そのカウンター越しに、やっぱり美人さんの受付嬢がそういった。

 チーフさんだからなのか、やっぱり話し方がていねいでキッチリしてる。

 明るいブラウンの髪を片方だけ耳を出してて、ほんとゴージャスな美人って感じのお顔に、おデコがチャームポイント☆

 そしてビキニを着ていて、おっぱいがおおきい。


挿絵(By みてみん)


「こちらこそよろしくお願いしますね、アマーリエさん。ですが、わたしもクリスもただの村人に過ぎません。どうか【様付け】はお止めいただき、気さくに話しかけくださいね(ニコっ)」

「は、はいっ アイナ様っ ──いえ、アイナさん」


 そんなアイナママの【聖女スマイル】に、さすがのチーフさんもほっぺを赤くしているみたい。


(んふふ、やっぱりアイナママはすごいなぁ。いつもこうやってほほえんでるだけで、みんなをポカポカさせちゃう)


 そんなチーフさん、アマーリエさんは、いちまいの紙を取り出した。

 そしてカウンターに置くと、それをぼくらについっとさし出す。


「では、当ギルドの規定についてご説明させて頂きます」

「はいっ」

「これは、すでにギルド会員である方からのご説明を頂く事で、省略する事もできますが、いかがいたしますか?」

「ええ、お手数ですがご説明いただけますか? やはり、専任のあなたの説明の方が適切でしょうし(ニコっ)」

「は、はいっ アイナ様 ──いえアイナさんっ」


 おぉぅ、またアイナママのファンが生まれてしまった。


(でもぼくなんて、ずうっと前からファンなんですからね! えへん。ちなみに前世は恋人だっだし?)


 なんて自慢にならない自慢をぼくがしていると、アマーリエさんは書類をこちらに見せながら、ぼくに解説をしてくれたんだ。


「ではまず、当冒険者ギルドについてご説明いたします」

「よろしくおねがいします。アマーリエさん」

「まぁ、こちらこそお願いしますね? クリスさん」

「ええと、ぼくのことは【クリスくん】でいいですから」

「うふふ ええ、わかりました、クリスくん」

「えへへ、ありがとうございます」


 そんなぼくのお願いに、なぜだかニコニコしているアマーリエさん。

 ぼく、男のコだから【くん】って呼んでほしいだけなんだけどなぁ。


「では改めまして。まず冒険者ギルドとは、魔物や魔族の討伐を基本とした、冒険者の為の互助組織となります」

「ごじょそしき?」

「つまり冒険者の活動を助け、同時にその力を活用するという、互いに支え合っていて、はじめて機能する組織といえます」

「ええと、ギルドはおしごとを出して、冒険者がそれをうける。冒険者がおしごとを成功させれば、ギルドはお金をはらう。こんなかんじですよね?」

「ええ、その通りです。クリスくん、すごいわ」

「えへへ」


 これもアイナママに教えてもらってるし、前世でもしってるからね~


「そしてその存在は国や貴族様の組織ではなく、あくまで民間組織になります。ですのでギルドと冒険者のやりとりには、一部【税金】が発生します」

「ぜいきん」


 これはぼくもしらなかった。

 もちろん、この世界に税金があることは知っていたけれど。


 ◇◆◆◇


 ぼくの住む国は、いわゆる王さまがいる【王国】です。

 その王様の住む王都や直轄地は、王さまが直接管理しています。

 で? それ以外の地域は、3人の侯爵さまと5人の伯爵さまたちが、それぞれ管理してるんだ。


(この人たちが【上級貴族】って呼ばれてます)


 そしてその領地もさらに細分化して、子爵さま・男爵さまと、下位の貴族さまが統治していて……

 ぼくの住む村は、とある子爵さまが領主として治めてるんだ。


(こちらは【下級貴族】だね~)


 で、ぼくたちはその領主さまに、税を納めている。

 それはお金だったり、麦とかの穀物だったりするけれど?

 その税は【人頭税】という、住民ひとりひとりにかけられたものになるんだ。

 それが子供だろうが老人だろうが税率が変わらないので、現代日本の知識があるぼくとしては、だいぶビミョーに思えるけど~


(ちなみにぼくらの領主さまは、それほどきびしくないみたい)


 そんなこんなもお仕事をおてつだいしているときに、アイナママが教えてくれたんだけどね~

 アイナママ、村の財政管理も手伝ってるから。


 ◇◆◆◇


「そして冒険者ギルドにおける冒険者収入──お仕事は、次のようなものになります」


「ひとつめは、依頼者からの依頼を達成する事による【依頼報酬】です」

「いらいほうしゅう」

「冒険者が受け取る成功報酬に関しては非課税ですが、その1割を手数料としてギルドに支払う事になります。いわゆる【仲介料】という事ですね」

「ちゅうかいりょう」


「ふたつめは、魔物&魔族を討伐した際に得た【ドロップアイテム】などを、ギルドに販売する事による【販売利益】です」

「はんばいりえき」

「こちらは冒険者が受け取る利益に関して、1割の課税対象となります」

「かぜいたいしょう」


「最後のみっつめは、魔物および魔族を討伐。その討伐証明である【魔石】をギルドに納品する事による【討伐報酬】です」

「とうばつほうしゅう」

「こちらの冒険者が受け取る成功報酬に関しては、非課税になります」

「ひかぜい」


 この前のスライムたちを倒したときにもでた、魔石。

 魔物や魔族は、体内に魔力のみなもとである魔石をもっていて、死亡するとそのカラダはかき消えてしまうんだ。

 そしてあとには魔石しか残りません。


(だから魔物の素材とかは取れないけど?)


 魔石はいわゆる【魔力の結晶】であり、マジックアイテムの電池代わりに使われたりもするから、高く売れる。

 それにたまにその魔物由来の【ドロップアイテム】が出たりする。

 これは天界の神さまによる【神の御業(みわざ)】のひとつ、だそうです。


(ええと、つまり)


 『○○を討伐して』という依頼を受けて、その魔物を討伐して魔石をゲット。

 で、その魔物から出たドロップアイテムもゲット。

 それをぜんぶできれば……3種類の報酬がぜんぶもらえるってコトだね。


 そしてギルドを通すと、なんだかんだで1割の税金をとられるけど?

 魔物を倒した時の討伐証明。

 つまり魔石の買取料金だけは、税金がないですよー というわけだ。


(うーん。これはきっと、やっぱり魔物を討伐するのをオススメしてるんだろなぁ)


 そもそも冒険者って、要は兵士になれなかったり、次男以降で継ぐ家のない人。

 そして職にあぶれた人──そういう人たちがなるモノだったりする。


(つまり、誰でもなれる職業ってことだよね)


 でも、冒険者はケガをしやすいし、死にやすい。

 ギルドのバックアップがあるとはいえ、すべてが自己責任で行われるから。

 だから冒険者の命は安い、そう言われてる。

 だからきっと、その【命が安い】ということに対する配慮、


(そういうコトなんだろうなぁ)


そういう意味なら、前世のぼくも討伐中に死んじゃった冒険者?


(……ん? そういえば)


 前世のぼくって、衣・食・住はしっかり支えてもらってたけど?

 それ以外のお買いものは、アイナママが王城からあずかったおサイフでしてた。

 だからとくに気にしてなかったけど……


(ひょっとして前世のぼく……おちんぎん、もらってなかった?)

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