転生しました
僕は死んだ。
そして、僕は、自分が生まれ変わったことを知った。
おそらくここは日本ではない。
周りに居る彼らの話す言葉も分からない。
僕は、おそらく転生したのだった。
母親だと思われる人物に抱かれることは心地よかった。
しかし、それ以外の全ては僕にとって、針のように痛く不快に感じられた。
これは比喩ではない。
生まれでたそのとき、世界は針のように物理的な痛みを身体中に与えた。
僕は生まれたばかりの赤ん坊で、視力は日に日に良くなっているが、まだ光や炎を眺めると目が痛くなった。
針のような痛みは、だんだん、それが普通になっていき、そして痛みを感じなくなっていった。
体はまだ、満足に動かせない。
空気を吸い込めば、喉と肺は焼けるように痛くなる。
そして、すぐに眠たくなるし、すぐに腹が減った。
寝ているときと、母親の母乳を飲むときだけが、一瞬の幸福だった。
光、音、空気に漂う塵、炎に群がる虫、僕を包む粗い布、すべてが不快だった。
目や耳の中、喉、肺、皮膚、外界に接する僕の全ては、気を抜くとすぐに痛みを生む。
その痛みは、少し寝ると消えてしまう。
そして起きると再び痛くなる。
しかし、再び寝るとまた痛みは消えてしまう。
この繰り返しが、成長なのだろうか。
生まれ変わったことは、まったく嬉しくなかった。
世界は不快に満ちていた。
ただ母の温かみだけが癒やしだった。僕はそうやって日々を過ごした。




