表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/225

『6話 初めてのクエスト』

『6話 初めてのクエスト』


 冒険者ギルド店内。

 俺がちょっと怖がっているところにエテルナは掲示版から発見してきたようで、


「マツシマのやる気に感動したわ。最初にしてはいいクエストを見つけた!!」

「あっ、そうですか……。じゃあお願いします」


 もうやるしかない感じ。

 冒険者としてデビューする日。

 なんでも経験だろうと思いたいので、俺としては積極的に攻めてみたい。

 俺が悩んでいるのにも関わらず、早くもエテルナは、ギルド受付けの女性と相談していて、


「こちらのクエストはチュウワラビットの討伐となります。登録したばかりのマツシマさん向けでしょう。それにエテルナさんもご一緒ということで、問題ないでしょう。こちらのクエストを受付けました。お気をつけて!」


 受付けの女性は笑顔で俺を見送る。

 受付けの女性が大丈夫と判断したのだから、あまり心配はせずに魔物とご対面と行きましょう。

 確か名前はチュウワラビットと聞こえたが、ラビットと名のるくらいだからウサギだろう。

 ウサギなら何もスキルや魔法などなくても倒せそうだが。


「さぁ!! マツシマ、初のクエストですから張り切って行きましょう!! 相手はチュウワラビット、ラビットではそれほど強くない魔物だから、一緒に戦いましょう。それと魔物は見たことない?」

「いいえ、一度あるんだ。王都にオーガが乱入してきたのを偶然に見たんだ。あれは驚いたな、なにせ異世界転生して直ぐのことだったから」


 あれは驚いた。

 オーガレベルの魔物には二度と会いたくないし、こちらからゴメンだ。

 オーガを倒した賢者は別格だろう。

 人間離れした強さだったのはハッキリと記憶に残っているし、とてもマネできるものではなかった。

 初心者向けの魔物というのが、どの程度のレベルなのかは、対してみてわかるのもある。

 

「あのオーガは賢者が討伐したの! 王都には騎士団と賢者いるから簡単には負けないわ。私のレベルは程遠いけどね」

「賢者は最強クラスなのかな」

「賢者は騎士団より、さらに上の職種。誰もが憧れる職種が賢者」

「冒険者や賢者より、やっぱり貴族の方が上の地位でしょ。貴族と言えば金持ちで権力もありそうだしさ」


 俺の持つ貴族のイメージだと金持ちの嫌な奴って感じだ。

 庶民を上から見下ろす感じがする。


「あなた! 私が貴族で金持ちだろうと察して、誘拐して金をゆするきだな!!!!」

「ゆすらない!!!」


 誘拐なんてしないのに、勝手に誘拐犯にしないで欲しい。


「エテルナ、レベルはどの位なの?」


 まだエテルナの詳しい強さは知らなかったけど、賢者クラスではなさそうだ。

 

「冒険者レベルは10。と言ってもマツシマにはピンとこないでしょう。だいたい初級ランクを抜けたあたりかな。ひとりで魔物と戦っても倒せるくらいのね」

「俺よりはかなり上なのだろうな」


 俺のレベルは冒険者レベル1だった。

 最初だから当然か。

 レベル10てのはゲームで言えばある程度の魔物を倒したくらいだから、強敵の魔物と遭遇したらエテルナも終わりてことだ。

 

「とにかくクエストに向かいましょう。場所はわかるから!!」







 エテルナはギルドを出ると俺を王都の外に連れ出す。

 王都から外に出ると綺麗な平原が広がっており、美しい光景に思わず嬉しくなった。

 しかしここは魔物の住む平原であるので、ピクニックに来たのとは訳が違うし、嫌が上でも緊張感が高まってきました。

 しばらく歩くと俺は怖くなった。

 日本なら平原を見たら気持ちいいとかなるのだがここは異世界、平原に魔物の姿が現れて俺の前に。


「マツシマ、あれがチュウワラビットよ。まず私が倒すから見てて!!」

「はい……見てます」


 魔物を見るのも嫌なので他所を向いた。

 そしたら視線がちょうどエテルナの胸に行った。

 もう一度触りたいな……。


「どこを見てるのかな?」

「い、い、いや魔物を……」

「胸を見てなかったかな!」

「見てません!」


 エテルナが先にお手本をみせるようで俺は下がって冒険者の先輩をじっくりと拝見させてもらいます。

 後ろ姿からはまたもパンツが丸見えだが、彼女は気にしていないようですので、俺も知らない振りをした。

 エテルナは剣士と言っていたから、剣が得意として剣なら接近戦を取るのを予想する。

 遠目には剣が届かないからで俺の思った通りにエテルナは素早く接近していく。

 接近した途端に剣でチュウワラビットの胴体をバッサリと一撃。

 たった一撃でチュウワラビットは倒されてしまったようです。

 案外弱いのか、それともエテルナが強いのかわかりづらい結果でした。

 

「どう? こんな感じで魔物を倒せばいいのよ。でもマツシマはファイアが使えるのでしょ、そしたらファイアを使ってみましょう。もちろん私が近くに居ますから、安心していいわ!」

「ファイアね。俺にはファイアしかないからな。じゃあやってみます」


 こんな感じって、簡単に言うが俺は武器を持ってないのですけど。

 素手で冒険に出るのは危険過ぎるのを実感しましたが、今はファイアで対抗します。

 一回だけホットメルトを溶かすのに使ったファイアを初めて魔物に使う時が来た。

 チュウワラビットは俺に向かって突進して来る。

 大きさは普通のウサギ程度かやや大きいくらいですが、大きさは関係なく魔物。

 ファイアを軽く手から出してみた。

 俺の魔力は限りなく低いレベルだ。

 ラビットに効くかは不安もある。

 エテルナも近くにいて、火が燃える。


「ちょっと!!! 私の防具を燃やす気じゃない!! 裸にして盗賊に売るとか!!!!」

「盗賊になんて売らないよ!!!!!」


 軽くファイアを出した途端に、なぜか盗賊まで話が飛ぶ。

 面倒なので、火属性魔法ファイアを放つ。


「ファイア!!!!!」


 ファイアは俺の手から生まれてチュウワラビットに命中。

 命中したのは頭の部分でダメージはかなりあったようで、チュウワラビットはよろけて倒れる。

 どうやら俺の初の魔物討伐はファイアが命中し見事に成功したようです。

 エテルナも楽勝でしたが俺も楽勝でした。

 最低ランクのクエストなら問題ないと言っていたから心配し過ぎた感はあるよね。

 俺はエテルナに笑顔を作ってみたところ、


「マツシマ!? まだラビットは死んでない。よそ見をするなっ!!!!!」

「ええっと?!」


 ついエテルナの方に顔を向けていたらエテルナから指摘されて驚いたいて、それはチュウワラビットがまだ死んでいなかったからで、俺に鋭い爪をむけていた。

 その爪は俺の手を足を深く傷つけると、足に激痛が走って、マジで痛いです!


「ああああああ!!!!」


 その後はチュウワラビットにエテルナが剣で切ってくれて命は助かりましたにが、危ないところでした。

 

「大丈夫かマツシマ!!!!!」


 抱きつくくらいまで接近して、エテルナは俺の足を心配してくれたが、血が流れていて痛みは消えないです。

 エテルナの胸に顔が当たっていて、痛みが消えていくような感じ。

 痛いけど胸の感触が鎮痛剤となって痛みを和らげていた。

 ずっとエテルナの胸に当たっていたいものです。

 魔物を軽く見過ぎていたのか。

 てっきり死んだと思い込んだ俺のミスだった。


「大丈夫っすよ。すみません、俺のミスだね」

「初めての魔物との戦いだから仕方ないわよ。こういうこともあると覚えておくことね。油断は命を失うと」

「チュウワラビットは俺のファイアレベル1で一撃では倒せなかったわけで、これはダメージが弱いと言えるかな」


 ちゃんとファイアはチュウワラビットの頭に命中していたにも関わらず、息を吹替えして攻撃してきたのだから。


「そうね、ファイアレベル1はかなり弱いのよ。何度か命中させると倒せるはず」

「ファイアレベルを上げる方法はありますか」


 このままではキツいからな。

 魔物を倒すには弱すぎるし、もう少し強い魔物が現れたら俺も攻撃を食らうだろうから、強くしたいです。

 スキルのホットメルトが俺にはある。

 ホットメルトを使いファイアを強力化できれば最高だが。


「戦いをしてファイアの経験値を上げていくこと。これはとても地道で気の長い作業。レベルを上げていくとステータスも上がるの、魔力や体力などね。その時に魔法のレベルが上がることがある。条件として戦闘時にその魔法を使うこと。使わなければレベルは上がらないの。もう一つは魔導書を使う」

「魔導書とは?」


 名前からして魔法の本だろうと思うけど。


「魔導書は魔法を覚えることが可能な本だわ。それを使用して呪文をマスターすると自分の魔法として覚えられるの。本は消滅してしまうので、一回きりの本。そして魔導書で覚えられる魔法はレベル1のみ。数ある魔法を自分の覚えたい魔導書から覚える。そこからは自分の力でレベルを上げていく」

「なんだ、そんな便利な方法があるなら早く教えて下さいよ! 俺にピッタリです」


 魔導書があれば楽々に魔法を覚えていせそうな気もする。

 魔法の種類は数多くあれど、レベル1の本しかないようだ。

 俺のホットメルトで魔導書が作れれば面白いけどなぁ。

 どの様な本なのか見てみたい。


「教えろ……、教えろとか言って、さては私が気を許したところを襲うのだろ!!!!」

「だから、襲わない!!!!」

「それならいいが、魔導書は魔導術式が書かれてある。魔導術式は大賢者のところで修行した賢者しか書けないの。賢者が長い修行の末に書くことが出来るの」

「なるほど、魔法を研究して覚えられる賢者のみか。俺には無理かな〜」

「ええっと? それはどう言う意味です?」


 エテルナは頭を傾げる風にした。


「俺にはスキルでホットメルトがある。それは本を製本するノリの役目を持っていて紙を接着できるんだ。だから魔導書を作りたいと思った」


 エテルナにこのスキルの説明でわかってもらえるかと言えば難しいかも。

 ホットメルトは見てくれてた方が説明するよりもわかりやすいから。


「本を製本するスキルがホットメルト……、もしやあなたは私が貴族だから、裸にして貴族の女の本を作り売る気ではないか!!!」

「エロ本を作るとは言ってない!!!!」


 この世界にもエロ本はあるのか。

 思わずエテルナのエロ本を想像してしまった俺は顔を赤くしてるかも。

 魔導書があるなら、エロ本的な本も作ることは可能だろう。

 

「紙を接着するのと魔導書を作るのは意味が違うでしょう。でもマツシマが興味あるなら王都に帰って魔導書を買ってみましょうよ」

「それいいね。ぜひ行きたいです!!」


 エテルナがホットメルトに感心を持ってくれたようで、王都に帰ることにし、ホットメルトで魔導書が作れるかを知れるかもだ。

 楽しみになってきた。

 異世界でのホットメルトを使い魔導書を作る俺のやりたい事が少し届きそうだ。

 このクエストはファイアがあの程度なのがわかっただけでも収穫としよう。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ