『43話 ビッグワーム現れる』
『43話 ビッグワーム現れる』
大変嬉しいことにジェニアさんが協力してくれると。
俺は笑っていますが、きっと目は笑っていない。
ジェニアさんは暇なのか。
他に賢者がいるなら、その賢者さんでもよかった、しかしそれは言えないから我慢した。
「条件はある魔物を討伐。その魔物から採取する血から魔導インクを作る。土属性魔導書となる」
「やはり魔物ですか」
「魔物から魔導インクを採取するのが基本多い」
「魔物が強かったら、ジェニアさんが応援してくれますか?」
エテルナが確認した。
そこは俺も気になった。
魔物と言ってもピンキリだ。
賢者レベルで弱いと言っても低レベルの冒険者からしたら即死レベルだってあり得る。
増してジェニアさんだからムチャぶりも考えておこう。
「基本しない。私に魔導書をお願いしますと言うなら、自分達で何とかしなさい。嫌なら帰っていい。それともエテルナはランホーにいて欲しいのか?」
「欲しくない!!!!!!!!!!」
「マツシマは?」
「お願いします。俺は魔物と戦います」
「決まりだ。指定場所まで馬で移動する」
ジェニアさんから賢者ギルドから出された。
魔導書を作るのに最適な場所へと案内されると3匹の馬が用意されて、それそれ馬に乗って移動です。
場所は王都から離れた広い大地が広がる地域だった。
平原を駆け抜けること1時間あまり、そこから平原が終わり土が露出した土地があった。
土は何もなくひたすら遠くまで広がっている。
こんな風景は日本では見たことなかったです。
特に俺は都心で生まれ育ったため、この様な自然な土地には無縁だった。
しかしここに魔物がいるのだろうか。
いっけんすると大自然で遊ぶ雰囲気ですが。
「着いた。馬を降りなさい」
「何もない荒野だわ」
「魔物は全く見当たらないですが」
周りを見ても魔物らしき敵は見当たらない。
「地上にはいない。魔物はビッグワーム。地中に生息している魔物。姿は全長が長い形をしている。ビッグワームを討伐しその血を採取することが魔導インクを作る上で不可欠だ。もう時期わかる」
「ビッグワーム……………」
ジェニアさんから告げられた名前はビッグワームだった。
俺の目には未だ現れていないが、地中にいるとなると突然に来るか。
エテルナは警戒心からか黙っている。
そこへ遠い地面に変化があった。
地面が膨らんできたからで、その後に土が舞い上がった。
「あれは!!!!!」
エテルナが指を向けた先には地中から姿を現した魔物。
ビッグワームか。
デカいというか長い魔物だ。
まるで巨大なイモムシみたいだ。
迫力はある。
「ビッグワームですか?」
「ビッグワームだ。巨大だが動きは中々速い。口がある、その口に飲まれたら終わりだと情報を与えておく」
「食われたら終わりってこと!!!!!!!!」
「逆に言うと食われなければいい」
「簡単にいうわね!!!!!!!!」
どうやら大きな口を持っていて、敵を食べるのもありらしい。
そして動きも速いときたから、一筋なわではいかないだろう。
あっさりと言い切るあたりはジェニアさんらしい。
どう考えてもエテルナには荷が重いと感じる。
ここは俺のファイアしかスベは無いはずだ。
「俺がやる。エテルナには危険はさせたくない」
「任せるわ。貴族は巨大な虫と戦うなんてしない。気持ち悪い!!」
「都合よく貴族使うな!!!!!!!!!!!!」
「ファイアしかないわよ」
「燃やしてやるよ!」
地上に現れたのは俺達の魔力を感じたのか。
それとも人の臭いを感知したのか。
今まで地中にいたのに現れたのは魔物として要注意だ。
俺は飲み込まれないように注意しつつ接近。
体長は10メートルはある。
感覚的にはバス3台分くらいか。
そう考えるとけっこう大きいです。
そして俺に対して猛烈に攻撃を仕掛けてきた。
言われたように動きは速いです。
直ぐに俺は避けました。
避けないと食われました。
ビッグワームは地上を張って追って来ます。
俺は1発ファイアを狙って打ってみます。
レベル10のファイアを。
発動させたらビッグワームに向かっていった。
惜しくもビッグワームには命中しなかったか?
地面が大きな音を上げて土が舞った。
いや、ビッグワームはクネクネと動いているから当たったらしい。
今が倒すチャンスだろう。
再びファイアレベル10を放った。
ビッグワームはクネクネしながらもファイアに気づいたようです。
土の中に潜ってしまった。
嘘でしょ。
なんかズルいよね。
逃げたのか、それとも再び地上に現れてけのか。
俺は気を緩めずに呼吸をゆっくりとした。
すると後ろで何かを感じました。
「マツシマ!! 後ろ!!!!!!!!!!!!」
エテルナの声だとわかる。
しかし声より速く土が舞った。
「ヤバいだろ!!!!!」
ビッグワームは地中に潜って逃げたのかと思わせておいて俺の背後から狙ってきやがった。
俺はビッグワームの口で体を切られる。
大量の血が流れました。
痛みはあるが、痛みを感じるより先に回避します。
ビッグワームと接触したが、エテルナからの応援もあり、一瞬速く回避。
危なかったみたいです。
食われていたら今頃はあの虫の胃の中。
ゾッとします。
ファイアレベル10を顔に向けて発射します。
「ファイア!!!!!!!!」
「オオオオオオ!!!!!!!」
ビッグワームは叫び声を上げた。
顔面に命中したからでした。
ビッグワームはクネクネしたが、さっきよりもクネクネ感は弱い。
効いてるのがわかる。
その後に動きは止まり、完全に停止しました。
死んだみたいです。
戦闘経験は少ない俺はファイアに頼りっぱなし。
ファイアレベル10のおかげで倒せたようなもので、レベル1なら圧倒的に負けてました。
「やったわ!!!!!!!」
「エテルナ!!!!!!!!!!」
エテルナが倒した後に抱きついてきました。
胸が当たってますけど。
エテルナと抱き合いつつジェニアさんと目が合う。
申し分ない結果でしょうけど、顔は笑ってません。
いつもの冷静な顔でして、不満があるのか。
「後ろからの攻撃で食われたと思った」
「思うなって!!!!!!!!!」
「エテルナの声に反応したのとある。エテルナと2人で倒したと言える。褒めるべきはファイアしかないが」
「もっと褒めて!!!!!!!!!」
「これで素材は回収出来る。魔導書に必要な魔導インクの素材だ。ビッグワームの血は私が採取する。残りの肉は食べたければ食べなさい。虫だが肉はファイアで焼けば食べれるだろう」
「誰が虫を食べますか!!!!!!!!!」




