『31話 イノシシシーンにファイア』
『31話 イノシシシーンにファイア』
サンフラワーを倒しつつ先に進んだ。
エテルナが俺の前にいて安心して見れられたから、エテルナに任せています。
そこでランホーさんが黙っていたのに、急に口を開いた。
「そこでストップだエテルナちゃん。木の根本を見てみなさい〜」
「えっと……根本ですよね……あっ、キノコだわ!」
エテルナは指摘された所を見るとキノコだった。
根本付近まで行き、キノコを掴み取った。
見た目は普通のキノコに見えます。
俺にも確認出来たが、これが目的のマジックキノコなのだろう。
「ランホーさん、これがマジックキノコですよね。採取を達成しました!!」
エテルナは喜びながら手を上げてる。
「マジックキノコじゃないんだな〜〜。エテルナちゃんが掴んでいるのは大好きなエノキノコ。焼いても似ても美味しいキノコなんだ。ぜひともエテルナちゃんと今夜の夕食にと思って〜〜〜〜〜!」
いい加減してください。
俺は真剣なんですから、エテルナを誘うのは止めて欲しい。
「夕食の話は要らない!!!!!!!!」
さすがにエテルナもショックを隠せない様子であった。
微妙にキノコを持つ手が震えています。
「マジックキノコはどこにあるのか、教えてくれ!」
「マツシマ、慌てるな。キミの直ぐそばにあるだろう」
「ええっ! 本当だ……キノコがある」
全く気付かなかったが、自分の足元にキノコが生えていた。
エテルナの持つエノキノコとは種類が違う。
今度こそマジックキノコだろう。
「マジックキノコは取った。次はイノシシシーンだけだ」
「残念〜〜〜〜でした! それは毒のあるキノコだ。食べたら体がしびれてしまい大変だぜ〜〜〜!」
「またかい!!!!!!!!」
筋肉を震わせてしびれているのを表しているのには、俺も呆れてきてます。
本当に魔導書を作る気があるのかと言いたい。
「ランホーさん!!!! ふざけ過ぎです!!!!!!!」
「悪かったマツシマ。そう怒るな。マジックキノコはそれじゃよ〜〜〜」
エテルナの近くにまた違うキノコがあったのを教えてくれ、採取して俺に確認する。
今度こそランホーさんを信じていいのか迷いますよね。
いや、信じる方がバカをみる。
「取ってみるけど、もう信じないわ!!!!!!!!」
「おめでとうございます! エテルナちゃんのはマジックキノコだ。採取したようだね〜〜〜」
「やった!!!!!!!」
エテルナは正解のマジックキノコの採取に本当に喜んで俺に抱きついてきた。
エテルナったらこんな魔物がいる所で抱きついてきたら危ないです。
「あはははははは、仲がよろしいのですね。だけど次はイノシシシーン。簡単には倒せません〜〜〜〜〜〜」
俺とエテルナのか仲に怒るかと思いきや、笑ってイノシシシーンへと向かわせるあたりは、何を考えてるのか読めない。
◇
マジックキノコの採取が終わり、山を探索すると異様な雰囲気を感じる。
今まで感じたことのない違和感。
来てはいけない所に来てしまった感。
何かににらまれている風に感じる。
イノシシシーンだろうか。
「……凄い魔力。イノシシシーンだわ……」
エテルナは先に気づいていたらしい。
剣を魔力の方へ向けて構える。
その先から大きな影が現れました。
俺が思っていたよりも大きな体をしていて、巨大なイノシシっぽい。
コイツはサンフラワーとはまるで違う魔物。
スケール感が漂っています。
「エテルナ……下がってて! コイツは。俺がやる。魔導書を作るのでここまで来たのは俺の責任だ。俺がやる」
「……私には厳しいわ……。大丈夫そう?」
「ファイアがある……」
危険なのでエテルナは回避しておいた。
大ケガでもしたら大変ですし、そもそも今回のランホーさんへの依頼は、俺が招いたもの。
エテルナは賢者さんへと魔導書作りには責任はない。
もし俺のファイアがダメそうならランホーさんに言って、ギブアップか。
「おほほほ〜〜〜、現れたぞイノシシシーンが。マツシマが戦うのなら、楽しみに見てます。ジェニアから認められた能力を、たっぷりと拝見しますし、手助けはしませんよ〜〜〜〜」
「助けないのか!!!!!!!!!」
守る気は全くないようです。
そうしている間にイノシシシーンが突進してきました。
「!!!!」
回避するのに成功はしたが、危なく持っていかれるところでした。
あの牙に持っていかれたら即死レベルでしょう。
突進の速度は自動車レベルと判断。
凶暴さは高いです。
もう迷う必要ななく、ファイアを使うしかないピンチに。
俺にはエテルナのように剣を使って魔物を倒せる力も技もない。
あるのはホットメルトで作った魔法頼みですから、ファイアレベル10を使いましょうか。
これで死ななければ、俺には倒せません。
ファイアを構えてイノシシシーンに向けて打ちます。
「ファイア!!!!!!!!」
力を最高まで高めてファイアを放ちました。
両手から爆発的に炎がまき起こり、周囲にある大木を燃やしてイノシシシーンに。
命中してくれ!
爆裂しながらイノシシシーンに命中しました。
前に突進するのは得意だが、横には動けないようで、避けるのは不得意だったらしい。
回避せずに命中したらイノシシシーンはその位置から10メートルは吹き飛んだだろう。
停止した時には全身が燃えていて、ピクリとも動きませんでした。
周囲の大木は燃えて山火事にでもあったようにしてしまいました。
「……倒したのか……」
「凄いわ! イノシシシーンは死んでるわ!!!!」
エテルナはファイアで燃やしたのを見て驚いている。
一発で倒せるとは思っていなかったらしく、レベル10がいかにケタ外れなのかがわかる結果となった。
「おほほほ〜〜〜、これは高レベルのファイアです〜〜〜。それも最高レベルじゃないか〜〜。これ程のレベルのファイアを打てるとは、マツシマを過小評価してました。ジェニアが認めたのはわかりました。本当はイノシシシーンを倒せるわけないと考え出たのですからね〜〜〜〜」
「見殺しですか!!!!!!!!!」
どうするつもりだったのだろうか。
俺を助けるつもりだったのか、それとも見殺しにしてたのか。
ファイアレベル10を俺が打てるとは、さすがに思っていなかったようで、ランホーさんの顔には冷や汗が流れているのは見逃さなかった。
ちょっとやり過ぎたか。
山の斜面を全部燃やしてしまいました。 日本でこんなことしたら、山火事騒ぎになって俺は放火犯で逮捕されるだろう。
ニュースになるレベルでしょう。
「しかしだ、困った。イノシシシーンを丸焼けにされたら困るのだ〜〜〜〜〜〜」
ランホーさんは話をしていたらすでにその場に居なかった。
いつの間に!
すくそばに居て会話していたのに、向こうのイノシシシーンが吹き飛んだ地点まで移動していた。
どうやって移動したのだろうか。
あまりの速さに目で追えていない。
追える速度じゃないです。
イノシシシーンが丸焼けしているのを素手で火を消してしまった。
一瞬の動きに手が消えたように思えた。
当然だが手が消えるわけはなく、素早や過ぎて俺の目がついていけないのです。
これが賢者レベルの動きなのか。
それとも本気の素早さはもっと速いのかはわからないが、ランホーさんの凄さは一瞬でわかりました。
もしその気なら、一瞬で俺とエテルナを殺せる動きでした。
エテルナもきっと俺と同じ考えに達しているとして、イノシシシーンを軽く片手で持っていた。
自動車くらいの大きさの魔物を片手で!




