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『23話 賢者は偉大らしい』

『23話 賢者は偉大らしい』


「賢者てこの程度なのか!!!!!!」

「エテルナ、あなたもファイア打てるなら打ってみなさい!!!」

「エテルナは打てませんよジェニアさん!!!!!!」


 賢者ジェニアさんは不満顔で振り返り去っていった。

 通りは更に見物人が増えていた。

 賢者が戦うのがよほど珍しいのだろう。

 魔導書の店主と目が合うと、店主は怖がって店内に引っ込んでしまった。

 賢者と互角に戦ったのがヤバかったらしい。

 でも今のが賢者ジェニアさんのマックスかと言うと違うはず。

 ウォーターレベル10は賢者ジェニアにしてみれば、下位魔法かもしれない。

 そんな風に思えました。

 俺を消そうと懐えば簡単にウォーター以上の魔法で消せたのだ。

 しかし俺を生かしたのは、なぜかはわからないが、とにかく助かりました。

 町の人達は俺が賢者レベルなのかと怯えているようである。


「賢者ジェニアは貴族を恐れて帰った!!!!!!」

「恐れてない!!!!!!!!!」

「賢者ジェニアさんを知ってた?」

「知ってるもなにも、賢者ジェニアといったら賢者の中でも特に有名な賢者よ。知らない人はいないわ。強さもとても強い。よく死ななかったわ」

「ファイアレベルを10にしたが、殺されなくて良かったかもだ」

「ファイアレベル10と言ったら魔法使いとしてはもう中級以上だわ。最低でも10年は経験が必要なのよ。マツシマは魔法使いとしてはかなりの腕前になる!」


 思ったよりも驚いていましたから、見物人の驚いたのも納得します。

 引き分けだった。

 賢者ジェニアさんはウォーターを打ってきて、その後は俺の魔導書が偽物じゃないと認めている。

 そして売店での販売もしていいと。

 この点は助かった。

 販売中止になったら大変に困るし、俺の人生にも支障がきたします。


「殺されなくて良かったわ。でも売店を続けていけるのなら心配ない。ただ心配は賢者が動いてくることね。賢者は世界でも最も偉大な人物なの。賢者になるには世界でも卓越した魔法の使い手であるのが条件。最高位の魔法使いにしか賢者の職種は得られません。魔法使うものなら誰もが目指す地点。憧れでもある。その賢者の上には大賢者の職種があります。大賢者はもはや神の領域。国王だって逆らいません。そしてジェニアはあの若さで賢者にまで上りつめた天才なのよ。以上な早さでした。彼女を知る者はジェニアは大賢者になる器だとも言ってるわ。まぁ貴族の方が上ですが」

「完全に下だろう!!!!!!!」


 じゃあ俺はとんでもない化け物級と戦ったわけか。

 今さらだけど背筋が震えてきました。

 見物人が集まるわけですね。

 相談に乗ってとかいったけど、ますます無理な相談です。

 エテルナの話だと賢者はどの職種よりも偉い職種らしい。

 冒険者は賢者を目指してるのが多いとして、ジェニアはまだエテルナと変わらない年齢と思われる。

 エテルナは17才だから、同い年くらいだろう。

 そう考えるとジェニアが天才なのかがわかる。

 

「エテルナも賢者を目指しているのか」

「貴族の私には必要ない。マツシマは魔族なんだってな!」

「誰が魔族だ!!!!!!!!!」


 エテルナもてっきり目指しているのかと思いきや、話は違っていると否定された。

 それ程に遠い存在と言いたげだ。


「冒険者でも高レベルの人に限られる感じかな」

「賢者になれる人は冒険者でも最高レベルはもちろんだし、その中でも特に優秀な人だけがなれる」


 もう少し話を聞くと、そんな賢者は世界中にいるらしく、いずれもエテルナが天才と言える者らしい。

 他にも賢者がいるのはいいとして、みんなジェニアみたいな性格だったらキツいです。

 何を言ってくるかと心配になる。

 賢者ジェニアと出会ったのは、魔導書作りをしていく中で必ずまた出会いが有りそうな気がしてならないです。





 魔導書はかなりの量を自分のレベルアップに使ってしまったが、残りはエテルナの部屋での作業に当てた。

 エテルナは買い物に行ってきて、食料品店に行って、そこで俺の下着も買ってきてくれた。


「はい、これはマツシマの下着ね。替えがないと不便でしょう」

「ありがとうございます」


 女性に下着を買ってもらい異常に照れる俺。

 

「魔導書の件なんだけど、価格を今よりも上げる必要があるわね。レベル2はいいけど、2よりも上のレベルの魔導書を販売すると価格が低いすぎて大量に出回るでしょう。そうなるとまた賢者が現れる。だから高レベル魔導書はもっと価格を上げておいて、冒険者でもかなりの稼げる者しか買えない設定にようかなと思っている」


 あまりにも安いとみんな買いに来てしまい、賢者からしたら目ざわりな存在になっちゃうからです。

 危ない目にあいたくない。


「確かにマツシマの魔導書は価値があるのに安いなと思ったわ。もう少し高くてもいいし、それでも買いたい冒険者はいくらでもいる。それだけ価値があるのよ。時間と経験をお金で買えるのだから、お金を持っている冒険者は買いたいに決まっている。」


 褒めてくれるのはエテルナで、賢者ジェニアにはない部分でしょう。

 魔導書はレベル3、4、5とそれぞれの属性別に作った。

 高レベルの魔導書を作るときは面白い。

 レベル10を持つ俺には高レベル魔法の凄さがわかるから。

 あの時の賢者に放ったファイアレベル10は俺の記憶に書き込まれている。

 もの凄い経験でありました。

 まるで花火が目の前で爆発したのかと。

 魔導書を作る際に作る楽しみが増えた気分がします。

 これは大きな収穫でしょう。

 やはり作る楽しみがないと続けて作るのは嫌になります。

 仕事だってあまりにも嫌な仕事だと、続かないのはあると思う。

 どこかに楽しみな部分は欲しい。

 お客さんの冒険者が魔導書で覚えて、魔物との戦いで使ったとしたら、想像しただけでわくわくしてきます。

 魔物を倒せばそれがまた俺の魔導書の評判を高くしてくれる。

 噂がまた俺の魔導書の売り上げアップに繋がるいい連鎖でしょう。

 サービス業や製造業では、この連鎖にのると会社は大きくなっていく。

 商品を売るのは並大抵ではないですし、競争もある。

 だが俺の魔導書店の有利な点はライバルと思われる店は存在しないのが最大の有利だ。

 他の店は全て魔導書は賢者が作るレベル1のみを扱う。

 対して俺の魔導書店はレベルの制限はない。

 作りたいレベルを作れば、それが商品になるからです。

 高付加価値っていう奴でしょうか。

 世界にどこにもない魔導書作りならば、決して価格競争に巻き込まれずに売っていける。

 価格を高くもできるわけです。

 少し自信が持てるようになりました。

 そして俺も賢者になれるかと、ふと考えました。

 エテルナの話を聞いて才能がある者、魔法を最高位にまで極めた者が到達出来ると言っていた。

 それならば俺にも賢者になる権利はあるのか無いのかとなったら、あると言えなくもないのでは。

 もちろんその位置に俺が達するかは別として、達するのなら権利はあると。

 日本では時給900円くらいだったから、生活も楽ではなかった。

 時給900円から賢者への道はなくはない。

 職種が変わるのか、増えるのかはわからないが、職種はアップしていくようです。

 転職のような形で高位職種になっていくなら、面白いかも……。



 時給900円製本

 ↓

 異世界製本士

 ↓

 賢者



 いやいや今の俺はたいそうな考えは止めましょう。

 それは妄想って奴でしょうから、頭を切り替えて、出来ることから始めたいと思います。

 まぁ地道に魔導書を作ります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  別に貴族とかでもないのに、人に依頼したんだからちゃんと賢者からは代金もらわんといかん。魔道書10冊分を無駄に使わせたのと、書店利用料とか。商人なんだから。そもそも金払わない時点で賢者…
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