『18話 売店が行列』
『18話 売店が行列』
エテルナと一緒に売店に向かい、販売に協力してもらうことに。
エテルナは可愛いから、この前みたいにエロいオッサンが近寄り間違って購入してくるのもありだろう。
案外、サービス業ってそういう部分もある。
見た目が可愛い女の子がいる飲食店は客がくるのは実際に良くある話。
逆に俺が店番していても冒険者は喜ばないし、興味ないだろう。
売店はそのまま置いてあった。
動かす手間はなく直ぐに売れる状態である。
そこで俺が見た光景は全く予想もしていない光景であった。
売店はまだ開店していないというのに、売店前には長蛇の列。
まるで宝クジ売り場か、パチンコ店くらいだろうこの並びは。
どうしたのでしょうか?
俺にも全くわかりません。
「マツシマ、凄い人が並んでるわ!」
「どうしたかな? 何かあったのか。あれは俺の売店だよね」
「間違いなくマツシマの売店前よ。行ってみましょう!」
「なぜか、怖いですけど……」
理由がわかりませんから、売店に行くのが怖かった。
エテルナが居なければ逃げてるぞ俺は。
急ぎ足で売店に到着したら、並んでいる人から声がしている。
ザワついてる感じがする。
いったい何事なのかと一番前に並ぶ人に声はかけてみる。
「あの〜〜、この列は何でしょう?」
「並んでいるのだよ。見ればわかるだろう!」
それはわかってます。
わかって理由を知りたかったのですが。
「この売店は俺の店なんですよ実は……」
「なに! キミが店主かい。それなら私に魔導書を売ってくれ。マースならあるぞ。ちゃんと持ってるから!」
ちょっと怖いです。
すると後ろの列からも同じ意見が飛び出す。
「俺にも魔導書を売ってくれ!」
「ウォーター魔導書はあるか!」
「私はクエイク魔導書だ、ありますか!」
売ってくれとは……。
この人達の意見を聞くと売店の商品を買いたくて並んでいたようだ。
でもなぜゆえに、これ程までの行列が?
まだ一冊しか売れてない商品なのに、この行列とは。
エテルナも動揺していて、俺の背中に隠れてしまう。
「大変だわ!!!!!!!! みんなマツシマの魔導書が買いたくて並んでるわよ。良かったじゃない!!」
「良かったけど、俺にも行列の理由がわからないから困ったよな」
細かい理由がわからないから、理由が知りたくて訊いてみる。
「なぜ、俺の魔導書が欲しいの。見たことないでしょう皆さん」
「見たことはないが、とある冒険者から聞いたんだ。ある飲み屋でその冒険者と知り合い、マツシマ魔導書店に魔導書レベル2の魔導書が売っていると言っていたんだ。嘘だと思ったら話を聞くと本当であったらしいとなった。そこで詳しく売店の場所を金を払って聞いたんだ。ここがマツシマ魔導書店であってるのかい?」
「はい、マツシマ魔導書店です。皆さん、ありがとうございますマツシマ魔導書店を開店ます!!!!」
エテルナが元気よく宣言した。
「おおおお! 開店したぞ!!」
通り中に響く声がした。
前列の話を聞くと、その冒険者てのは最初にファイアレベル2の魔導書を購入してくれた人であろう。
ステータスがレベル2になった後に、飲み屋にでも行き、俺の店の評判を語ってくれたようだ。
話を聞いていた冒険者達は、本当にあるのかわからない半信半疑のまま来店した人もいそうだな。
疑っていたがもし本当にあるのなら、行かないわけにはいかない感じで。
俺としては嬉しい流れである。
まだ売店だし、お店自体もほとんど知られてない状態であって、売れ残りがあったくらいだった。
口コミで広まればいいなと考えていたから、最初に買ってくれた冒険者さんには感謝したいですね。
この場には居ないみたいだが、今度会ったらお礼をいいたいです。
売店前は行列となったので直ぐに自作した魔導書を陳列する。
あらかじめ冊数は多めに作っておいたのは正解であった。
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ファイア(火) レベル2
ウォーター(水) レベル2
クエイク(土) レベル2
ウインド(風) レベル2
ヒールアップ(光) レベル2
レベル2 一冊 8000マース
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普通のレベル1の魔導書は一冊が3000マース。
それが使い続けても一年かかるレベル2。
8000マースでも安いだろう。
俺は魔導書が二冊あれば作れるから原価は二冊だと6000マースだ。
8000マースで売れば2000マースの儲けとなる計算。
エテルナの話を聞いていたが、冒険者の感覚からすると8000マースはかなり安いと思われる。
むしろ安過ぎたかな。
この行列を見たら納得するしかない。
とりあえず前の列に並んでいる順に販売していこう。
エテルナに販売は託します。
売り娘として印象もいいしね。
「エテルナ、売るのは任せる!!!」
「全員を!!!!!!!」
「そうだよ、在庫がある分は売ってしまおう」
エテルナに協力してもらい販売開始した。
「ウォーター魔導書レベル2をひとつだ!」
「はい、8000マースです」
「俺はクエイク魔導書レベル2をひとつ」
「はい、8000マースです」
エテルナが笑顔で販売をしているのを俺は手伝う形。
次々と売れていき、自作している最中は売れるか心配であったのが嘘のよう。
心配して損した感じ。
お客さんは本当に魔導書レベル2だとわかると、待ち遠しいのか前をのぞいていた。
順番待ちなので、待ちきれない様子が面白いです。
自作の魔導書を買ったお客さんは、冒険者だろうから直ぐに魔導書を使っていた。
魔導書を使うと魔導書は光を発して消えていった。
そして自分のステータスを確認したところ、絶叫した。
「やったぜぇぇぇぇぇぇ!! ウォーターレベル2をゲット!!!! これまで魔法は使わずに来たから、魔法が使えるなら強くなれるぜ!」
「良かったです」
「ありがとうなマツシマさん。お買い得品をよ」
凄いですね。
まるで宝クジにでも当たったみたいな絶叫でした。
次のお客さんも魔導書を読み込む。
顔は期待感と不安感と両方ある感じ。
最初のお客さんの喜びの隣であった。
「いいのか。いいのか!!!! 信じられないがクエイクレベル2だぞ! どうなってるんだ!!!!! ファイアレベルを集中して上げてきたし、今後も上げる予定なんだけど、クエイクレベル2も使えるなら助かるぞ」
「普通は同時には上げるのは難しいですからね」
「そりゃそうさ。冒険者は魔法が使えるとより強くなれるが、それも一種類を使えるのが普通だな。数種類も高レベルで使いこなせる者はいない。居ても賢者や魔道士と言った特殊な者だけさ」
「また違う種類の魔導書も、お買いください。さらに便利に魔法が覚えられますからね」
エテルナがお客さんに説明するが、興奮していて耳に入らない様子だった。
話を聞くと魔法を覚えていないか、まだ低レベルな者が多そうだ。
俺はもうファイアレベル5まで覚えてます。
低レベル冒険者ほどレベル2が使えれば効果を発揮しやすいのだろう。
とても信じられない顔で俺は笑いそうだが嬉しい気持ちでした。
自分の自作の魔導書が売れて、なおかつお客さんにこんなにも喜ばれるのだから。
作ったかいがありますよね。
作っても誰にも感謝されないのでは嬉しくないが、ありがたく思われるなら苦労もなくなるだろう。
いや、ほとんど苦労してないか。
「売れて売れて大金が入ったわよ!!!!!!!!」
「うん、もっと大金になるよ全部売ったら!!」
それにしても魔導書は売れていき、在庫はなくなる勢いに、俺とエテルナも困惑せざるを得ない。
嬉しい誤算な日になりそうです。
通りを通る人もいったい何が起きたのかと珍しいそうに立ち止まって見物していた。
これ程の行列は珍しいのだろう。
パチンコ店やラーメン屋ではあっても、本屋でこの行列は日本でもなかった。
マツシマ魔導書は最初は全くお客さんはふるわなかったが、こにきて爆発的な勢いを得た店となったようです。




