『148話 新魔法の力』
『148話 新魔法の力』
ガイアが猫人国の王都を破壊。
俺は食い止めたいが、魔法を持ってしても難しいので逃げざるを得なかった。
「あははははははもう逃げたかよ。これが人族が誇る冒険者のリスグラかよ。情けねえなぁ」
アークデーモンはガイアの圧勝に高笑いした。
このままだと猫人の国は乗っ取られるのは時間の問題だ。
ガイアのような魔物を呼ぶなんて卑怯にも程がある。
「さぁ、騎士団に告ぐ。魔族の勝ちは決まった。今すぐに降参しておけば、猫人の全滅はしない。降伏しろ」
アークデーモンは騎士団に向かって最後通告した。
これで応じないと騎士団を、そして王都を全部破壊するのか。
どうする気だろうか。
ザラスさんの故郷を俺の前でむざむざと破壊するのは許せない。
俺はアークデーモンとガイアを心底ムカついた。
「どうする? ガイアを止める方法を考えないと……」
「俺の魔法を使いたい」
「覚えたばかりの魔法?」
「うん、フレイムタイフーンだ。どの程度の力があるかわからない。まだ一度も試していないから。能力からして魔力を大量に消耗するはずだ。エアリアルファイアでさえ魔力の消耗は大きいので、それを上回る消耗があるはず」
最後の望みか。
フレイムタイフーンを使う。
どれだけ魔力を消耗するのかだ。
俺の今の魔力量で使用できるのかさえ疑問だ。
しかし迷っている時間はない。
こうしている間にガイアは何度も大地震を起こして町を壊している。
リスグラさんが応戦して聖剣乱舞しているが、食い止めるまで至っていない。
聖剣乱舞だって使い続ければ体力や魔力を消耗しつくすだろう。
リスグラさんだけに頼るのではなく、俺も限界まで力を出さないとな。
「あああっ」
「リスグラさん!」
リスグラさんがガイアの一撃を喰らい倒れた。
かなりのダメージを負ったか。
倒れたまま直ぐには立ち上がれそうにない。
「リスグラさん」
「プリモっ、来るな!」
「あああっ」
「プリモさん!」
リスグラさんを救おうとしたプリモさんが、標的となった。
軽く蹴り飛ばされて、小さなプリモさんは家の壁に吹き飛んで激突した。
壁は突き抜けてプリモさんは、貫通して転がり停止した。
プリモさんまで危険に!
俺もやるしかない!
「フレイムタイフーン」
残りの魔力を考えずに魔法を詠唱した。
炎の強さはエアリアルファイアとは比較にならない程に巨大。
そして炎を包むようにして巨大な竜巻が発生した。
それだけではなかった。
大地から力を吸収していく。
大地の力をもらい炎と竜巻は威力を増していく。
これはランドル、土属性魔法の効果か。
土属性を加えた効果が炎をより大きく、破滅的な暴風に変えた。
凄いぞ!
エアリアルファイアの何倍もある!
自分でも震えるくらいにだ!
炎がガイアに向かい進んだ。
「ななななな、なんだこの炎の竜巻は」
アークデーモンは俺の魔法に初めて、うろえていた。
「猛烈な炎だ。見たことない魔法だにゃ」
騎士団も逃げるのを忘れてフレイムタイフーンを見ていた。
バアッーーーーーーーン!
ガイアとフレイムタイフーンが衝突した音。
ガイアが炎と一体化した。
炎の竜巻は止まらずにガイアを回転させる。
エアリアルファイアではなかった現象だった。
ガイアが耐えきれずに回転しだした。
「見て! 回転しているわ!」
オオオオオ!
ガイアは回転していくと、苦しみみだして叫び声を上げる。
声は王都に響き渡る声だった。
ダメージはあった!
間違いなくダメージはあった。
ガイアは爆炎した。
そのまま倒れて見動きしない。
「ガイアこれしきで倒れるとは情けない。立ち上がれ」
オオオオオ!
アークデーモンに怒鳴られてガイアは停止したのにも関わらず、また立ち上がる。
まだ余力があるのかよ!
フレイムタイフーン一撃では倒せないのか!
「マツシマ……もう一発撃ちなさい。フレイムタイフーンを」
「けっこう無茶ぶりしますね………」
リスグラさんが俺にもう一発撃てと。
俺が魔力切れの可能性があるのをわかって言ったのかな?
しかしガイアは再び立ち上がる。
もう撃つしかない。
俺は魔力を現象まで使い魔法を詠唱。
「フレイムタイフーン」
「まだこの子は魔法を撃てるの!」
アークデーモンが俺に驚いていたが、フレイムタイフーンは2度目の命中。
速度が遅いガイアに当てるのは簡単だった。
オオオオオ!
ガイアは炎の餌食となった。
体は燃えて黒く変色。
勝ったな!
今度こそガイアに勝っただろう!
「ガイアはもう立てない。やったわ!」
「あわわわわわ」
エテルナが呼吸ができないくらいに俺の顔に胸を押し当てて抱きついてきた。
エテルナも怖かったのだろうか。
胸の感触から震えているのがわかった。
俺も手が震えていた。
「ガイアを倒してしまう魔法。恐るべし魔法を作ったな」
「フレイムタイフーンを製本しておいて大正解でした。偶然にも通りかかった魔導書店にあったので作ったので」
リスグラさんは、かなり傷を負っていて、俺を褒めてくれた。
本当に偶然だった。
偶然がガイアを倒せる力になった。
「ふふふふ、ガイアを倒すとは……人族にしておくには惜しいな……」
「やる気か………………」
まだガイアを倒してもアークデーモンがいるので、気は抜けない。
この後にアークデーモンと戦うのはキツい。
なぜなら、すでに魔力は使い消耗したからだった。
残りの体力魔力で勝てる相手かと言えば絶望的だろう。
俺はアークデーモンの笑顔を見て、足が震えていた。
「ガイアめ、役立たず。しかしマツシマはもう魔力切れでしょう?」
「………………」
「図星のようね。もうフレイムタイフーンは撃てない。負かすのは容易いわね。ソードオブインフェルノ」
「ううっ、ここであの技かよ!」
俺には魔力は少ない。
アークデーモンは俺とエテルナを消しに来た。
もう終わりだろうか。
「アークデーモン、そうはいかせないにゃる」
俺はほぼ絶望して防御も取らなかった。
そこに瞬間的な速さで現れてアークデーモンの剣技を食い止めた。
誰だ?




