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『11話 魔導書を開店』

『11話 魔導書を開店』


 うつむき顔でギルドを後にした俺はがっくりとしてしまう。

 当然と言えば当然なのだった。

 日本だって何かしらのお店を出店しようとしたら毎月の家賃がかかる。

 常識であるのに俺はそんな常識さえ考えていなかった。

 それは魔導書を自作して有頂天になっていたのもある。

 調子にのっていて、常識を忘れていたのだろう。

 反省します。

 

「落ち込むことはないわよ。クエストしたり、ホットメルトを売ればマースは自然に貯まるでしょう。別に今すぐに出店するのにこだわる必要ないわよ」


 ありがとよ!

 エテルナは落ち込む俺を励ましてくれたようです。

 気ばかりあせっていたのか俺は少し自分の気持ちを安定させる。

 ホットメルトを売ったマースと冒険者クエストでのマースを貯めていけば3万マースくらいなら不可能ではない。

 クエストはエテルナも居るから、無理せずに低ランククエストで細かく稼ぐように心がけたい。

 

「エテルナの言うように、少しずつマースを貯めて3万マースまで我慢して貯めるようにするよ。少し時間はかかるだろうけど」

「協力するわ。そしたらさっそく冒険者ギルドに行ってクエストを探しましょう!!」


 エテルナは笑顔でギルドに誘ってくれて、俺は大変に勇気づけられる。






 商業ギルドで追い返えされてからは地道にマースを稼ぐ日々が続いていて、冒険者クエストも魔物と悪戦苦闘する。


 クエストした魔物は、低ランク魔物であった。


 スライムフライ


 この魔物はゼリー状のグニャグニャした物体の魔物であった。

 ゲームでお馴染みの魔物に姿は近く、しかも浮遊していた。

 大きさはサッカーボールくらいの大きさなので、巨大ではない。

 しかし剣の攻撃にグニャグニャとしていて、エテルナも多少嫌がっていた。


 アンデッドアント


 この魔物はアンデッドという名前からして死んだ後に蘇った魔物らしい。

 気持ち悪いとしか言えない。

 俺は転生前の日本でアンデッドとかホラーとか大の苦手でした。

 それに影響してかホラー系の魔物はどうも苦手意識が出てしまう。

 よってエテルナに托しました。

 エテルナは目をつぶりながらも、軽快に剣を振りまくる。


 ブリザードコブラ


 この魔物はかなり大きめの蛇だった。

 外国にいるような巨大蛇に近い。

 まさか自分が蛇に狙われ食われるそうになる日が来るとは思いもしなかった。

 口からは氷の息を吐いてきて、受けると猛烈な寒さになった。

 受けた部分が凍った感覚だ。

 全身に受けたら凍死は避けられない。

 考えただけでゾッと寒気がした。

 倒した後は蛇の皮を剥いて素材として回収しギルドに持ち帰った。

 いい報酬になった。


 俺は相変わらず弱小ですから、あまり役に立てません。

 低レベルファイアで応戦した。

 しかし低レベルファイアでは、まだ苦しいのもあり、エテルナの剣での攻撃が決め手となっていた。

 魔物からの攻撃で体に傷は絶えなかった。

 動物にも攻撃されたことはないので経験がなかったため、傷がつくのは怖かった。

 エテルナに常に頑張ってもらい魔物を討伐を繰り返えした結果、何とか3万マースまで貯めることができた。

 なん日も繰り返した結果の形だ。

 冒険者ギルドで報酬を確認する俺はエテルナから、


「これで3万マースはあるでしょう。ついに商業ギルドに行けそうね」

「長かったような気もするが、おかげで魔物との戦いも経験できたよ」

「私のレベルも上がってる。マツシマのやりたい事をしよう。商業ギルドに行きましょう!!」


 魔物との戦いによる経験値は俺にとって大きな財産となっていた。

 戦った後はパン屋で好きなパンを購入してエテルナと一緒に食べるのは楽しみであった。

 毎日食べてもうまいかった。

 しかもエテルナの部屋に宿泊はオッケーで、お金の支払いを節約するのに最も貢献してくれた。

 普通に部屋を借りたり又は宿屋に泊まれば、高額の代金となるから。

 エテルナの協力が大きな力となったのは、言うまでもない。

 ありがとうと言いたいが、恥ずかしい。

 追い返された日から、再び俺は商業ギルドに入る。

 あの日は嫌な思いが記憶に残っている。

 受付けの女性からちょっとバカにされた感はある。

 するとまたもあの時の女性受付けであり、俺は嫌な感じがした。

 日数はいく日も経っていた。

 またあの女性か……。


「こんにちわ。どうぞ」

「こんにちわ。俺を覚えてますか。以前にここに来て相談した者です」


 覚えているか訊いてみたかった。

 知らないなら話は進めやすい。


「覚えてます。マツシマさんでしたね。あの時はマースが足りなくて残念でしたが、今日は……」


 やはり覚えてましたか。

 あまり嬉しくない記憶力です。

 覚えていたなら、正直に話せばいい。


「あの時は3万マース足りなくて帰りましたが、今日は3万マースを持って来ました」


 実物を前に差し出すと女性は納得したようにして、


「確かに3万マースあります。こちらを売店の登録料金として頂きます。よろしいですね」

「はい、お願いします」

「来月もずっと毎月3万マースの支払いがかかります。そこは大丈夫ですか」

「わかりません。まだ商売上手してみないと。でも出来る限り続けていくつもりです」


 やるからには続けて行きたい。

 一ヶ月で終了だけは避けたいものです。

 しかし売れるかどうかの確証はない。

 やってみてわかるもの。

 俺は自信を持って続けていくと言った。

 販売する内容を聞かれて魔導書を売ると伝えると、珍しいらしく難しいかもと言われる。

 

「マツシマさんの登録を完了します。場所は指定されてますので、この地点で売店を構えてください。あと売店は商業ギルドからお貸ししますけど、どうされます?」

「貸してくれるのなら借りたいです」


 売店は持ってないから嬉しいです。

 新規に売店を購入したら高いかもしれないので、借りとくのがベストだろう。

 

「貸す代金は月々500マースです」


 またも金かい!

 けっこう金にはうるさいので、笑いそうになってます。

 逆に言えば、商売にシビアだと言えばいいのか。

 しかし持ってないから借りることに決めた。


「借ります」

「はい、ありがとうございます」


 売店というオマケもついてはいるが、遂に俺は自作の魔導書を売るところまでたどり着いた。

 楽しみではある。

 苦労はあったが、エテルナに感謝したい。


「やっと売店は持てそうだよ」

「おめでとう。売店での販売に協力しますからね!」

「ええ!! いいのかい」

「当たり前。頑張りましょう!」

「じゃあ決められた販売地点に向かおう」


 ギルドから借りた販売は持ち運び出来る形で、運んで行くことに。

 向かった先は安かったのもあり、繁華街からは遠ざかった場所。

 人の通る数は多くないが、今の俺にはワガママ言える余裕はないので我慢しよう。

 もっと良い条件の場所に行けるまで頑張っていくと決める。

 売店は木製で出来た簡単な作りであった。

 これなら日曜大工が得意な人なら自作出来るだろう。

 日本で言う屋台店みたいな感じだ。

 とりあえず準備は整ったので、開店としたい。


「さぁ開店だ!」

「お客さん来るかな。それよりもお店を出すのだから店名もあっていいんじやない?」

「店名か……、全く考えてなかったけど、言われてみると名前は欲しい」


 お店には名前があるのは気付かなかったので、名前の候補はすぐに思いつかなかった。

 どんな店名がいいかな。


「例えば、世界最強の魔導書店とか」

「ちょっと恥ずかしい!!!!」

「例えば、天才マツシマの魔導書店は」

「俺は天才じゃない!!!!!」

「例えば、マツシマ魔導書店でもいいの……、シンプルに」

「あっ、それでいいよ。マツシマ魔導書店にしよう。わかりやすくていい名前だ。エテルナが名付け親とします」


 シンプルにわかりやすい名前にしました。

 何でもいいと言えばいいので、決定します。

 問題は商品ですから。

 良い商品があれば口コミで広がり販売が伸びるのが理想的。

 日本ではインターネットがありSNSで広まるとかあったが、ここにはSNSはないから口コミが一番効果的だろう。


「それじゃ名付け料として10000マースもらうわ!」

「金目当てかい!!!!!!!」 


 売店に自作の魔導書を並べてみる。

 商品である魔導書はあれからも作成してみて増えていた。

 最初はファイアとウォーターしか成功してなくて、二冊だけ。

 それではあまりにも店として貧相だし魅力が足りないから、客も近寄らないというわけで、自作の魔導書を増やしました。

 時間のある時に魔導書を買い、同じようにホットメルトで製本していった。

 さぁどんな風に売れるか楽しみです。

 



商品

■■■■■■■■■■■■■■■■■

ファイア(火)   レベル2

ウォーター(水)  レベル2

クエイク(土)   レベル2

ウインド(風)   レベル2

ヒールアップ(光) レベル2

■■■■■■■■■■■■■■■■■


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[気になる点] 「こんにちわ。どうぞ」 「こんにちわ。俺を覚えてますか。以前にここに来て相談した者です」 「こんにちわ」ではなく「こんにちは」です。 そもそも「今日はお日柄もよく」などの「今日は」を…
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