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『10話 売店で開店』

『10話 売店で開店』


 ホットメルトを売却し資金を得て、ノームさんに自作の魔導書を見てもらおう。

 他人の意見を訊きたいてのもあるし、何よりも信頼がある。

 いい加減な事は言わないと思って。

 

「ノームさんに俺の作った魔導書を見て欲しいのです」

「作ったのか?」

「ホットメルトを使ってね。魔導書レベル2にしました」


 ファイアレベル2とウォーターレベル2の魔導書を出してみる。

 見た目は同じなので、反応はイマイチだったが。


「これは……背の部分を接着した後があるから、ホットメルトで接着したわけかい。凄いアイデアだ。しかもレベル2の魔導書は聞いたことがない本! 売っている本は全てレベル1しか存在しないはず!! 世界に存在していない本をキミは作ったとしたら、売れるぞ!!」


 ノームさんは本を掴んだ手がかすかに震えていて、俺の自作の魔導書を褒めてくれる。

 どこにもない本て言われると嬉しいです。

 作ったかいがあります。

 

「この本を売りたいと思っていて、お店を出す計画です。エテルナと一緒に商業ギルドに行きます」

「そうだな、このアイテム店も商業ギルドに登録をしたからな。まずは商業ギルドに行ったらいい。しかしどうやって作ったのか不思議だな?」

「俺は魔導書を読んでみて二つの部分に別れることが可能だとわかりました。基本術式コードと強化術式コードです。二つの部分を分解して強化術式コードだけを普通の魔導書に接着したのです」


 ノームさんにはわかりやすく説明をしてみる。

 


①魔導書は二つの部分がある。


 基本術式コード+強化術式コード


②分解する


 基本術式コード

 強化術式コード


③普通の魔導書に強化術式コードを接着する


 基本術式コード+強化術式コード+強化術式コード


④レベルアップした魔導書になる




 ざっと図を描いて教えてみるとノームさんは、なるほどと頷いてくれる。

 仕組みはシンプルであって、重ね合わせていけば強くなるというわけだ。

 

「よくこんな発想を思いついたな。しかも強化術式コードだけを読み出すとは凄い」


 ノームさんは驚いているが、俺には簡単に読めましたね。

 俺が日本人なのもある。

 文字の識字率は高いのが日本人の特徴です。

 学校教育が国中に行き渡り、平均的な教育水準は世界有数だった。

 

「マツシマは天才なのよ!」


 エテルナったら盛りすぎだよ!


「天才じゃないですよ俺は。単なる製本士です」


 エテルナにかなり盛られたおかげで、俺は恥ずかしい顔でノームさんと別れる。

 ちなみに商業ギルドは直ぐ近くにあることも教えてもらう。

 ホットメルトを売ったマースは1000。

 しっかりと無くさないように持ち店を後に。

 エテルナと歩くと彼女に思われるのかと、ちょっと意識して歩いてしまうのは内緒に。

 あまり意識しないでいるとエテルナから、


「…………マツシマの彼女に見えるの?」

「彼女って! 俺はエテルナを冒険者仲間だと思っている」


 一瞬だが、お風呂場のエテルナの裸姿を思い出した。

 鮮明な記憶が頭から離れない。

 怒っているかと心配したが、エテルナは昨日と同じだなのでホッとした。


「じゃあ冒険者仲間ってことにしましょう」

「……」


 あまりにも可愛いから照れて会話に詰まった俺は、そのまま商業ギルドまで沈黙していました。

 どうも女性と会話するのは苦手なのは日本に居た頃と変化してないようです。

 美少女耐性とかの魔法を作れば、スムーズに会話ができるかも。

 そんなバカなことを考えていたら到着していて。


「到着したわ商業ギルドに」


 看板には商業ギルドとあった。

 見たままだ。

 組合いのような組織なのだろう。

 自分の地元には商店街があった。

 その商店街の組合いもあって、お祭りをしたりもするから、似た仕組みなのか。


「小さな店舗だ」

「うん、登録だけをするからでしょう。とりあえず入ってみましょう」


 エテルナが先に入り俺も入店すると、店内はひっそりとしており、冒険者ギルドと違った感じ。

 なんか緊張しちゃうな。

 俺みたいな奴が来る所ではない気がしてしまうし、大丈夫なのか。

 先に向こうの女性が挨拶をしてくる。


「こんにちわ。どうぞこちらへ」


 俺は受付け女性の前に。

 恐ろしく綺麗な顔立ちの女性だった。

 見ているだけで吸い込まれそうです。


「はい、マツシマと言います。商店を出したくて来ました。でもマースはあまりないので売店で出したくて相談したいです」

「マツシマさんですね。商業ギルドでは町の全てのお店を管理してます。そしてお店からは登録料金を毎月頂いてます。なぜかといいますと、不法に物を売ったり、悪質な販売をしたり、偽物を売りつけたりする人が存在するからです。そうなると困ってしまいますので、商業ギルドで管理しているわけです。そしてこれは酷い商売だと判断した場合は、登録を取り消しまして撤退させます。マツシマさんの相談は登録料金の話ですよね、お店を出す場合は高額になります。人通りの多い場所では高くなりますし、少ない場所は低くなり出店しやすくなります。売店ですともっと低くなり、初めて出店する方はオススメです」


 なるほど、日本にも詐欺商売は沢山あった。

 安心してください、俺は詐欺商売は考えてません。

 する予定もありません。

 悪質な店は撤退させるために登録制にしているわけですね。

 どこの世界も悪い奴らはいるってことか。

 俺も気をつけていかないと、騙される恐れがあるな。

 

「そんな悪質な商売をする気はないですよ」

「わかりました。マツシマさんを信じます。ちなみに悪質な者は死罪になったりしますからご注意を」

「絶対にしません」


 いきなり死罪って厳しいですね。

 日本なら裁判があるけど、魔法のあるこの世界では裁判てないのかもな。

 そっこく死罪とかあっても、それでも詐欺をする奴は度胸があるのかバカなのかと考えてしまう。

 俺は首を左右に振って否定しました。

 エテルナも真似して左右に振ると、女性の受付けは納得した様子に。

 俺って悪者に見えます?


「マツシマさんを信じます。登録料金のお話しをすると、低い店舗ですと月々の登録料金は100000マースになります」

「けっこうしますね」


 高い!

 10万マースですか。

 とてもそんな大金は持ってません。

 けど10万て金額からすると日本でも10万円は越すだろう。

 そう考えるとデタラメな金額ではなさそうであるし、妥当な金額とも言える。

 だいたいアパートの家賃だって7、8万はするから決して高くはなくて、単に俺が金がないだけな話であります。

 

「店舗形式ではなく、小さな売店でしたらもう少しお安く、30000マースとなります」

「30000マースですか。あいにく俺はそんな大金を持ってません。どうしたらいいですか?」


 3万ですか!

 売店でも高いです!

 前払いならとても無理な話で、お帰りくださいって感じですね。

 俺の考えが甘かったかな。

 

「残念ですがお帰りください。登録料金は必ず前払いになります。なぜかといいますと、登録料金を払わずに夜逃げするのを防ぐ為です」

「夜逃げですか……、わかりました、また来ます……」


 夜逃げって、この世界にもあるようです。

 しかし困りました。

 3万マースを用意しないと出店できないと言われて。

 さぁどうするかで、俺は出店のハードルの高さを知ったのでした。

 どの世界も商売は甘くない。

 楽な商売はないのが常識でした。

 日本では店をだすのに銀行や闇金融からでも借りて出店する。

 失敗したら借金返済のために地獄を見る話はそこら中にあった。

 地獄は見たくないが、テンションは高くなっているのが自分でもわかった。

 こんなテンションになったのは、いついらいか。

 過去にあったかと自問した。

 小さい頃の記憶にはあったかもと。

 わくわくした記憶だったり、夢中になったりした経験。

 気のせいか、大人になってから忘れていたようである。

 しかし昔の過去を振り返ってばかりいても始まらない。

 何も変わらないとしたら、3万マースを集めて開店させたい。

 そうしたい気持ちがある。

 異世界に来て職種が製本士で、最初はテンションが落ちた。

 しかし今はテンションが高まった。

 俺しだいで、何かが変えられそうな雰囲気に胸が高まった。


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