その手に掴むもの
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
たてみんです。
この短編集はホラーとエッセイの中間くらいの位置づけになります。
どんな話かと言うと、私の身に起きている実話です。9割がたノンフィクションです。
なので落ちはありません。
こんな体験をしているのが自分だけなのかどうか……
ちなみに幽霊は見たことはありません。起きている時は。
ふと気が付くと、俺は真っ暗闇の中に居た。
真夏だというのに暑くも寒くもないことから、これがまたいつもの夢なんだとすぐに分かった。
さて今日は何が起きるのだろうかと身構えたところで気が付いた。
俺が無意識の内に右手で何かを掴んでいることに。
残念ながら何を掴んでいるかは分からない。
だけど確かに何かを掴んでいて、そして必死に引っ張っている。
……なぜ?
答える声は無い。
だけどやはり離してはいけないと理解している自分がいる。
離せば終わってしまうと理解している自分がいる。
……なにが?
分からない。
その時、ふっと光が差した気がした。
それは一瞬で、でも確かに見えた気がするんだ。
流れる川。その流れは小川とは呼べないほど強く太い。
そして俺は川岸から川に向かって手を伸ばしていた。
その手の先には……
ハッとして目が覚めると、そこは自分の部屋だった。
身の回りに特に変わったことはないし、自分の服装も寝るときに着ていたもののままだ。
時計を見れば布団に入ってから30分しか経っていない。
俺はまたかと深いため息をつきながら目を閉じた。
あの夢はもう、見ることはなかった。
それから3日後。
近くの川で溺死体が見つかった。
死亡推定時刻は3日前の深夜。
財布などがポケットに入りっぱなしであったこと、最後の目撃者はその人の友人でかなり酒を飲んでいたことから、酔った勢いで橋から川に転落したのではないかと考えられた。
ただ、その人は死ぬ直前まで何かを掴んでいたように、右手はしっかりと伸ばされていた。
このお話は、「3日後」という部分以外実話です。
実際には2週間後です。100%リアルにすると何かがつながりそうなのであえてずらしました。




