112話 勝敗覇喰
アン
かつてジェラルド商会はこの大陸で随一の商会であり、その影響力は長らく繁栄しているラングレシア王国にも引けを取らないほどであると言われていた。
ただ、当代で3代目となる商会長は人を信用せず、唯一の肉親である歳の離れた娘以外には商会を継がせようとは考えていなかったらしい。
相続者が1人故に自身と娘の身辺には気を使い、腕の立つ護衛を連れて大陸中を廻る事で不慮の事故を避けようとしていたそうだが、それもついに幕を閉じた。
「まぁ。だからこそこうして、商会長の権益を手に入れる事が出来たんだけれど、不幸な話だよね」
「そうか? どうせもう死んでるんだし、不幸も何も無いだろ」
「そう思う?」
「違うのか?」
「う〜ん。例えばだけど、万が一キキョウが死んじゃって何も出来なくなっちゃった後に、この世界の皆がキキョウ様はやっぱり凄い悪魔だって崇めるようになったら嬉しくない?」
「普通に生きている間に崇められたい」
「でも、一切崇められないよりかは、死んじゃった後でも崇めてもらった方が嬉しいでしょ?」
「まぁ…それはそう……か?」
「兎にも角にも、人というのは死んでしまった後も何かしらの足跡が残るものなんだよ。そしてここの商会長さんはそれを大事な娘のためだけに用意した。けれども守るもののいない財産は、私みたいなポッと出の小娘に簡単に商会を乗っ取られて、遂にはその商会までもが消えようとしている」
「よく分かんないけど、アンが自分でやっている事なんだろ?」
「そうだね。でも、もしも商会長さんが娘を守ってあげられるような誰かを別に用意していたらこうはならなかったと思うよ」
商会長の娘は今、この屋敷の自室に閉じ籠もったまま、外に出て来ようとはしていない。
曰くグリムラッゾが父親を殺すところを目の当たりにして以来あの調子らしく、私がグリムラッゾを殺した事を告げたら、何の感慨もない無表情な顔のまま、私に商会長代理の立場とこの商会における最高権力の証である金の指輪をくれた。
「まぁ、何はともあれここでの目的は果たしたし、そろそろ出発するとしようか」
「やっとか! ここ数日寝てばかりだったから、暇すぎて死ぬかと思ったぞ!」
「しばらくは忙しくなるだろうから、安心して良いよ」
商会を解体し、権力と引き換えに莫大な資金を手に入れた。
それこそ小国であればまるっとお買い上げ出来そうなぐらいの資金だが、私の商売相手はジェイサットよりも北の魔族国家ガランバルギア王国である。
この国は魔族領域ではスカーレット帝国に継ぐ力を持ち、なんでも魔科学に優れた者が多いらしいが、ジェイサットを徹底的に追い詰めるにはこの国の力は間違いなく必要になる。
「さて、また駒を一つ進めようか」
私は口の中でそう呟き、冬の寒さを無駄に豪華なコートで凌ぎながら次の目的地へと歩き始めた。
◇◆◇
明日香
お姫ちんの指示によってラングレシア王国の南東にある連合諸国との小競り合いを抑え続けていたウチらのところにやって来たのは、ウチらの親友であるシルっちと、そして最悪の報せだった。
「……風舞が行方不明?」
「はい。私はそれを伝える事と、皆様と共に行動するためにここへやって来ました」
一時的に各地へ散っていた勇者達は今、舞ちんと風舞を除いて全員がここに集まっている。
とはいえ風舞がおらず、お姫ちんの指示もないのであればウチにはどう動けば良いのか分からない。
「もう一度聞くけど、お姫ちんからの指示は無いんだよね?」
「はい。皆様の尽力によりここの戦線は安定しているので、自由に動いて構わないそうです」
それはつまるところ、ウチらの働きにはお姫ちんは期待していなくて、それどころかお姫ちんはウチらに構っていられないくらい大変な状況にある事を指している。
だったら選択肢は一つしか……
「それじゃあ、とりまウチらは王都に…」
「そこで提案なのですが、私と共にガランバルギア王国へ向かいませんか?」
「へ…?」
ガランバルギア王国は聞いた事がある。
確かジェイサット王国の北にある魔族の国で、現在は国交を完全に封鎖していると聞いている。
それなのに、何故このタイミングでガランバルギア王国へ?
「私もついさっき合流したエルセーヌに聞いたのですが、ここよりも北の海岸沿いにあるエゾイルという街で大規模なクエストが発令されるそうです」
「それって…」
「オホホホ。正式にはまだ発表されてはいませんが、数日後に冒険者ギルドのガランバルギア王都支部からジェイサットの悪魔を討伐せよという依頼が出ますの。エゾイルの冒険者ギルドではその応援として、海を渡ってガランバルギア王国へ援軍に行く冒険者を集っているのですわ」
「なるほど…」
「オホホホ。ちなみに、コレに参加するにはすぐにでも出立しなくては間に合いませんの」
「って言われてもなぁ…」
勇者である以上、ある程度の自由な行動は許されているが、流石に他国へ赴くのは外交的にどうかと思う。
「オホホ。さらにちなみにですが、ここでガランバルギア王国との繋がりを作る事はラングレシア王国に対してマイナスにはなりますが、国際的に中立であるご主人様と同等とまではいかずとも、ある程度の権力を自らで掴み事も出来る可能性もなきにしもあらずですわ」
「んん…。ちょっと考えてみないとだけど、シルっちは行くんだよね?」
「今回ばかりはエルセーヌの情報は当てにはなりませんが、他にする事もありませんので」
「当てにならないって?」
「オホホ。お母様にシルビア様と合流するように言われて移動していた最中に、盗賊まがいの商人から聞いた噂話ですの」
「よくそんな情報で海を渡ろうとか思ったね?」
「オホホ。本来であればそうなのですが、この情報にはとある獣人の少女というフレーズも混じっていますの」
「それって…」
「オホホホ。何はともあれ、さっさと決めてくださいまし。先ほどからシルビア様の気が急いて、尻尾が物凄い事になってますわ」
「………ごめん」
「オホホホ」
胡散臭いことこの上無いし、お姫ちんを裏切るような事はしたくは無いが、風舞の従者であるこの二人が持って来た話だし、良い加減こんな辺鄙なところで魔力砲を放つのも飽き飽きしていたところではある。
他の皆とも話し合ってみる必要はあるが、この2人が行くというのなら私達も参加しても良いかもしれない。
「おけまるちゃんゴリラ。そんじゃ、皆ともちょっち話して来るから、ちょっち待っててくれる?」
「はい。よろしくお願い致します」
そう言うシルっちの顔はいつも通りにクールそのもので、一部尻尾以外は何があっても動じずマイペースな風舞を彷彿とさせる自信のようなものを感じさせる。
「みんな心配してんだから早く帰って来いよ」
ウチはそんな事を呟き、次の目標のために皆の元へ向かうのであった。
◇◆◇
風舞
俺のギフトはフレンダさんに強制的に開花してもらったもので、自分の肉体への負荷を代償にある程度の事は何でも出来る能力である。
そして完全に開花すれば、己の肉体へのダメージを無くすことが出来るものだと思っていた。
「残念だけれど、それは違うわぁ。貴方の能力は別の場所にある知識を引き出し、それを強制的に履行するもので、完全に開花した場合はその別の場所にある知識を完璧に使いこなせるようになるという事よぉ〜」
「それって、自分の身体が傷つかない事とは無関係なんですか?」
「例えばそうねぇ。貴方はバク転が出来ない少年だとするわぁ」
「はぁ……」
「察しが悪いわねぇ」
だって出来るし…バク転。
この世界に来るまではやろうとも思わなかったけど、舞の横に立っていたら3歳児でも出来る様になる気がする。
「何はともかく。貴方のギフトはバク転を出来るようにはしてくれるけれども、バク転によってかかる身体への負荷を肩代わりしてくれるといった事はないのよぉ」
「そうですか」
「けれども。貴方がバク転を出来るのは、貴方の辞書にバク転に関する記載があるからよ。仮にそこにはハンドスプリングの記載が無ければ、文字通り逆立ちしても何も出来ないでしょうねぇ」
「じゃあ、俺の暴走状態はどう説明するんですか? あれも辞書に載っている暴走を俺が望んだから出来たって事ですか?」
「そこが貴方のギフトをややこしくしている点ねぇ。あの暴走による歪な天使の形態は、貴方の辞書の力を引き出すギフトと、貴方の肉体を変質させるギフトの二つによるものよぉ」
「なんです…「何ですって!!?」」
その内容を聞こうとしたら俺よりも先に変態が反応した。
ついさっきまでボコボコにされて鼻血を垂らして気絶していたのに、今は別の意味でドバドバである。
「変質とは言えども、基本的には肉体を守るためのものねぇ」
「つまりあの暴走状態は、本来では出来っこない力を引き出すために肉体の方から辻褄を合わせに行ったと」
「そうなるわぁ。ちなみに一つ付け加えておくとぉ、そのギフトは肉体だけでなく魂にも作用しているようねぇ。ただの人間が眷属としてでなく吸血鬼になるなんて初めて聞いたけれどもぉ、そういう事なら納得よねぇ」
「それじゃあ、風舞くんのあの女の子ボイスも!?」
「ほとんどは特殊な発声法でしょうけれどもぉ、無意識に女声帯になっていた可能性もあるわねぇ」
「風舞くん!」
「嫌だ」
「先っちょ。先っちょだけで良いから女の子に…」
「それより、俺のギフト……辞書の方のギフトは、使いこなせるようになるとどうなるんですか?」
「それはそのまま、辞書を想像してくれれば良いわぁ。例えば、『淫乱』という言葉を調べたとして、そこに『淫らであること』と書いてあって、何となく理解した気になっているのが今の状態。辞書を使いこなせる状態とは、『淫ら』である事とはどういった意味なのかを調べる事も出来るしぃ、『淫乱』の類語として『淫猥』だとかを見つけてくる事も出来るかもしれないわねぇ」
「つまり、今は俺がやりたい事をそのままやっているだけだけれども、ギフトが完全に開花すれば、やりたい事と類似した結果を導いたり、同じ結果を辿るにしても途中の精度が上がったりするって事ですか?」
「そうかもしれないしぃ、違うかもしれないわねぇ」
「なるほど…」
ギフトとは本来、魂そのものであり、ある程度の分類は可能でも、根源的なところは人それぞれまったく異なる。
そんなギフトが俺には何故3つもあるのかは分からない……いいや。推測のみであれば出来ない事もないが、俺の出自を考えても仕方のない事だし、今は放って置いても良いだろう。
それよりも…
「おい。そろそろ怒るぞ」
「だって。女装だけじゃなくて完璧に女体化した彼氏を見たいと思うのは仕方のないことでしょう?」
「だとしても、血みどろのまま擦り寄って来るな。汚な怖い」
「むぅ。舞ちゃんしょんぼり」
意外にも聞き分けが良いというよりは、抵抗する俺と騒ぐ余裕もないぐらい疲れてきっている舞が座り込み、すぐそばの迷宮王を鷲掴みにして投げ飛ばす。
彼女の方も彼女の方で自分のギフトが分かって来たのか、最近は主に出力面での力が以前よりも増していた。
「舞ちゃんもいい調子ねぇ。神降しに関しては教えられる事はあまりないけれども、大分使いこなせるようになってきたという事かしらぁ?」
「まぁ、そうね。始めは風舞くんのギフトのようにどこぞの神から力を借りているものとばかり思っていたのだけれど、改めて考えてみれば神は偏在するものだものね。戦という概念となり戦神として世界に影響を与えることが本質とは盲点だったわ。後は精度の向上と、必殺技の考案とかかしら」
「順調ならば何よりよぉ〜。それに比べて、ローズちゃんは苦戦しているわねぇ」
己のギフトへの理解を深めた俺や舞に比べてローズの修行は遅れてはいるものの、それでも絡め手無しの正面衝突であれば彼女は現状俺や舞よりも強い。
淫乱女神が言うにはレベルが上がり辛くなるにつれて、更なる強さを求めて普通では辿り着けない領域に手が出るそうなのだが、今日という日までローズはレベルやステータスという正当なルールにのとったまま力を求め続けた。
修行の目的がそんな普通では得られない強さを手にする事が目的ではあるのだが、ローズは物理を封じられようと魔法を封じられようとも迷宮王の波を凌いで見せるし、ステータスに普通ではないデバフを受けようとも、持ち前のギフトの超出力で一瞬にしてそれを打開する。
「ちなみになんですけど、女神様とローズが戦ったらどっちが勝ちます?」
「一度呪いをかけて逃げ続ければ私が勝つけれどぉ、普通の戦闘ではまず負けるわねぇ。いくら私のほうが長く生きているとはいえ、彼女は生きている間ずっと戦い続けているものぉ。おそらく経験の差で負けるわぁ」
「ずっと戦い続けている?」
「時々私が瞑想で過去の敵と戦ったりしているでしょう? ローズちゃんは起きている間も寝ている間も風舞くんとイチャイチャしている時もずっとそれを繰り返しているのよ。ちなみに、若干だけれど、経験値も入っているらしいわ」
「それじゃあ、あれか? ローズは生きているだけで強くなると?」
「そういうことね。よく、何の取り柄もないけれども根性と努力でどうにかする少年漫画の主人公がいるでしょう? ローズちゃんはそれね。死にそうになっても粘って粘って、最終的には無限にも近い王道のステータスでどうにか勝つ。ローズちゃんはそういうタイプね」
「なら、即死魔法とかも効かないのか?」
「どうかしらね。女神様は敵わないだなんて言うけれども、それはローズちゃんが何度か神と呼ばれる存在を相手に勝利している実績を考慮しての事でしょうし、ローズちゃんの主人公力次第じゃないかしら」
「なら、神としては格が低いアルシャならローズだけでも倒せるんじゃないか? ローズの主人公力ならいけそうな気がする」
だってあのレイザードを中心とした謀反を跳ね除けてその上で、ある程度安定した立ち位置を手に入れているし、弱体化していた期間でも俺が死ぬ様な状況を乗り越えてそこにいるのだ。
おそらく『ローズ覇王伝』とかの主人公に違いない。
「けれども、それだとローズちゃんだけは生き残って他が死んじゃうかもでしょう? ローズちゃんはいつかではなく、今勝つためにああして鍛えているのよ」
「あぁ、なるほど」
なんとなく、良い話だなとは思った。
俺も舞も真剣な顔だし、淫乱女神も今ばかりは余計なことは言わない。
でも、ローズの修行内容がなぁ……。
「ぬぁぁ。美味い! この渋みがたまらん!」
そこにはただの酔っぱらいがいた。
ローズの場合、あまりにも死線を潜りすぎて、死線を反復横跳びするだけでは大した修行にもならず、常に無意識下で仮想敵と戦っているから、絶対絶命ですら成長に繋がるピンチになり得ない。
そのためにこれまでローズがやって来なかった事で、かつローズが強くなれそうな事がこれだった。
「ぬふふふ。美味いなぁ。ふーまの血は美味いのぅ」
もうかれこれ数日ほど、俺の血を浴びるように飲んでいる。
どころか、俺の血が溜まったバスタブで、俺の血が入った瓶をラッパ飲みしていた。
「流石にあれだけ血を飲めば、ハリボテではなく正真正銘の全盛期の姿に戻れるのね」
「まぁ……あれだけの拷問で何も効果が無いようじゃ困るけどな」
ローズがああして血に溺れる状況を作るために行った努力は流石に思い出したくもない。
半ば身体が丈夫だと、多少の無茶がエゲツない事になるんだもんな。
「それにしても、流石の私でもあの血液風呂に入りたいとは思わないけれども、ローズちゃんが恍惚としているのは吸血鬼故なのかしらね」
「吸血鬼にとって血を吸う事は催淫効果もある事だから、今のローズは媚薬漬けみたいなもんなんだろ」
「………ちょっと試しに風舞くんを放り込んでみても良いかしら?」
「流石に死ぬからやめてくれ」
興奮状態のローズがあそこから出て来ないのは、目の前に血液が潤沢にあることと、飲血による酩酊感あってのことだし、何かの拍子で俺そのものまで性的にも食欲的にも美味しそうだなんて思われたら、舞が思っているようなエロエロな展開には100%ならない。
「にしても、あれは結局のところ、どんな修行なのかしらね」
「ウフフフ。私ではぁ、ローズちゃんを強くする事は出来なさそうだけれどぉ、あれだけの血を時間ギリギリまで飲み続ければぁ、一戦ぐらいは全盛期の力を十分に使えるでしょうしぃ、もう少し肉体の強度が上がりはじめたらぁ、舞ちゃんの血も混ぜて擬似的に荒神の力も取り入れてもらうつもりよぉ」
「あぁ、そういえば前に舞の血を飲んで、一時的に神降しの力を借りてたんだっけ」
「この力は間違いなく毒でしょうから長くは持たないとは言え、短期決戦のためのスパイス程度にはちょうど良いかもしれないわね」
「そうねぇ。問題はローズちゃんの吸血鬼としての許容量だけれどぉ、流石に大魔帝ともあろうものが酔い潰れるなんて事はないわよねぇ…」
淫乱女神はそう言うと霧のように姿を消し、残った俺と舞は再び立ち上がって迷宮王に囲まれる中で、もう何度目か分からないタイマンを始める。
今のところ戦績は五分五分であるが、成長率で言えば自分の手札を理解し始めた俺よりも、神降しを自在に使えるようになってきた舞の方が上だし、このままでは間違いなく差をつけられる。
「あぁ、そうそう。そういえばギフトの名前はいずれ自然と分かるそうだけれども、風舞くんのギフトの名前は一体どんなものなのかしらね」
「どうせなら格好良いのが良いけど、俺の魂の本質がどっかの知識を引っ張って来るっていうのは、なんか情けない話だよな」
「そうは言うけれど、ローズちゃんの叔母様が言うには、風舞くんにはギフトが3つあるのでしょう? 1つぐらいは気にいるものもあるかもしれないわよ?」
「だと良いんだけど………って、舞さん? なんか、今までと違くない?」
これまでも舞は黒い雷を纏っていたし、その風格は覇王ですらも嗤い潰しそうではあったが、今の舞は実際に昏い戦場の中をまるでそこの主人であるかのように佇んでいる。
「そうそう。言い忘れていたけれど、私のギフトは【勝敗覇喰】。勝ち敗けすらも喰らい尽くす戦そのもである私にふさわしいギフトでしょう?」
「もしかしてあれっすか? もう、開花終っちゃった感じですか?」
「ふふ。まだ花開いたばかり…大輪咲くのはここからよ」
「あの、ですね。ちなみに俺はまだ一個も完全に開花していないわけでして…」
「ふふふ。大丈夫よ。風舞くんは私と違って、ここぞという場面でいきなり強くなるタイプだもの。本番まで、せいぜい可愛がってあげるわね」
「………一生に一度でいいから、愛と努力と友情で強くなりたい!」
それが今日の俺の遺言でしたとさ。




