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第1章SS 『女子会』 『あいつ』

第1章31話ごろのローズ、舞、ミレイユの話と、第1章終了時の風舞のクラスメイトの話です。


まだ本編を読んでいない方はお先に本編をお読みいただけると、よりお楽しみいただけると存じます。

『女子会』




 ローズ




 妾達は雲龍にて夕飯を食べた後、家に帰ってきてから軽く3人でもう一度風呂に入って汗を流し、マイの部屋で共に語らっておった。

 こういうのをマイの世界では「ぱじゃまぱぁてぃー」と言うらしい。

 妾が誘ってみたのじゃが、フウマは先に寝ると言って自室に向かってしまった。

 曰く女子会に男子高校生はハードルが高いらしい。

 あやつの言う事は時々よく分からん。


 そんな事を考えておったら、ベッドの上に腰掛けておったミレイユがジュースを飲みながらマイに髪を乾かされておった妾に声をかけてきた。



「それにしても、皆さんのお家はとても豪華ですね」

「む? そうでもないじゃろ。妾が前に住んでおった所はこの何倍もあったぞ?」

「えぇー。やっぱりミレンさんは物凄い高貴な生まれ何ですね」

「そうね。ミレンちゃんは途轍もないお金持ちのお嬢様なのよ」

「それを言うならマイムも中々のもんじゃろう?」



 マイの所作は長らく魔王をやっておった妾から見ても洗練されておって気品に溢れておる。

 確かに妾達魔族は大雑把な者が多いが、それでも妾は長年生きてきた為作法には詳しいはずじゃ。

 マイはこの歳でこの技量じゃし、よっぽど厳しく育てられて来たんじゃな。

 この前共に風呂に入った時もこの世界に来れて清々したって言っておったしの。



「別に私は大した事ないわ」

「ふえぇ。私は物凄い人達とお友達になっちゃいました」

「ふふふ。ミレイユさんは可愛いわねぇ」

「ひゃうぅぅ。く、くすぐったいですぅ」



 マイはこの世界に来るまでは周りの人に怖がられて友達が出来なかったと言っておった。

 ミレイユが友と言ってくれた事が嬉しかったんじゃろうな。

 若人がこうしてじゃれついておるのは微笑ましいのう。



「あら、ミレンちゃん。何一人で座ってのんびりしてるのかしら? こっちに来て遊びましょう」

「ふむ。そうじゃの。どれ、妾もミレイユの耳を愛でてやろう」

「ええっ!? ミレンさんまで?」



 魔王であった頃には妹と話しておった時にしか感じられなかった暖かい感情を妾は最近よく感じられる様になった。

 マイがこの世界に来て変われたと言っておった様に、妾もマイやフウマと出会って変わっておるのかもしれんの。



「おお、中々のモフりテクね。ミレンちゃん」

「うむ。妾もマイに負けてはおれんからの」

「ひゃっひゃう!? らめ、しょこはりゃめれすぅ。しょ、しょんなとこまで? ちょ、ちょっとマイムしゃん!? どうして服を脱がそうとするんですか? ってひゃうぅぅ。しょ、しょこは敏感なんでしゅうぅぅぅ!!」



 翌朝、ツヤツヤとしたマイと遠い目をしたミレイユの間に挟まれて妾は目覚めた。

 あー、流石に羽目を外しすぎたかもしれんの。





 ◇◆◇




『あいつ』




 篠崎明日香




 ウチの名前は篠崎明日香。

 同じクラスにはあいつがいたけれど、ウチは友達も沢山いたし毎日楽しい高校生活を送っていた。


 でも、ウチのクラスの全員が急に異世界のラングレシア王国っていう所に来ていた。

 ウチはこの世界に来て目が覚めてから、すぐにあいつがいる事が判って安心した。

 ウチはまだあいつに謝れていないし、こんな何も分からない世界で一番信じられるあいつがいる事が判って凄くホットした。

 けれど、あいつは土御門さんと何処かに行ってしまった。

 ウチも土御門さんがあいつに抱きついているのを見たし、二人の意思で何処かに行ったんだと思う。



「やっぱ、付き合ってたのかなぁ」

「明日香様? どうかなさいましたか?」

「あ、お姫ちん」



 ウチが窓の外を見ながら一人黄昏ていたら、この国の第一王女であるお姫ちんが心配したのか話しかけに来てくれた。

 お姫ちんはウチと同い年なのに、この国を悪者から守るために頑張っているスゴくいい子だ。

 ウチは人を見る目には自信があるけれど、ここまで良い人は見た事がない。



「お気分が優れませんか? 体調が悪い様でしたら本日の座学は延期しますが」



 お姫ちんがウチの顔を覗き込んで心配そうな顔を向けてくる。

 やっぱりこの子は良い子だなぁ。

 ウチがメイドさんに話を聞き出しても凄い慕われている様だったし、クラスのみんなもこのお姫ちんの為ならこの国の為に戦おうと思えるって言っていた。

 もともと正義感が強い天満っちは当然やるって言うと思ってたけど、他人に対して疑い深いウチでもやろうって思えるくらいだから、カリスマ性っていうよりもその純真さに惹かれたんだと思う。



「心配ないよお姫ちん。ちょっと風舞の事を考えていただけだから」

「申し訳ございません。私が力不足なあまりにまだ発見出来ていないのです」

「そんな事ないよ。お姫ちんが毎日殆ど寝ずに指揮をとっているのは知ってるし、ウチらの様子もこうやってよく見に来てくれてる。それにあいつは並大抵の事じゃ動じない鈍いやつだからね。多分上手くやってるよ」

「ありがとうございます。明日香様はお優しいですね」

「もう、あーちゃんで良いって。みんなもそう呼んでるよ?」

「いえ、私は勇者様方の将来を奪った罪人です。私などが明日香様をその様な親しげな名で呼ぶ事など出来ません」

「まったく。お姫ちんは硬いなぁ」

「あ、明日香様?」



 お姫ちんがウチに抱きつかれて驚いた声を上げる。

 背が高めなウチよりも頭一つ分くらい背が低いお姫ちんを撫でながら、ウチはつい不安を漏らした。



「まあ、心配といえば、風舞が土御門さんと良い仲になっているのかって事なんだけど」

「その、それは私にも分かりません」

「そうだよねー。よし。ウチもウジウジしててもしょうがないし、今できる事をやらないとね!」

「ありがとうございます明日香様。今後とも宜しくお願いします」

「相変わらずお姫ちんは可愛いなぁ」



 ウチはお姫ちんの頭を撫でながら遠くにいるであろうあいつに負けないくらい強くなってやると決めた。

 またあいつに会った時にはウチがあいつの頭をひっぱたいて、置いて行ってごめんなさい明日香様って言わせてやるんだ!

 その為には明日からのレベリングの為に今日の座学も頑張らなくちゃね!

 ウチはそう決心した。

3月10日は3話分投稿しております。


次回から本編に戻り、第2章が始まります。

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