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19話 抱き枕か着せ替え人形

 


 風舞



 どうも風舞です。

 俺は現在、ここ数日の間にスカーレット帝国でやって来た事をお姫様に説明しています。

 俺自身最後の方は意識が朦朧としていたためフレンダさんやエルセーヌの補足をしてもらっているのですが、それでも何と言いましょうか。

 国家反逆罪の容疑をかけられた中の取り調べというのは、胃がキリキリと痛むのです。

 俺は幸せで夢と希望いっぱいの異世界生活を期待していたのに、いつから俺の生活はこんなにもアバンギャルドになってしまったのでしょうか。



「とまぁ、そんな感じで彼女の従者であるペトラさん達と共にアメネアさんの救出に出向く事にしました」

「なるほど。スカーレット帝国の情勢をよく知るエルセーヌ様と話し合った結果、国の重鎮であるアメネア様が今のスカーレット帝国を保つために必要だとお考えになった訳ですか」

「はい。まぁ、結局アメネアさんの処刑云々の話は最近のスカーレット帝国で最も力のあるレイザードが仕組んだ、エルセーヌとかその辺りをおびき出すため策戦だったんですけどね」

「ん? それじゃあ風舞くんはアメネアさんを救出していないのかしら?」

「一応牢屋から出すとこまではやったけど、その後すぐに戦う事になったな」

「そう。それはとても大変だったわね!」

「本当に大変だったんだけど、何で舞はそんなに嬉しそうなんだよ」

「そ、そんな事ないわよ?」



 果てしなく目が泳ぎまくっているくせにどの口が言うのだろうか。

 目だけじゃなく体までそわそわしちゃってるし。



「それで、アメネアに裏切られた後はどうなったのですか?」

「その後すぐにレイザードが子分二人と現れて、すごい戦いになって俺は気絶しました」

「おいフーマ。それでは私の活躍した話がないではありませんか」

「そんな事言われても、フレンダさんが俺の中からいなくなったのに気がついたのだってエルセーヌと戦って気絶した後ですし、俺はフレンダさんが活躍するところなんて見てませんもん」

「オホホホ。実際活躍していませんので、気にする必要はありませんわ」

「ちょ、ちょっと待って風舞くん!」「お、お待ちください高音様!」

「ん? なんすか?」



 舞とお姫様が同時にストップをかける。

 俺、何か変な話でもしたか?

 って、フレンダさんは俺じゃなくてエルセーヌの方をつついてくださいよ。

 エルセーヌの方が酷いこと言ってますって。



「フーマ。まずはセレスティーナの話から聞いてやりましょう」

「そうですね。それではどうぞ」

「ありがとうございます。えぇっとですね。たった今高音様の中にフレンダ様がいらっしゃったとお聞きした気がしたのですが…」

「そうですよ? ていうか、知ってたんじゃないんですか?」

「高音様がよく虚空の誰かとお話しているというお話は耳にしますし、私自身その光景を何度も目にしていますが、実際には何らかの魔道具で連絡を取っているものかと…」

「あぁ……言われてみればそう考えるのが普通ですよね」



 だって俺自身、どうやってフレンダさんが俺の世界で居候していたのか理解できてないしな。

 魂だけ体から抜け出すっていう話も結構謎が多いと思うもん。

 そりゃあ通信用の魔道具でも使ってると思いますわ。



「今回の話には関係ないので詳細は省きますが、私の魂はここ数ヶ月フーマの精神世界の中にありました。より詳しく知りたいのでしたら貴女の母親にでも聞いてみなさい」

「女王陛下にですか?」

「はい。おそらくですが、あの女がフーマの魂に施した仕掛けによって、私は何をしても抜け出す事の出来なかったフーマの精神世界から押し出されました。もしかすると当事者である私よりも事の詳細を知っているかもしれません」

「え? 俺、いつの間に女王様に魂をいじられてたんですか?」

「あの女にもらった護符があるでしょう? あれにフーマの魂を守る機構が備わっていたのです」

「そうだったんですか? でも、何で魂を守る護符でフレンダさんが白い世界から押し出される事に?」

「考察が済んでいないので私自身理解しきれていませんが、例の護符はフーマが致命傷を負ったときに魂のみを守る魔道具だった様で、白い世界にとどまっていた私は異物とみなされたのでしょうね」

「なるほど。つまり、高音様の中に封じられていたフレンダ様を解放したのは女王陛下であるという事ですか……」



 お姫様が渋い顔でそんな事を口にする。

 正確にはフレンダさんは封じられていたのではなく、色々とドジっちゃった結果俺の精神世界から出られなくなったんだけど、俺へのヘイトが女王様に向いてくれるのなら余計な事は言わずに黙っておこう。

 ここからの俺はフレンダさんという悪の化身を自分の魂に封印していたすんばらしぃ勇者って事で。



「それでは次はマイの番ですね」

「あ、ありがとうございます」

「なんだ? フレンダさん相手に緊張してるのか?」

「そりゃあそうよ。こんなに美人で物凄いオーラの人、そこら辺に中々いないもの」



 きっと舞の言うそこら辺とは俺の思い浮かべる街中みたいなそこら辺ではなく、社交会とか大人向けのそこら辺だと思うのだが、その舞をもってしてもフレンダさんは眩しく見えるらしい。

 まぁ、舞は女性相手だと結構面食いだし、ただ単にその見てくれに惹かれているだけなのかもしれないけれど。

 しかし、フレンダさんは中身があれだからなぁ……。



「おいフーマ。マイは五月蝿いだけの女だと思っていましたが、中々良い娘ではないですか」

「ほれみろ。このチョロさだよ」

「おい。今、何か失礼な事を言いましたか?」

「いえ。何にも」

「それなら良いのですが……。それより、マイの質問とは何なのですか?」

「そうだったわ! ちょっとエルセーヌ、風舞くんと戦ったってどういう事よ!」

「オホホホ。どういう事もこういう事もありませんわ」

「だからどういう事よ!」

「この場では言いたくないんだと。ぶっちゃけエルセーヌの件はかなりプライベートな内容だから、気になるならまた後でにしてくれ」

「むぅ。フーマくんがどんどんエルセーヌと仲良くなっていくわ…」

「オホホホ。これはマイ様から正妻の座を奪い取る日も近いですわね」

「いや、それはない」

「ふ、風舞くん!」

「オホホ。恋は盲目ですわ」



 エルセーヌの件はエルセーヌが魔族の中でも忌み嫌われる悪魔と吸血鬼のハーフだったり、育ての親であるフレンダさんとの間に色々あったりと、あまり人様に言いふらす様な話ではないと思う。

 少なくとも、一応とは言え公の場である今は絶対にできない話だな。



「そんな事より、そろそろ話を進めても良いですか?」

「あぁ、そうですね。殿下もよろしいですか?」

「はい。よろしくお願い致します」



 フレンダさんはお姫様がそう言ったのを軽く一瞥し、俺の話の続き–––レイザードとの戦いの終盤から話を始める。



「気絶したフーマが目を覚ましてレイザードに致命傷を与えた後の事なのですが…………いや、先に本題に触れてしまいましょうか。レイザードはおそらく生きています」

「……………それは確かなんですか?」



 レイザードは俺が半身を吹っ飛ばした筈だ。

 あの場にはレイザードの味方である不気味な双子がいたが、確か最後の方はボロボロになってそこらに転がっていたはず。

 少なくともあの場でボタンさんやフレンダさんからレイザードを連れて逃げ切れる程の傑物とは思えないのだが…。



「苦い思いをさせられたフーマには苦しい現実かもしれませんが、レイザードは配下の双子に引き摺られて姿を消しました」

「フレンダさんには止められなかったんですか?」

「フーマとエリ…エルセーヌを放っておくなら追うというより結界に閉じ込めておく事も出来ましたが、レイザードが倒れてすぐにセイラムが攻め込んで来たのです。万が一という事もありますし、私はフーマとエルセーヌの無事を優先しました」

「風舞くん。話を聞いていたらまた新キャラが増えたのだけれど、セイラムって誰?」

「スカーレット帝国の将軍。レイザードの次に強い」

「なるほど。それはなんともタイミングの悪いことね」

「今になって思えば、ペトラさんの部隊の中にいたセイラム将軍の配下は、そのタイミングってやつを知らせるための存在だったのかもしれないな」

「でも、セイラム将軍の配下はその場にはいなかったのよね?」

「おそらくですが、レイザードの手下で序列第7位であるリライズに相手をされている間に、センターホールに結界が張られた事をセイラムに伝えたのでしょう」

「なるほど。それでセイラム将軍はフレンダさんが復活したと考えた訳ね」

「だろうな。レイザードとフレンダさん、どちらと手を組んでもセイラム将軍的には邪魔な人物を一人は排除できるし、まさしく絶好のチャンスだったんだろう。むしろ俺はリライズがあの城にいた事に驚きましたよ」

「私も確認をしたわけではないので詳細は分かりかねますが、城の中にリライズの気配はあったので、きっとそういう事なのでしょうね」

「オホホホ。相変わらず地味な男ですわ」



 なんて散々な言われようのリライズの事はともかく、レイザードはあの場から生き延びた。

 となると回復魔法のあるこの世界では五体満足でピンピンしている可能性は十分にある。



「それじゃあ、結局スカーレット帝国は元の体制のままって事ですか?」

「それが、レイザードはあの後から行方知れずとなっています。これは私自らで裏を取った情報なので間違いありません」

「そうなりますと、現在のスカーレット帝国の代表はセイラムという名の将軍…という事になるのですか?」

「確かにセイラムは目の上のコブであるレイザードが消えた事でその勢いを増しましたが、現在の帝国はアメネアの勢力とセイラムの勢力で二分される構図となっています」

「アメネアさんが?」

「アメネアって、風舞くんを裏切ったラミアのいけ好かない女よね? 彼女はレイザードの味方だったはずじゃ…」

「アメネアにも色々と事情があったということです。兎にも角にも、私はアメネアにあの国を任せてここ、ラングレシア王国にやって来ました。本当なら軽く変装でもして身分を偽るつもりでしたが、この愚物が私の手を無理やり引いて転移したので、堂々とラングレシア王国に協力することにしたのです」

「風舞くん………」



 おい、そんな顔で俺を見るなよ。

 俺だって色々とうっかりしちゃう事だってあるんだよ。

 舞だって抑圧された環境から解放されてテンションが上がっちゃう事ぐらいあるだろうに。



「さて、大まかな話は以上です。私はこのフーマを通してこの国の内情は粗方把握していますから、私という存在を受け入れられると言うのなら、戦力面、情報面、どちらからでもこの国に力を貸しましょう」

「……フレンダ様のお望みは?」

「そうですね。まず第一に、この国が滅びない事。この国は今後の大陸にとって間違いなく必要な国家ですし、これからの激動の時代は必ず乗り越えてもらいます。これは私の公私両方の面からラングレシア王国に要求する第一の要望です」

「フレンダ様の公とは、スカーレット帝国序列第2位としてのお立場という風に認識して問題ありませんか?」

「はい。それは第三の要望のつもりでしたが、先に話してしまいましょうか。私と皇帝陛下…大魔帝ローズ・スカーレット様はクーデターを起こされ今はこうして身をやつしていますが、少なくとも私は本気であの国を捨てたつもりはありません。前政権から次の代表に切り替わるにしろそうでないにしろ、スカーレット帝国には必ずこれまで以上の栄華を築いてもらいます。その目的とこの国の利益が一致すると貴女が判断した場合、監視のもとでも構いませんので、私がこの国の中で自由に行動する権利を要求します」

「第三の要求については把握致しました。それで、第二の要求というのは…」

「第二の要求はセレスティーナにとってそう難しい事ではありません。フーマを幸せにすること。ただそれだけです」



 え?

 それって俺をお姫様の夫にしろって事か?

 もしやフレンダさんは俺を政略結婚の道具に使ってこの国を乗っ取る気なんじゃ……。



「なるほど。容易な事ではありませんが、確かにそれは私にとって必ず叶えねばならぬ使命でもあります」

「え!? そ、そのお姫様………流石にそういった事は当人の感情が大事だと思うんですけど…」

「当人の感情ですか………。ふふ、高音様は時折確信めいた事をおっしゃいますね」

「そ、そうですか?」

「はい。高音様を幸福にするためには、私自身が幸福になる必要があるという事ですよね?」

「ん? まぁ………おそらく?」

「しかし、その点はご安心ください。私はこの国の人々が穏やかで健やかな生活を送れる事、そして高音様や土御門様の様な勇者様方に幸福になっていただく事が、私の夢であり希望なのです。ですので、私は高音様を心から幸福にしたいと考えています」

「そ、そんな……」



 ど、どうしよう。

 俺には舞という愛すべき彼女がいるのに、こうも堂々とプロポーズをされてしまっては、流石に色々と困ってしまう。



「おいフーマ。そんなに顔を赤らめて、もしや何か勘違いしていませんか?」

「勘違い? 俺がお姫様と結婚するって話じゃないんですか?」

「「け、結婚!?」」



 あれ?

 舞とお姫様が驚いた顔をしている。



「え? 政略結婚の話をしてたんじゃないのか?」

「まったく、フーマがセレスティーナの夫になって私に何の得があるんですか」

「言われてみれば確かに…」

「もしかして風舞くんはセレスティーナ様と結婚したいのかしら?」

「い、いや。そんな事ないです」

「ふふ。振られてしまいましたね」

「ヒルデ。余計なことは言わないでよろしい」



 しまった。折角お姫様の機嫌をとれていたのに、また不機嫌そうな顔になってしまっている。

 不機嫌そうな顔だと分かるのに、表面上は笑顔を見せているのがなお怖い。

 よし、話を戻そう。



「え、えぇっと。何の話でしたっけ?」

「私をこの国に受け入れるか否かという話です」

「あぁ、そうでしたそうでした。ちなみに、受け入れてもらえなかったらどうするんですか?」

「私の正体を知るこの国の関係者を始末するか、フーマとエルセーヌとボタンを連れて逃亡します」

「………お願いします殿下! フレンダさんを受け入れてやってください! 口ぶりは偉そうな吸血鬼ですけど、多分悪い吸血鬼じゃないんです!!」

「オホホホ。お母様の件でここまで必死なご主人様は初めて見ましたわ」



 だってこんなところでお姫様とかヒルデさん達をフレンダさんが始末しちゃったら、下手したらあの淫乱女神が襲って来るかもしれないし、逃亡生活は逃亡生活で辛すぎる。

 フレンダさんのためというよりは、俺の為にフレンダさんを受け入れてもらいたい!



「仮にです。私一人がフレンダ様を受け入れると宣言したとしても、この国には魔族によって親族を失った国民も多数いますし、フレンダ様と協力関係にある事を他国に知られた場合、我が国は人族全てを敵に回す事になる可能性もあります。その点はどうお考えですか?」

「基本的に私はフーマのそばを離れるつもりはありませんし、必要ならまたフーマの精神世界に入ります。これまではそれで凌いで来たのですから、今後もその通りにすれば問題はないでしょう。そして仮に私の存在が他国に知られたとしても、この大陸の人族ならそこで寝ているボタンが無理矢理にでも口裏を合わせてくれます」

「ボタンさんが? ていうか、フレンダさんってまた俺の中に戻るんですか?」

「嫌なのですか?」

「別に今更嫌も何も無いですけど、また俺の精神世界に入ったら出られなくなるんじゃ…」

「それなら問題ありません。この護符を解析していつでも白い世界から出られる様な魔道具を作成します。それが完成するまではそうですね……トウカあたりに白い世界から出る手伝いをしてもらいましょうか」



 なるほど。

 確かにトウカさんは魂に干渉するギフトを持っているし、似た様なギフトを持っているトウカさんのお母さんであるところのカグヤさんは、フレンダさんの魂を元の肉体に戻せるみたいな事を言っていたから、トウカさんがその技術を習得すれば自由に出たり入ったり出来るかもしれない。

 まぁ、トウカさんが素直にフレンダさんに力を貸すのかは話が別だけれど。



「ん? でも、その場合フレンダさんの体はどうするのかしら?」

「じゃあ、舞が持ってて良いぞ。抱き枕にするでも着せ替え人形するでも、好きにしてくれ」

「え!? 良いの!?」

「良い訳ないでしょう! 魂が入っていない肉体は死体とほとんど変わりませんから、結界に入れて保護するかフーマのアイテムボックスにでも入れておきます。まったく、この私を抱き枕にしようだなんて、何を言いだすんですか。まったく…」



 あ、着せ替え人形の方は拒否しないんですね。

 流石はコスプレお姉さんだ。

 そう言えば折角肉体を取り戻したんだし、近いうちに生身のコスプレショーでもやってもらおっと。



「なるほど。話は分かりました。確かにかの雲龍の店主であるボタン様の協力が得られると言うのなら、ある程度の無理は押し通す事ができるでしょう」

「ボタンの目的と私の目的は一致しています。それにボタンがこの国を保護するための費用はこのフーマが支払う事になっていますから、そこの点に関しては何の問題もありません」

「はぁ、そうだった」

「そう言えば、今回の作戦の対価としてボタンさんに協力するって話があったわね」

「ボタン様に協力ですか?」

「まだ具体的な内容は聞いてないんですけど、この大陸を安定させるために色々とやらされるらしいです」



 ボタンさんは当分の間安静にしていないとだし、その分俺の仕事が増えるんだろうな。

 はぁ、のんびりとした生活を送りたい。


 俺がそんな事を考えている間にフレンダさんはセレスティーナ第一王女の正面に立ちながら右手を差し出す。



「さて、これで話はほとんどですね。私はスカーレット帝国を含むこの大陸の情勢を改善するためにこの国に知識と戦力を提供する。その代わりにこの国は私の存在を一部容認し、エルセーヌやミレン様の正体については言及しない。この交渉に利益を見出すのなら、私の手を取りなさい」

「いくつか条件があります」

「……言ってみなさい」

「まず、フレンダ様のこの国内での行動範囲は離宮のみとさせていただきます。それ以外の場所に出向きたい場合は、その都度私の許可を得てください」

「多少窮屈ではありますが、その程度なら良いでしょう」

「そして、何があっても勇者様方にはご自身の正体を明かさないでください。これはジェイサットとの戦争に向けて訓練をしている勇者様方を混乱させないための処置です」

「分かりました。他には?」

「最後になりますが、高音様と土御門様の意思に反する行動はしないでください。それが私にとってフレンダ様を縛る最大の枷となります」

「なるほど。フーマとマイをこの契約の証書とするわけですか」

「はい。より細かい条件についてはまた後日にボタン様の参加できる日に改めさせていただきますが、フレンダ様をお迎えする事で我が国に利益があると言うのなら、多少の損害には目を瞑ります」

「良いでしょう。そこまで言うのなら、全てが終わった後に私がいなくてはこの国が立ち行かないとセレスティーナが思う程の功績を残してみせます」

「ふふ。まるで魔族の様な言い草ですね」

「私ほどの魔族と契約を結べた事を光栄に思いなさい」

「そうですね。それではフレンダ様、セレスティーナ・ラングレシアの名において、フレンダ・スカーレット様を国賓としてお迎えいたします。我々の関係が人族と魔族の架け橋に、そしてランバルディア大陸の穏やかな未来の礎にならん事を」



 そうしてお姫様はフレンダさんの手を取り、無事に契約は果たされた。

 本来であれば魔族の中でも有力すぎるフレンダさんを迎い入れる事など出来る筈がないのに、俺のためと言ってフレンダさんを受け入れてくれたお姫様には感謝してもしきれない。

 俺も今後ともお姫様とはよろしくして、出来るだけこの国の力になりたいもんだな。


 俺はそんな事を考えながら、正座した足を痺れさせていた。



 ◇◆◇








次回26日予定です

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