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クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら、魔王に遭遇したんですけど...  作者: がいとう
第4章 微妙にクラスメイト達と馴染めていない気がするんですけど…
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27話 迷コンビ

 風舞




 世界樹の第20層後半にて、俺はただひたすらに目の前の魔物の攻撃を避けては、両手剣で攻撃をしてを繰り返していた。

 手は既にマメが潰れて血で滲み、先程魔物に付けられた肩の傷がジリジリと痛む。



「ひぃぃぃぃ。辛いぃぃぃ」

「クソ。魔法…いや、せめてスキルさえ使えればこんな雑魚なんか」

「おい新入り供! 口を動かす暇があったら手を動かせ!」

「「はい! すみません!!」



 俺とまゆちゃん先生は配属された部隊の上官の怒声に背中を押されながらただ闇雲に両手剣を振るう。

 両手剣なんてこれまで碌に振った事もなかったし、無駄に重くて扱い辛い事この上無いのだが、上の指示に従わなくてはまた恐ろしいお説教が俺達を待っているため、今はグッと堪えるしかない。



「ちきしょう。こんな事なら大人しく部屋にこもってシルビア達とイチャイチャしてるんだった」

「ちょ、ちょっと高音くん! ちゃんとトドメは差してよ! ひぃぃっ!?」

「はぁ…頑張れまゆちゃん先生。俺はもう疲れた」

「ま、待って! お願いだから戦闘中に武器を捨てないで!」

「まゆちゃん先生は魔法使えて楽そうで良いですよね」

「私は前衛自体初めてなんだから魔法が使えないと即死だし、それに……って危なっ!?」

「ほら、よそ見しちゃダメでしょ」

「元はと言えば高音くんが話しかけてきたんでしょ!」

「あぁ、はいはい。すんませんした」



 現在の俺は罪人が嵌める手枷を両手に付けられているため魔法もスキルも使えず、純粋なステータスのみで戦っている。

 俺の攻撃力は未だに300ちょいしかないため、何の変哲もない魔物を一匹殺すだけでも数回は両手剣で頭を殴らないと倒す事は出来ない。

 まゆちゃん先生は最初にステータスポイントをしっかりとステータスに割り振ったため攻撃力は400以上あるらしいのだが、それでも目の前のデカイ熊を倒すのは苦労しているみたいだった。


 そんな俺とまゆちゃん先生の後方ではエルフの里の軍隊の皆さんが4、5体の魔物に苦戦する俺たちを眺めながら休憩している。

 武術の心得も碌にない俺達が知恵を絞って戦うのを見て自らの糧にするためだと言ってはいたが、必死こいて戦っている俺たちからすると見世物にされている気分だ。



「はぁ、おうち帰りたい」

「ちょっと! 高音くんはこのダンジョンで一番強い魔物を倒してるんでしょ! 元気出してよ!」



 ここに来る前までは遠い目をしていたまゆちゃん先生が俺を励ます側に回っている。

 もうまゆちゃんも元気になったし帰ろうよ。

 はぁ、なんでこんな事になったんだっけ?




 ◇◆◇




 風舞




「という訳で世界樹の攻略に参加させてもらいたいんですよ」

「良いぞ」



 エルフの里の宮殿のファーシェルさんの執務室にて、まゆちゃん先生を連れて転移して来た俺はファーシェルさんに、これから世界樹の攻略に向かうエルフの軍隊にまゆちゃん先生を同行させてもらえないか聞きに来ていた。

 結果は先の通り快諾である。



「え? マジで良いんですか?」

「ああ。ちょうど護衛訓練もやろうと思っていたところだし、要人役に本物の勇者を使える事もそうないだろうからな」



 ファーシェルさんがそう言いながらまゆちゃん先生を品定めをする様にジッと見つめる。

 まゆちゃん先生はそんなファーシェルさんの鋭い視線を受けて、まるで圧迫面接を受ける就活生の様な顔をしていた。

 頑張れまゆちゃん先生。



「あぁ、でも…できれば戦闘にも参加させてもらえると助かるんですけど…」

「足手まといにならないと誓えるなら構わないが、戦えるのかい?」

「は、はい! 一応実戦経験はあります!」

「スキルや魔法の構成は?」

「戦闘系のスキルは魔力感知と聖魔法を使えます!」

「そうか…」



 ファーシェルさんはそう言うと、手元の資料を確認しながら考え事を始める。

 これは…採用されるのか?

 そんな事を考えながら部屋の中をキョロキョロと見回していたその時…



「師匠久しぶりぃぃ!!」



 ターニャさんが物凄い勢いで部屋に入って来た。

 まゆちゃん先生とアンがビクッとしながらドアの方をバッと向く。



「ターニャ。ドアは静かに開ける様に言っただろう?」

「あ、ごめんねママ」

「まぁ、良い。それより、カグヤ様の元で座学を受けていたんじゃないのか?」

「そのカグヤ様が師匠が来たから少し休憩だって」

「そういう訳ですファーシェル」

「そ、そうでしたか」



 突如執務室に転移して来たカグヤさんがそう言いながら近場にあったソファに腰掛ける。

 あぁ、スーシェルさんに転移してもらったのか。

 カグヤさんの後ろでスーシェルさんが俺に小さく手を振っている。



「お久しぶりですフーマ様。私の娘は抱いていただけましたか?」

「い、いえ。抱いてないです」

「おや、てっきり懐妊の報告だと思ったのですが、それでは何をしにこちらへ?」

「………どうせ聞いてたんですよね?」

「ふふふ。これはこれは失礼致しました。久しぶりに皆様にお会いできた為にすこしはしゃいでしまった様です」

『ふん。相変わらずいけ好かない女ですね』

「御令妹様もお久しぶりですね。相変わらず寄生している様で、なんとも逞しい事です」

『おいフーマ。さっさと要件を済ませてください。いつまでもここにいては土臭いエルフの匂いが染み付いてしまいます』



 なんでこの大人2人は顔を合わせるなりすぐに喧嘩を始めるのだろうか。

 ほらほら、この場でフレンダさんの声を聞けるのはカグヤさんだけなんだから、みんな怪訝な顔をしてますよ?

 いや……ターニャさんだけはアンに話しかけるので夢中だな。



「え、えぇっと、そろそろ話を進めても良いですか?」

「ええ。失礼いたしましたフーマ様。それで、そちらの勇者様を本日の掃除に参加させてほしいという事でしたか?」

「まぁ、そうですね。この人は…一応俺の先生なので自信を取り戻してもらえたらなと」

「ええっ!? 師匠の先生って事はすごく強いってこと!?」

「い、いえ! 私など大した事はありません! スライム以下です!」

「確かに戦士には見えないが…」

「それを言うならフーマ様も全く強そうに見えませんね」



 おいスーシェルさん。

 確かに俺は強そうには見えないけど、そんなにストレートに言われたら流石に傷つくぞ。


 そんな事を考えながらジト目を向けると、タイトなスカートの端をチラッとめくってきた。

 ま、まぁ? そんなちょっぴり毒舌なスーシェルさんも素敵だと……。



『おい、何を遊んでいるのですか?』

「ごほん。それで、どうですかね?」

「私供としてはそちらのお方の訓練にお付き合いするのは構いませんが、安全の保障はできませんよ?」

「あぁ、それは大丈夫です。まゆちゃん先生は邪魔にならない様に支援魔法を後ろの方からかけるだけなんで」

「えぇぇ、それじゃあ師匠は戦わないの?」

「そうですね。俺は多分見てるだけだと思います」

「しかし、フーマ様がそばにいてはそちらのお方の訓練にならないのではありませんか?」

「そうですか?」

「はい。なんでも今回の目的はそちらのお方…」

「あ、マユミです」

「マユミ様に自信をつけるためのものですし、一度世界樹の主を倒しているフーマ様が横にいては精神的な成長は見込めないと思います」



 まぁ、言ってる事は分かる気がする。

 まゆちゃん先生がこうなってしまったのは安全マージンが十分に取れた戦闘の中では自分の存在意義を感じられなかったのがそもそもの原因だし、それなりの修羅場に放り込まないとダメなのかもしれない。



「それじゃあ、どうすれば良いですかね?」

「うちでは新兵に力を合わせなくては勝てない魔物と戦わせて戦士としての心構えを覚えさせるが…」

「それではそうしましょうか」

「え? まゆちゃん先生が新兵と一緒に魔物と戦うって事ですか?」

「いえ。流石にうちの新兵をフーマ様の個人的なお願いには使えませんし、別の方法を取ります。まぁ、フーマ様が我が国のためにいくつかお願いを聞いてくれるというのでしたら話は別ですが…」

「い、いや。別の方法でお願いします!」



 カグヤさんのお願いとか絶対碌なもんじゃない。

 俺はカグヤさんが国のためなら無理矢理にでも自分の娘を広告塔にする事を知っているんだぞ。

 まぁ、俺もその話には少し噛んでたりするんだけど。

 そういえば、トウカさんの等身大ポスターは出来たのかね。



「そうですか。それでは仕方ありませんね。スーシェル」

「はっ。こちらに」



 おぉ、カッコいいなあれ。

 俺も今度シルビアと一緒にやってみよっと。

 って、そうじゃなくて……スーシェルさんはカグヤさんに何を渡したんだ?



「フーマ様。これを手首に嵌めていただけませんか?」

「これ…手枷ですよね?」

「違いますよ。ただのアクセサリーです」

「いやいや。鎖はついてないですけど、こんなに無骨なアクセサリーがあるわけないじゃないですか」

「例のポスターの件ですが、下着版も…」

「よしつけましょう! ちょうどこんなアクセサリーが欲しかったんですよ!」



 俺はカグヤさんの手から手枷…もとい無骨なアクセサリーを受け取って手早く手首につけ始める。

 へぇ、一度嵌めたら鍵がないと取れないタイプか。



『お待ちなさいフーマ! それは…』

「へ?」



 フレンダさんの制止も間に合わず両手首に手枷を嵌めたその時、全身から力が抜ける様な感覚が俺をおそった。

 いや、力が抜けるというよりは頭に霞がかかった様な…。



「どうやらしっかりと効果はあるみたいですね」

「なんですか、これ?」

「それは身につけている者のスキルと魔法を封印する魔道具です」

「なんでそんな物を俺に?」

「簡単な話ですよ。我が国の新兵をお貸しできないのであれば、フーマ様自身に新兵になっていただけば良いのです」



 カグヤさんはそう言うと、少しだけ腹が立つぐらいキレイな笑顔でふんわりと微笑んだ。




 ◇◆◇




 風舞




「という訳で俺は全身に生傷をつくりながら戦う事になってしまったのである」

『おいフーマ。虚空に向かって話していないで早くマユに回復してもらいなさい』



 無事ではないがなんとか熊の魔物を倒した後、俺は地面に横たわってゼーゼー言うまゆちゃん先生の横で1人回想をしていた。


 カグヤさんのご好意というか策略にはまってしまった俺は、まゆちゃん先生と一緒にエルフの軍隊の後ろをついて行き、軍の人達がワザと残した魔物を俺とまゆちゃん先生の2人で倒してを、もう既に5回ほど繰り返している。

 まゆちゃん先生は俺と違ってスキルも魔法も封じられていないので聖魔法で回復と支援をしてくれるのだが、それでも初めてやる前衛に悪戦苦闘して、まともに聖魔法を使えてはいなかった。



「はぁはぁ…辛い。人生で一番辛い」

「あのー、回復をお願いできませんか?」

「嫌。高音くんさっきの戦闘サボってたから嫌」

「嫌って……そんな子供みたいな事言わないでくださいよ。そんな事言ってると次の戦闘に参加しませんよ?」

「魔物と戦わないと道中軍隊の人が守ってくれないんでしょ? 今の高音くんだったら死んじゃうと思うけど?」



 まゆちゃん先生が俺を睨みながらそう言う。

 俺たちはこうして行軍に参加させてもらう代わりに、カグヤさんから各階層の魔物の討伐を頼まれているのだが……



「俺には超絶美人でむちゃんこ強いシルビアがいるので、いざとなれば守ってくれます」



 少し離れた位置からシルビアが心配そうに見守ってくれてるし、カグヤさんのお願いを無視しても今この場では何の問題もない。

 まぁ、戻ったら何を言われるかわからないからちゃんと魔物とは戦うけどね。

 そんな事を考えながらまゆちゃん先生に背を向けてシルビアの元へ向かおうすると、まゆちゃん先生が必死な顔で立ち上がって俺の回復を始めた。



「お願い! 私だけじゃ魔物に勝てないから手伝って!」

「まったく、仕方ないですねぇ」

『そう言うフーマはマユよりも魔物の討伐数が少ないんですけどね』

「「ぢぐじょう゛」」



 俺とまゆちゃん先生は同じ思いだったのか同じセリフを呟く。


 まゆちゃん先生は回復と支援に特化した後衛タイプなのだが、カグヤさんの指定した魔物の数がどう考えても2人とも前衛でその上で聖魔法で補助しなくては勝てない数なので、まゆちゃん先生も仕方なく前衛をしている。

 幸いにもファーシェルさんが鉄製の両手剣を二本貸してくれたのだが、切れ味はイマイチだし無駄に重いしで使い辛い事この上ない。

 ステータスが高ければ重い物を持ち上げる事は出来ると言っても、体感的な重さは筋肉量で決まる事をあの人は知らないのか?



「「はぁ、帰りたい」」



 まゆちゃん先生にズタボロになった手を回復してもらっていると、再びセリフが被った。

 現在俺達がいるのは第26層。

 カグヤさんが指定した魔物は第29階層のものまでなのであと3回は戦わなくてはならない。



「「はぁ、超辛い」」

『………。息ピッタリですね』



 フレンダさんが何か言っている気もするが、満身創痍の俺には何も聞こえない。

 はぁ、こんな事なら日頃から筋トレだけじゃなくて、もっとしっかり訓練しておくんだったな。

 舞みたいに起きがけに素振り千回は無理だけど、100回ぐらいはやる様にするか。

 そんな今となっては遅い後悔をしながら回復の終わった手の感触を確かめていると、軍の隊長さんが次の指示を飛ばしてきた。



「よし、それでは休憩は終わりだ! 整列!」

「「「「はっ!!!」」」」

「行きましょうまゆちゃん先生。またお説教は嫌です」

「はぁぁ。風呂入ってお酒飲みたい」



 そう言いながらもまゆちゃん先生は立ち上がり、俺と一緒に列の一番端っこに並んだ。

 エルフのおじさん隊長はそんな俺達に無駄にでかい声で話しかけてくる。



「おい新入り! やる気がないならここで待っていても良いんだぞ!」

「「いえ! やらせてください!!」」

「よし、それでは周囲を警戒しながらついて来い! 行軍開始!!」



 隊長さんはそう言うと、軍の皆さんとシルビアを率いて次の通路へと進んでいく。

 シルビアはカグヤさんに世界樹内では俺に話しかける事を禁じられているため、行軍中は先頭で魔物の討伐を率先して行っている。

 おそらくスキルも魔法も使えない俺のために、しっかりと安全を確保しているのだろう。

 ただ…



「「はぁ、帰りたい」」



 いくら安全の確保はされているとは言っても、やっぱりこうやって汗水たらしながら頑張るのは俺には向いてない気がする。



「ねぇ、まゆちゃん先生。いきなり覚醒とかしないんですか?」

「するわけないでしょ。はぁ、化粧も落ちるし最悪すぎだよ」

「化粧…してたんすね」

「ねぇ、ずっと思ってたんだけど高音くんってデリカシーが無いってよく言われない?」

「そう言うまゆちゃん先生は主体性が無いってよく言われませんか?」



 俺とまゆちゃん先生の間にしばしの沈黙が流れる。

 そして…



「「なにおうっ!!?」」



 俺とまゆちゃん先生は2人揃って両手剣を放り投げて取っ組み合いを始めた。

 パワーではまゆちゃん先生には敵わないが、俺には何回も死にかけて積んできた経験がある。

 この経験を頼りに戦えば互角ぐらいにはなるはずだ!


 そう思ってまゆちゃん先生の見え見えなパンチを避けて後頭部に肘を入れようとしたその時…



「おいお前ら! 列を乱すな!!!」



 隊長さんの怒声とともにウォーターボールが飛んできた。

 俺とまゆちゃん先生はびしょ濡れで地面に横たわりながら口だけを動かす。



「まゆちゃん先生のせいで怒られた」

「元はと言えば高音くんが私をここに連れて来たんでしょ?」

「はぁ……もう嫌だ」

「何で私、異世界でもこんな思いしなくちゃいけないんだろ」

「おい新入り!! いつまでそこで寝ている! 置いて行くぞ!!」

「「申し訳ありません!!」

「次に団体行動を乱したら何も言わずに置いて行くからな!!」



 隊長さんはそう言うと、プンプンと怒りながら軍を率いて進み始める。



「「はぁぁぁ、つら」」

『なんだかんだ仲良いですよね?』

「そんな事ないです」

「え? 誰と話してるの? もしかして厨二病?」

「うるせぇ。頭の中お花畑女」

「うっ……。はぁ……私は大人なんだから子供の言う事で腹を立てたらダメよ、真弓」



 そうして小言で喧嘩したり不満を垂れ流したりしながらも、俺とまゆちゃん先生はエルフの軍隊の最後尾を重い両手剣を杖にしながら必死でついて行くのであった。




 ◇◆◇




 風舞




「てな事をやってたら迎えに行くのが遅くなりました」



 エルフの里での苦しい訓練を終えて日もすっかり沈んだ後、そのまま舞やローズ達を迎えに行った俺はラングレシア王国の一室で舞とローズにお迎えが遅れた言い訳をしていた。

 エルフの里から直接舞達を迎えに行ってそのまま戻って来たため、まゆちゃん先生もまだこの部屋にいる。



「へぇ。それで、成果はあったのかしら?」

「それは…どうだろう? 度胸は付いたんじゃないか?」

「お主、マユミと言ったかの?」

「あ、はい。マユミです」

「どうじゃ? 強くなれたかの?」

「一応、なんとなく戦い方みたいなのは分かってきた気はします」



 へぇ、それは良かったね。

 俺は特に何も得るものはなかった気がするぞ。

 だってあんな魔物、スキルか魔法が使えれば楽勝だし…。



「ふむ。シルビアから見てどうじゃったか?」

「はい。初めの内は連携もなくただ闇雲に戦っていましたが、訓練の終盤では自分がどう動くのが最適かを常に考えていた様に見えました」

「そうか。ならばこれ以上はとやかく言うまい。フウマがまた女を引っ掛けて遊んでおったとあれば仕置きが必要かとマイと話しておったんじゃが、シルビアがそう言うなら問題ないじゃろ」

「そうね。風舞くんとマユミ先生も今日は疲れたみたいだし、今日はこのぐらいにしておきましょうか」

「ありがとうな2人とも。もう二度とエルフの里に訓練に行ったりしないから、次からは安心してくれ!」

「お母様はいったいフーマ様達に何をやらせたのですか…」

「フーマ様に罪人を拘束する腕輪をつけてまゆちゃんと一緒に魔物と戦わせたんだって」

「え!? それじゃあ風舞くんとマユミ先生には切っても切れない絆が……」


「あれ? いつまでそこにいるんですか? もしかして自分で考えて行動できないんですか?」

「別に高音くんに言われなくても帰るつもりだったんですけど?」

「それじゃあお早めにお引き取りください。まゆちゃん先生もいつまでもすっぴんでいたく無いですもんね」

「あぁ、もう! 男子高校生ってこんなに腹が立つ生き物だっけ!?」


「……無さそうじゃな」

「ええ。凄く仲が悪そうね」

「一体何があったのですか?」

「さぁ? 私も実際に見てた訳じゃないし…」



 なんか舞達が呆れた顔で俺達の方を見ている気がするが、今は目の前のこの自堕落女の相手をするのが先だ。

 この女、訓練が終わった後になってねちっこく俺に嫌味を言ってきやがって…。

 どう考えても魔法もスキルも使えなかった俺の方が大変だったんだぞ!



「あぁ、そういえばまゆちゃん先生…。授業をサボってこんな時間まで遊んでたんですからお姫様とかに謝りに行かなくて良いんですか?」

「え!? サボる理由、でっち上げてくれてないの!?」

「俺、大人にもなって授業を無断でサボるのはどうかと思います」

「それを言うなら私もトウカさん? の等身大ポスターをもらって雄叫びをあげていた男子高校生をどうかと思いますー」

「は、はぁ!? あげてないしぃ!? ていうかもらってないしぃ!?」

「フーマ様? 等身大ポスターとは何の事ですか?」

「あぁ、そう言えば帰り際にカグヤ様に何やら大きな紙の束を数枚もらっていましたね。確か…下着版の方は限定品だから大事にしてくださいとかなんとか…」

「おいシルビア! 真面目なのは良い事だけど、天然過ぎるのはどうかと思うぞ!」

「も、申し訳ありません!!」

「あー、高音くんが自分に良くしてくれてる女の子に八つ当たりしてるー。いけないんだー」

「うるせぇ! お前はさっさと帰れ!!」

「はーい。それじゃあさよならー。あ、そういえば私…高音に下着と裸を見られましたー。それじゃあおやすみなさーい」



 あいつ、最後にとんでもない爆弾を残して帰って行きやがった。

 次会ったらあいつだけエルフの里に転移させてやる!!

 って、あぁぁぁ。



「風舞くん? 一体どういう事か説明してくれるわよね?」

「ねぇ、フーマ様? シルちゃんを泣かすとか、どういうつもり?」

「フーマ様? 私の等身大ポスターについてもちろん教えてくださいますよね?」



 ダメだこりゃ。

 いつもは俺の味方をしてくれるアンまで敵にまわっては、もう俺にはどうする事も出来ない。

 ちくしょう、やっぱりあの時まゆちゃん先生なんか放っておくんだった。



「まぁ、自業自得じゃな」

『ぷぷぷ。私は今日一日フーマは頑張っていたと思いますよ』



 はぁ、明日は一日中シルビアに謝りながら部屋に引きこもろ。

 そんな事を考えながら、説教を受けるために自然と正座をする俺なのであった。

次回、27日予定です

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