19話 城の中庭
風舞
ボタンさんのところで遊女の身請けの印を入れてもらった次の日、俺達はラングレシア王国に向かうために朝からバタバタと準備をしていた。
シルビアとアンは俺の従者として恥ずかしくない格好をしようと全力でおめかしをし、トウカさんは露出のありすぎる格好をしているフレイヤさんを必死で着替えさせ、舞は俺が作ったパンケーキを頰を一杯にして頬張っている。
今朝は皆忙しそうだったので、特に準備に時間がかからなかった俺が適当に作ってリビングのテーブルに積み上げておいたのだ。
「ふふふふふ。朝から風舞くんの料理を食べられるなんて幸せだわ」
「そりゃどうも。舞はもう準備は良いのか?」
「ええ。私は幼い頃から支度は素早くする様に躾けられてきたからもう大丈夫よ」
「ふーん」
なんかちょいちょい舞の家庭の躾の話を聞くけど、家庭内の舞はどんな生活をしていたのだろうか。
気になってはいるのだが、微妙に藪蛇が怖くてつつけずにいる。
今度落ち着いた雰囲気になった時にゆっくり実家談義でもしてみるかね。
そんな事を考えつつ俺も自分の分のパンケーキを食べていると、フレイヤさんの着替えを這々の体で終わらせたトウカさんがため息をつきつつ俺の横に座った。
「おつかれトウカさん。はい、どうぞ」
「あぁ、ありがとうございますフーマ様」
「ふふ。随分とお疲れみたいね」
「そう思うのならマスターも手伝ってくださいよ。いただきますフーマ様」
「はい召し上がれ」
「でも、私が手伝おうとしたらドラちゃんが嫌そうな顔するんだもの」
「それはマスターがフレイヤの胸を揉もうとするからでしょう?」
「そうなんですか?」
「よく揉まれる」
トウカさんの横に座っていたフレイヤさんがシロップのかかっていないパンケーキを食べながら短くそう言う。
へぇ、フレイヤさんは元の女神っぽい格好から白いドレスに着替えたのか。
褐色肌と白いドレスのコントラストが良いですね。
「へも、ほうふぁはんはおねふぁいしふぁら…揉ませてくれるのよね」
「へぇ、もう完堕ちしたんですね」
「ち、違いますよ。マスターに抵抗するのが面倒になっただけですよ」
「ふぅん。なぁ舞。今度トウカさんの胸をサワサワする時は俺も呼んでくれよ」
「ええ、もちろんご招待させてもらうわ!」
「しなくて良いです! それより、ミレン様はどちらにいらっしゃるのですか?」
「もう起きてると思うんですけど、何してるんですかね…」
そんな話をしながらパンケーキを口に入れていると、赤いワンピースドレスを着たローズがちょうどリビングに入って来た。
ローズの服装はノースリーブであるため、昨日ボタンさんにつけてもらった印がよく見える。
ていうか、なんでローズはそんなにソワソワしてるんだ?
「おはようミレンちゃん。随分と支度に時間がかかったのね」
「う、うむ。何を着るか少し悩んでしまっての」
「へぇ、ミレンでも着る服に悩む事あるんだな」
『確かにお姉様が着る服に悩むのは珍しい気がしますね』
「たまには妾にもそういう日があるんじゃ」
ローズはそう言いながらテケテケと歩いて行って舞の隣に腰掛ける。
ん? いつもだったらパンケーキが出されてたら目を輝かせて食べるのに、なんで目を閉じて腕を組んでるんだ?
「大丈夫か? 腹でも痛いのか?」
「そんな事はないぞ。妾は至って快調じゃ!」
「あ、そう。それなら良いんだけど……」
なんかローズに大声で否定されてしまった。
もしかして女の子の日なのか?
そう考えながらローズからなんとなく舞に視線を移すと、ローズの姿を眺めていた舞がハッと気づいた様な表情を浮かべた。
「ははぁん。そういう事ね」
「なんじゃ? 何をニヤけておる」
「ミレンちゃん。その肩の印を服で隠すか隠さないかで悩んだんでしょ?」
「な、何の事じゃ!? この妾がその様な些細な事で悩むはずがなかろう!」
「ふぅーん。昨日の晩私とお風呂に入った時に、印が消えちゃわないかビクビクしていたからそう思ったのだけれど、違うのかしら?」
「ち、違うわい!」
ローズがそう言いながら立ち上がったところで、ようやくシルビアとアンがリビングにやって来た。
二人ともお揃いのフォーマルなパンツスタイルで、上品でありながら動きやすそうな格好をしている。
うんうん、二人ともよく似合ってるぞ。
「あれミレン様? 結局そのドレスにしたの?」
「ん? どういう事だ?」
「つい先程ミレン様に服を選ぶ手伝いを頼まれまして、肩が出ているものと出ていないものどちらが良いか意見を求められたのです」
「それで私達は肩が出ていない方が良いんじゃないかって言ったんだけど……」
「なるほどなるほど。ミレンちゃんは印を見せびらかす事を選んだって訳ね」
「ち、違うぞ! 印がよく見えた方が妾が魔族である事を説明しやすいと思っただけじゃからな! 本当にそれだけじゃからな!」
「それ以外に他意がある様にしか見えないぞ」
「な、ないと言っているじゃろ!!」
『おいフーマ、お姉様のお言葉を疑うとは何様ですか! しかし…慌てて印を手のひらで隠すお姉様は可愛いらしいですね』
「おいフーマ! フレンになんと言われたかは知らぬが、本当に他意はないからの! 本当じゃからな!」
「はいはい。俺にロリをいじめる趣味は無いからそんなに興奮しなくても大丈夫だぞ」
「ロリじゃないわい!」
そう言って柔らかそうなほっぺたを膨らます吸血鬼様なのであった。
っておいおい、机の下から俺の足を蹴らないでくれよ。
◇◆◇
風舞
ローズに「違うからの! 本当に他意はないからの!」と言われ続けながらシルビアやアンと一緒に食器を片付けた後、俺達は2日ぶりにラングレシア王国まで転移して来た。
前回ここに来た時にイケメン勇者の天満勇気にこの部屋を空けておく様に頼んだためか、この部屋には誰もいない。
「さてと、まずはどうしようか」
「まずはあのお姫様を呼んでもらいましょう。いきなりミレンちゃんに城内を歩かせるわけにもいかないわ」
「それもそうか。それじゃあちょっと廊下をフラッとして来るわ」
「私もお伴します」
「二人だけじゃ心配だし私も行くよ」
「それじゃあお願いするわね。風舞くんを頼んだわよ」
「はい!」
「うん。任せてといてよ」
こうして、俺とアンとシルビアの3人は城の廊下に出てお姫様を呼んでくれそうな人を探し始めた。
なんとなくみんなの俺に対する信頼感が低かった気もするが、気のせいか?
「さてと、2人はどっちに行けばお姫様に会えると思う?」
「そうですね。やはりまずは中庭に行くのが良いかと」
「中庭? なんでだ?」
「特に理由はありません」
「ないのかよ。アンはどっちに行ったら良いと思う?」
「私も中庭が良いかと思います」
「なんでだ? ていうか、その話し方は何?」
「私は風舞様の従者としてここにいますので、城内ではこの話し方が良いかと思いまして…」
「ふーん。で、中庭が良い理由は?」
「シルちゃんが中庭に行ってみたそうだったからです」
「ちょ、ちょっとアン。私は一言もそんな事…」
「でも顔には行きたいって書いてあるよ?」
アンとシルビアが俺の前でコソコソ話し始めた。
聞こえてくる話によるとシルビアは園芸に興味があるらしく、大国であるラングレシアの王城の中庭に行ってみたかったらしい。
園芸が好きなシルビア……なんか良いな!
「それじゃあとりあえず中庭の方に行ってみるか。そうすれば途中で誰かに会うだろうし、その人に話を聞けば良いだろ」
「ありがとうございますフーマ様!」
「どういたしまして。それじゃあとりあえずはこっちか?」
そうして一先ずは階段の方に歩いて行こうとしたその時…
「オホホホ。中庭に行くのでしたら私が案内いたしますわ」
俺の頼りになる従魔さんが現れた。
良かった。
特に怪我もなそうだし、取っ捕まって拷問とかは受けてないみたいだな。
「お疲れエルセーヌさん。一人で大丈夫だったか?」
「オホホホ。久し振りに貴族の食事をしてご主人様の庶民料理が恋しくなった以外は問題ありませんわ」
「なんだ? 接待でもしてもらってたのか?」
「オホホホ。詳しい話は今晩にでもいたしますわ」
「そっか。それじゃあお姫様がどこにいるか分かるか?」
「オホホ。第一王女はあと2時間ほど会談中ですので、それまで中庭を案内いたしますわ。フーマ様方がこの城に来ている事は既に第一王女の耳に入っていますので、使用人を探す必要はありませんの」
「ふーん。じゃあ早速案内してくれ」
「ミレン様達にその事を言わなくて良いのですか?」
「オホホ。しばらくすればこの城の者が事伝に来るので問題ありませんわ」
「私達だけで中庭に行っては後でマイ様に文句を言われそうな気がするのですが…」
「城での舞は比較的大人しいから大丈夫だろ。それより時間は限られてるんだから早く行こうぜ」
「はい!」
こうして、俺は尻尾ぶんぶんのシルビアと不安そうな顔のアンを連れてエルセーヌさんの案内の元中庭に向かった。
中庭に向かう間に兵士っぽい人やメイド服を着た人とすれ違ったりもしたが、特に話しかけられる事もなく簡単に中庭までやって来る事が出来た。
「うわ、暑っ」
「そうですね。ソレイドに比べるとかなり暑く感じます」
「これは日本の夏を思い出すな」
「フーマ様の故郷の夏はこれぐらい暑かったのですか?」
「ああ。こんな感じでかなりジメッとしてて暑かったな」
「そうでしたか」
この世界の自転方向は俺の元いた世界と同じだし、大陸の東にあるラングレシア王国は日本と似た気候なのかもしれない。
ソレイドはカラッとした暑さだったから、この肌に纏わりつく様な暑さはかなり久し振りだな。
そんな事を考えながら室内から中庭に出ると同時に噴き出た汗を手で拭っていると、エルセーヌさんが中庭の植物を観察していたシルビアに話しかけた。
「オホホ。シルビア様は植物がお好きなんですの?」
「うん。孤児院にいた頃からずっと好きだね。なんかこうして花や木々を見てると落ち着くんだよ」
「オホホホホ。なんとなくわかる気がしますわ」
へぇ、シルビアはアンだけじゃなくてエルセーヌさんにもため口で話すのか。
あれ? そう言えばトウカさんにもタメ口だったか?
なんとなく従者組の関係が気になるな。
俺達がいない時はどんな話をするのだろうか……聞いてみるか。
「なぁ、アン。普段トウカさんやシルビアとどんな話をするんだ?」
「そうですね…大抵はフーマ様やマイ様やミレン様のお話でしょうか」
「え? どんな?」
「マイ様がまた奇天烈な事をされたとか、ミレン様から大変興味深いお話を聞いたとかです」
「俺の話はないのか?」
「フーマ様に関する事ですと……いえ、これは従者同盟の秘密でした」
「そんな同盟があるのか」
「私達は日々助け合って生きていますので」
「そっか。良いよな、助け合い」
「はい。助け合いはとても良いものです」
「………。その話し方疲れないか?」
「いえ。鍛えておりますので」
「あ、そう」
『いやいや、何を普通に納得しているのですか?』
なんかアンがしっかりしすぎてて寂しい。
普段はヒョコヒョコとやって来てフレンドリーに話しかけてくれるのに、今のアンはピシッとしていて大人っぽくて少しだけ距離感を感じる。
先程アン自身が言った通りこの城では誰が話を聞いているかわからないから、アン自身の身を守るためにも俺にタメ口はきかない方が良いのだが、いつもみたいにアンとどうでも良い話をしたい欲がむくむくと湧いてきた。
「なぁアン。おまえ、今晩俺の部屋に来い」
「はい。わかりまし……ええっ!? なんでっ!?」
「なんとなく今晩はアンとゆっくり話がしたい。ついでにブラッシングでもさせてくれ」
「あ、あぁぁ…そういう事か。うん、それなら良いよ。シルちゃんも一緒で良いでしょ?」
「もちろんだ。……ていうか、敬語は良いのか?」
「はぁ、フーマ様がいきなり変な事言うから気が抜けちゃったよ、もー」
アンがそう言いながら俺の腰のあたりをペシペシと叩いてくる。
あぁ、そうだよこれこれ。
やっぱりアンはこうじゃなきゃな。
そう思ってアンの柔らかい拳の感触を満喫していたその時、誰かがこちらに近づいて来ている事に気がついた。
「オホホ。勇者様方がこちらに向かって来ているみたいですわ」
「マジで? よし、部屋に戻るぞ」
「え? 挨拶してかなくて良いの?」
「ああ。なんか顔を合わせ辛いし…」
「えぇぇ、何その理由…」
「オホホ。しかし、他の勇者様達とそれなり仲が良い方が今後の事を考えるとよろしいと思いますわ」
「えぇぇ。シルビアはどう思う?」
「私はフーマ様の望むままにすれば良いとますが、他の勇者様方にお会いしてみたくはあります」
「はぁ、それじゃあ会ってやるか」
そう呟いて後ろを振り返ると、廊下の曲がり角から黒髪の3人組が現れた。
えぇっと、なんて名前だったっけ。
そんな事を考えていると、3人組の内の一人の男子生徒が俺に気がついて声をあげる。
「あ、高音だ」
「よ、よう久しぶり」
「え? マジで高音じゃん! 勇気が言ってた事は本当だったんだな!」
「うん! 何はともあれ無事で良かったよー」
気の良さそうな男二人と女一人がそう言いながら笑顔で近づいて来る。
ヤベェ、マジで名前が思い出せない。
ていうか、俺は元々こいつらの名前覚えてたか?
そう思って内心冷や汗を浮かべていると、背の高い男がアンの姿を視界に収めて俺に問いかけてきた。
「ん? そっちの獣人の女の子は高音の知り合いか?」
「あ、ああ。俺の従者だ」
「従者!? 従者って事はメイドなのか!?」
「メイドではないけど、俺の身の回りの世話をしてくれてる」
「へぇぇぇぇ、良いなぁ」
「おいオサム! こんなちっちゃい子に変な視線向けんな!」
「いでででで!」
「ごめんね。うちのオタクがキモい顔向けちゃって」
なんかチャラそうな女性がとなりのメガネの男にヘッドロックをかけながらアンに日本語で謝罪を入れる。
この女の人は確か明日香の友達だったか?
「ねぇフーマ様。この方は今なんて言ったの?」
「別に気にしなくて良いぞ。それより、日本語で自己紹介できるか?」
「うん。自己紹介ぐらいなら多分…」
アンはそう言うと俺の後ろから一歩出て来て、胸に手を当ててしっかりと頭を下げながら自己紹介を始めた。
「ワタシはアン…デス。フーマサマのジューシャデス」
「へぇ、アンちゃんって言うんだ! 日本語上手だね!」
「日本語上手いねだって」
「アリガトデス」
アンが微笑みを浮かべながらたどたどしい日本語でそう言った。
え? 何この可愛い生き物。
俺の従者可愛い過ぎない?
そんな事を考えている間にシルビアとエルセーヌさんも俺の元へとやって来て自己紹介を始める。
「ワタシはシルビア。フーマ様のヒットージューシャです」
「え? こっちの美人なお姉さんも高音の従者なのか?」
「ああ。ちなみにこっちの…」
「オホホ。私はエルセーヌ。フーマ様の愛人ですわ」
「この頭がおかしいドリル女も俺の従者だ」
そういえばエルセーヌさんは普通に日本語が話せるんだった。
後でクラスメイト達に余計な事を言わない様に忠告しておかないと…。
「す、すげぇ。こんなに可愛い獣人の女の子と美人な獣人のお姉さん、それになんかエッチなエルフのお姉さんまで従者にしてるなんて、高音はすげぇな」
「そ、そんな事ないぞ。ちなみにエルセーヌさんはハーフエルフだ」
「へぇぇぇ。エルフも見たことないけど、ハーフエルフなんて初めて見た」
オサムと呼ばれていた男がヘッドロックを決められたままそう言ってエルセーヌさんを羨ましそうな顔で眺め始める。
ふふん! 俺の従者はみんな美人だろう!
なんか鼻が高くなってきたな!
「あーちゃんには高音くんがヒモになったって聞いてたけど、意外とちゃんとしてそうだね」
「あいつ、そんな事言ってたのか?」
「うん。多分クラスのみんなに言ってたよ」
「ちっ、余計な事を…」
「オホホ。しかしご主人様がヒモというのは強ち間違いないではありませんの」
「そうなの?」
「こいつの言うことは半分は根拠がない戯言だから信じなくて良いぞ。一応冒険者としてそれなりにやって来たからレベルもそれなりに上がってるし、俺は断じてヒモじゃない」
実際のところ衣食住は全てローズに頼りっきりになっているが、ちゃんとやる事はやってるしヒモではないはずだ。
家主の部屋の掃除もたまに手伝ってやってるし……。
「しかし、高音はこの世界の言葉も話せるんだな」
「ああ。必要だったから覚えたんだ」
「へぇ、俺達は簡単な挨拶ぐらいしかできないから凄いな!」
「そうか?」
「うん。やっぱりかなり努力した感じ?」
「まぁそうだな。最初の頃は命がけだったな」
懐かしいなぁ、最初の頃はホーンラビットにすら苦戦してたもんなぁ。
あの頃に比べれば大分強くなったもんである。
「命がけ…高音は高音なりに頑張って来たんだな。これは模擬戦が楽しみだ」
「模擬戦? なんだそれ?」
「あれ? 天満っちが次に高音くんが来たら模擬戦をする約束をしたって言ってたよ?」
「あぁ、そういえばした気がする」
『というより、フーマが一方的に宣戦布告した感じでしたよね』
うっ……フレンダさんの言う通りなんだけど、まさか模擬戦をする事になるとは…。
それもこいつらの雰囲気的にみんな模擬戦をやる事を知っているみたいだし…。
はぁ、多分みんな舞と同じぐらい強いんだろうなぁ。
嫌だなぁ…戦いたくないなぁ…。
「そうだ! それじゃあもしも今時間があるなら私達が訓練場まで案内してあげるよ! あーちゃん達もみんな訓練場にいるし!」
「いや、今はちょっと…」
「オホホ。まだ2時間近くは暇なのでぜひお願いしますわ」
「よし、それじゃあ決まりね! 訓練場はこっちだよ!」
エルセーヌさんがオホホと笑いながらチャラ女達の後に付いて行く。
えぇ、俺も行かないとダメなのか?
「なぁシルビア。シルビアはもっと中庭にいたいよな?」
「いえ。外は少し暑いですし、喉が乾く前に室内に戻ろうかと…」
「あ、そう」
「それよりフーマ様。勇者様達が待ってるけど行かなくて良いの?」
「…………はぁぁぁ、行くか」
こうして、俺は他のクラスメイト達もいるのだと言う訓練場に向かう事となった。
はぁ、こんな事なら大人しく部屋でお姫様を待ってるんだったなぁ。
次回、10月10日予定です




