表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら、魔王に遭遇したんですけど...  作者: がいとう
第4章 微妙にクラスメイト達と馴染めていない気がするんですけど…
191/516

2話 公爵夫妻とボタンさん

 風舞




 タピオカミルクティーを皆に試食してもらった後、俺とトウカさんと舞は雲龍へアンを迎えに行きがてら昼飯を食べに来ていた。

 世界樹の朝露でアンの魔力の拒絶反応を治せたが、ボタンさんは一応念の為という事で今もアンの病気の経過を確認してくれているのである。



「こんちはボタンさん。ちょっと遅いけど、まだ昼飯を……ってあれ? メイド…さん?」

「はい。お久しぶりですねフーマ様。貴方の専属メイド、フェリアルでございます」



 そう言って綺麗なお辞儀をして俺たちを迎えてくれたのは、レイズニウム公国公爵の奥様であるフェリアルさんだった。

 以前悪魔の叡智の一件でソーディアに訪れた時に知り合ったが、なんでフェリアルさんが和風メイドの格好でここにいるんだ?

 そんな事を考えながら、雲龍の入り口で突っ立っていると、俺の後ろにいた舞が横から顔を出して騒ぎ始めた。



「えっ!? 誰!? フーマくんの専属メイドって誰!?」

「初めまして。貴女がマイム様ですね。なんでも、フーマ様の婚約者だとか……」

「え? そう? もう、フェリアルさんったらお上手ねぇ。ねっ? フーマくん」



 舞がニマーっと笑いながら俺に顔をぐいぐいと近づけて来る。

 俺はそんな舞の顔を押さえつけながら、フェリアルさんと話の続きを始めた。



「はいはい。それで、なんでフェリアルさんがここに?」

「ソレイドで開催される討伐祭の為です。我が国も優秀な冒険者を引き込みたいですからね」

「あぁ、なるほど」



 討伐祭にはたくさんのお偉方が来るって聞いてたけど、フェリアルさん達は国のトップが直々にレイズニウム公国の代表で来たのか。

 確かにボタンさんのすぐ側ならかなり安全だろうし、護衛も必要最小限で良いから楽なのだろう。

 まぁ、公爵さんにとっては敵に囲まれるよりもここにいる方が居心地が悪そうだけど。



「ボタンさん。次は何をすれば良いでしょうか?」

「公爵はんはお客人なんやからゆっくりしててええんよ?」

「い、いえ。私はボタンさんのお世話になるのですから、何かお手伝いさせてください」



 公爵さんがイケメンフェイスを引攣らせながらそう言った。

 幼い頃からボタンさんに弄ばれ続けた公爵さんは今日もボタンさんがトラウマみたいである。

 今も借りを作らない様に必死で仕事を探しているのだろう。

 って、あ。

 俺と目が合った。



「え、えぇっと。お腹空いたなぁ」

「やぁやぁ! 誰かと思ったら君はフーマ君じゃないか! おや? 後ろの美しい2人の女性はフーマくんの奥方かい?」

「ええそうよ!」

「はい。フーマ様とは仲睦まじくさせていただいております」

「そうかそうか。それでは僭越ながら私が席まで案内しよう!」



 公爵さんがそう言って、アンとボタンさんがいる隣の座敷に俺達を案内してくれた。

 俺達の脱いだ履物を揃えて置いてくれるあたり、かなり仕事を探していたみたいである。

 頑張れ公爵さん。



「さて、注文は決まっているかな?」

「それじゃあ、俺は牛丼で」

「私もそれにするわ」

「では私も」

「承った。それではボタンさん。ぎゅーどんを3つお願いします」



 あぁ、そういえばメニューには牛丼って書いてなかったな。

 なんか小難しい名前の料理名だった気がする。



「はいはい。今アンはんの診察が終わったところやからちょっと待ってなぁ。アンはんも食べていくやろ?」

「はい。私もフーマ様と同じ物をお願いします」

「あらあら、みんな仲良しさんやねぇ。それじゃあ、パパッと作るからちょっと待っててなぁ」



 ひょっこりと俺達のいる方の座敷を覗いたボタンさんがそう言ってから厨房へとパタパタと入って行った。

 その後にアンが隣の座敷から出て来て空いていた俺の横の席にぽすりと腰掛ける。



「なぁ、アン。タピオカミルクティーは売っちゃダメだってさ」

「あ、そうなんだ。美味しすぎるからダメなの?」

「ええ。フーマくんの料理は私達だけで食べるべきよ」

「でも、そうなると別の金を稼ぐ方法を見つけないとなんだよな」

「普通にダンジョン探索とかじゃダメなの? シルちゃんはソレイドのダンジョンを最後まで攻略して大金貨5枚分ぐらいは稼いでたよ?」

「へぇ、ソレイドのダンジョンでもそんなに稼げるのか」

「世界樹を攻略できるフーマ様達ならここのダンジョンは楽なのではないのですか?」

「それはそうかもですけど、俺は定期的な収入か、これ以上働かなくて良いくらいのものすごい大金が欲しいんですよね」

「もう。楽にお金を稼ごうだなんてよく無いわよ?」

「でも、世界中を旅するなら働かなくても良いくらいの金が欲しいだろ?」

「それはそうかもだけど…」



 舞がそう言いながら微妙に釈然としない顔をしている。

 おそらく、楽に大金を稼ぐのはそれなりにリスクが高い事を俺よりも理解しているためだろう。

 でもなぁ、楽に大金欲しいんだよなぁ。


 そんな事を考えながら次なる金策について考えていると、俺達の話を聞いていた公爵さんがある提案をしてきた。



「楽に稼ぎたいなら我が国の剣闘大会に出てはどうだい?」

「それってこの前俺が出たやつですよね? あれで一生分のお金を稼げるんですか?」

「フーマ君がどのくらいお金を使うか分からないからなんとも言えないけど、それなりの小金は稼げると思うよ。それに、勝ち続けて有名になれば貴族や大商人がスポンサーになってくれる事もある」

「おお、それは良いですね。これならマイムも文句ないだろ?」

「まぁ、そうね。剣闘大会は私も興味があるし、それなら良いかもしれないわ」

「それなら私も出場してみたいです」

「トウカさんは剣術も出来るのか?」

「はい。何度か剣術の訓練を見た事がありますので、基本的な事なら一通りは出来ます」

「それじゃあ皆揃っていつでも我が国に来ておくれよ! フーマ君達ならいつでも国を挙げて歓迎しよう!」



 公爵さんがボタンさんの方をチラチラっと見ながら大きな声でそう言った。

 下心が俺達にまで透けて見えてしまっているが、便宜を図ってくれるのなら別に良いだろう。

 俺は計算高い人は嫌いじゃないぞ。


 そうして公爵さんに剣闘大会について聞きながら待つ事数分。

 ボタンさんとメイドさんが4人分の牛丼を作って持って来てくれた。



「はい。お待ち通さん。お代わりも用意してあるから慌てずよく噛んで食べてなぁ」

「ああ。ありがとうボタンさん。凄く美味そうだ」

「あらあら。ありがとうなぁ。」



 ボタンさんがそう言ってころころと笑った。

 そんなボタンさんへ俺の正面に座っていた舞がふと思い出した様に話しかける。



「そういえばボタンさん。キキョウちゃんとシャーロットさんはまだ戻って来てないのかしら?」

「あぁ、そういえばその件でマイムはんとフーマはんに話があったんよ」

「俺もか?」

「そうやねぇ。詳しい事は3日後の夜には話せると思うから、ミレンはんも一緒に3人でまたうちに来てくれへん?」

「別に良いけど、話ってなんの話だ?」



 そう俺が尋ねたのに対し、ボタンさんが俺の顔をジッと見つめたまま僅かな逡巡を示した。

 なんだ?

 俺と舞にとってそんなに大事な話なのか?

 そう思った直後、ボタンさんがさらりと何でもない事の様にその内容を言った。



「フーマはん達の同郷の皆はんの話やね」

「フーマ様の同郷の方達ですか?」

「え、ええ。トウカさんには後で詳しい事を話すわ」

「ああ。アン達には今晩にでも話すからちょっと待ってくれ」

「はい。分かりました」「うん。よく分からないけど、フーマ様がそう言うならそうするよ」



 アンやトウカさんには悪いが、俺達の同郷の奴ら、クラスメイトに関する話は出来るだけ他の人達がいないところで話したい。

 ボタンさんが何故その話を3日後の夜にするのかは分からないが、ラングレシア王国にいるクラスメイト達に関して何か情報を掴んだのかもしれない。

 クラスメイト達を城に残して抜け出して来た俺と舞にとっては、それなりに覚悟をして聞く話であろう。



「まぁ、そこまで悪い話ではないやろうから心配しいひんで大丈夫やよ」

「そ、そうか」

「もう、折角の食事なんやからもっと明るい顔で食べてくれへん? なんならお姉さんが食べさせてあげましょか?」

「ああ。よろしく頼む」

「あらあら。フーマはんは甘えん坊さんやねぇ。それじゃあまずはほら、うちの膝の上に座って良い子しようなぁ」

「分かった」

「ってちょっと待ちなさいフーマくん! 何で自然にボタンさんに甘えようとしているのかしら!?」



 ちっ、出来るだけシリアスな雰囲気を出してたから誤魔化せるかもと思ったがそう上手くはいかないか。

 そう思いながらボタンさんの座る位置から離れて自分の席に戻ろうとすると、ボタンさんが態とらしく頰を膨らませながらポツリと呟いた。



「エルフの里から戻ってきたらうちと酌してくれるって言いはったのに、いつまでも来てくれへんからうち、寂しいわぁ」



 ご、ごめんねボタンさん。

 別に忘れてた訳じゃなくて、丁度良いタイミングが無かっただけだから許してくれ。



「さ、さぁて。それじゃあさっさと飯食って討伐祭に向けて準備をしようかなぁ」

「フーマ様? 誤魔化すのならもう少し丁寧になさっては如何ですか?」

「何のことだいトウカさん。さぁ、ボタンさんの作る料理は絶品だから味わって食べると良いよ」

「はぁ。フーマ様はいつまで経ってもダメダメだね」

「そうやなぁ。これは近いうちにしっかりと教育しないとダメかもなぁ」



 え? 何それ?

 微妙に嫌な予感がするのは気のせいか?



「頑張れフーマ君。私は君の事を応援しているよ」

「ふふふ。貴方の若い頃を思い出しますね」



 えっ?

 大丈夫だよな?

 公爵さんみたいにボタンさん恐怖症にならないよな?


 俺はそんな事を考えながら、誰とも視線を合わせない様にして黙々と牛丼を口に運んだ。

 そんな微妙な緊張状態にあったにも関わらず、ボタンさんの牛丼は今日も安心する美味しさだった。




◇◆◇




風舞




 雲龍で昼食を摂って4人で帰って来た後、そのまま風呂に向かった舞達を余所に俺は庭で久方ぶりの自主トレをしていた。

 アンはそんな俺の様子を庭に置いてあった椅子に座ってボンヤリと眺めている。

 暑いから熱中症には気をつけてな。



「さて、まずはステータスの確認からするか」

『エルフの里から戻って来て随分経つのに、まだ確認していなかったのですか?』

「なんか最近燃え尽き症候群っていうか、何もやる気力が出なかったんですよね」

『はぁ、フーマは相変わらず愚昧ですね。それより、私がフーマのステータスを確認してあげますからさっさとステータスカードを出しなさい』

「ういーっす」



 俺はそんな雑な返事をしながらステータスカードを取り出した。

 アンはそんな俺のステータスに興味があったのか、てけてけとこちらに寄って来る。

 さて、どれどれ。



 ◇◆◇


 フウマ タカネ


 レベル 60

 体力193

 魔力 1618/1622

 知能 1583

 攻撃力 187

 防御力 185

 魔法攻撃力 242

 魔法防御力 243

 俊敏性 187


 魔法 転移魔法LV8 火魔法LV4 回復魔法LV1

 スキル ランバルディア共通語 魔力感知LV3、魔力操作LV4 気配遮断LV4 剣術LV2 豪運 直感LV6 心眼LV3

 称号 異世界からの来訪者 勇者 大物食い


 ステータスポイント 61


 ◇◆◇



「おお、なかなか良い感じだな」



 レベルがオーキュペテークイーンを倒した事で15近く上がってるし、またステータスポイントも増えている。

 ローズはステータスポイントは基礎ステータスのアップの為に使うのが良いと言っていたが、ピーキーな方向に伸びている俺にとっては自由にスキルや魔法を覚えられるポイントは、レアなスキルを覚えるために使いたい。



「うーん。数字だけ見ると魔法が得意そうなのに、攻撃魔法は火魔法しか覚えてないんだね」

「その内覚えたら良いだろと思ってたらずっとそのままだったな」

『ここ最近のフーマは火力役ではなく完全に支援に回っていましたからね。それも仕方ないと言えば仕方ないかもしれません』

「それじゃあ、早速新しい魔法を覚えるとしますかね」

「何を覚えるの?」

「空間魔法」



 折角ローズとフレンダさんの叔母様がアドバイスをくれたのだから、取り敢えずは空間魔法を覚えておけば良いだろう。

 他の攻撃魔法とかスキルとかは舞やローズに協力してもらって自力で覚えれば良いしな。



『空間魔法ですか。確かに転移魔法が得意なフーマには相性が良いでしょうし、ステータスをポイントの使い道としてはかなり良いかもしれませんね』

「何せ叔母様のアドバイスですからね」

『叔母様?』

「あぁ、いや。なんでもないです」



 俺はそんな事を言いながら、空間魔法を覚えるためにステータスポイントを動かし始めた。

 さて、空間魔法はどんなスキルなのかなぁ。

 転移魔法に近いらしいから、点から点に移動するスキルなのか?

 そんな事を考えながらステータスカードを(いじく)り回してみると、空間魔法の詳細が表示された。



 空間魔法LV1 視界内の指定した枠を他の枠に繋ぐ



「何じゃそりゃ」



 今回もステータスカードさんの説明は訳が分からなかった。

 指定した枠を他の枠に繋ぐって何?



『説明してあげましょうか?』

「いや、覚える事は出来そうなんで取り敢えず覚えてみます」



 習得してみればそれがどんな魔法か分かるかもしれないし、取り敢えずは空間魔法を覚えてみよう。

 お、必要なステータスポイントは5ポイントだけなのか。

 転移魔法を覚えていれば空間魔法を楽に覚えられるっていうのは本当なんだな。



「よし、また少しだけ強くなった」

「そのポーズとセリフにはどんな意味があるの?」

「なんかソシャゲっぽいだろ?」

「そしゃげ?」

「いや、何でもない。さて、枠、枠ー」



 そうして探し始めて一番最初に見つけた枠は窓枠だった。

 取り敢えず片方はあれで良いとして、もう一個の枠は……。



「なぁ、アン。その髪飾りって大事な物か?」

「これ? 出店で買って来たやつだからそこまで大事って訳じゃないけど、どうするの?」

「それじゃあそれ貸してくれないか? もし壊しちゃったら別の髪飾りをプレゼントするから…」

「ん? それなら別に良いけどどうするの?」

「まぁ。ちょっとな」



 こうして、俺は何かの金属で出来たひし形の髪飾りを手に入れた。

 この髪飾りは真ん中がひし形に空いているから、枠と言えば枠だろう。

 さて、取り敢えずあの窓を開けてくるか。


 俺はそんな事を考えながら窓を開け、再びアンのいる場所へと戻って来た。



「さて、今からあの窓とこの髪飾りを繋ぐぞ」

「繋ぐとどうなるの?」

「さぁ? どうなるんだろ?」

「えぇ。流石にミレン様でも窓を壊したら怒ると思うよ」

「その時は土下座でも何でもして許してもらおう。えぇっと、詠唱は…これだけか」

「はぁ。そんなんだからフーマ様はいつもダメなんだね」

『全くです』



 外野と内野が何かごちゃごちゃ言っているが、難聴系主人公の俺は全くそれに気づいていないフリをして詠唱を始めた。

 ていうか、詠唱って言えないぐらい短いな。



「ゲートよ! 繋げ!」



 そうして空間魔法を発動させると、髪飾りの穴と窓枠の内側が光り始めた。

 何じゃこれ?



「えぇっと。取り敢えず窓枠は壊れなかったな」

「うん。でも、これってどういう魔法なの?」

「さぁ? 取り敢えず触ってみるか」



 そう言ってアンの髪飾りの穴に指を突っ込んでみたのだが、何の障害もなくすんなりと指が入った。

 マジで何これ?



「ふ、フーマ様!? 指が無くなっちゃったけど大丈夫!?」

「え? 指ならまだ生えてるぞ。ほら」



 そう言いながら穴から指を抜いてアンに見せてやる。



「あれ? 本当だ」

「指が無くなったってどういう事だ?」

「何て言えば良いのかな。フーマ様が指を入れていた方と反対側は光ってるだけだったんだよ」

「あぁ。なるほど。空間魔法はそういう魔法なのか」

「え? フーマ様にはどんな魔法か分かったの?」

「ああ。アンはまだ分かんないのか?」

「うっ。その顔微妙にムカっと来るね」

「ふっふっふ。それじゃあハイパー賢い俺がまだ分からないアンちゃんに教えてあげよう」

「ちょっと待って! 今考えてるからちょっと待って!」

「仕方ないな。ちょっとだけだぞ」

『年下の子をいじめて楽しいですか?』

「…………」



 さ、さぁて。

 もう一回指を入れてみようかなぁ。

 何て事を考えていたその時、髪飾りの穴からランプの精霊よろしく舞が生えてきた。



「ぬわおっ!!?」

「え!? ちょっと待っ……いだっ!?」



 ビックリし過ぎて髪飾りを落としてしまったためか、髪飾りから生えていた舞がそのまま地面に頭を打って消えていった。

 どうやら髪飾りが下を向いて地面に落ちたらしい。



「あぁ、ビックリした」

「ビックリしたのは私の方だよ! 今のは何!?」

「あ、ああ。取り敢えず一度魔法を解除するな」



 そう言って空間魔法を解除すると、窓枠の向こう側に頭を抱える舞とそれを介抱するトウカさんがいた。

 なるほど。

 これが空間魔法の特性なのか。



「おーい。大丈夫か?」

「え、ええ。今のは何だったのかしら? フーマくんにおでこを突つかれたと思ったらいきなり地面に叩きつけられたわ」

「ごめんな。まさかいきなりマイムが生えて来るとは思わなくてビックリした」

「はぁ。ですからいきなり頭を入れるのはやめておいた方が良いと言いましたのに」

「むぅ。それでフーマくんはどんな魔法を覚えたのかしら?」

「それはだな…」

「あ、やっと分かったよ。枠を媒介にして空間を繋ぐ魔法なんだね!」

「……。そういう魔法だ」

「へぇ。中々便利そうな魔法ね。もしかしてミレンちゃんがこの前言っていた空間魔法かしら?」

「……そうっす」



 はぁ、折角舞に新しい魔法を覚えたのをもったいつけて説明したかったのに、俺が何か言う前に全部言われちゃったよ。



「ん? どうして拗ねた子供みたいな顔をしているの?」

『ふん。小さい女の子をいじめた良い罰ですね』

「はぁぁ。何でもない。それより、もうちょっと空間魔法について調べてみようかね」



 キョトンと首を傾げる舞とアン、それと何となく事情を察したらしく微笑みを浮かべるトウカさんに見つめられながら、俺は投げやりにそんな事を言った。



次回9月8日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 3章103話で、風舞が回復魔法を取得していたと思うのですが、話中のステータスに反映されていないと思うのですが。よろしければ、確認をお願いします
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ