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poco a poco  作者: 舞音
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部活終わり

釈然としないまま楽器を仕舞い、音楽室へ向かう。

音楽室は片付けに急ぐ人でごった返していた。

部屋も部活仕様になっていて、いつもとは違う場所のようだ。

授業で来るときには布で覆い隠されている打楽器群が、今は窓際にそびえている。

教室なので黒板もあるが、部活ではホワイトボードその前に置き、そこに予定や出欠を書いているようだった。

その反対側の壁には垂れ幕が掛かっている。

大きな文字で「一音入魂」と認められており、その周りに小さな文字で沢山のメッセージが書いてある。


椅子も授業の時とは違い、舞台で演奏するときのような合奏体形で並んでいた。


「奏~こっちー」


彩音に呼ばれ、ユーフォパートの座席に着く。

「彩音、吹奏楽部は音楽室(ここ)を部室にしてんの?」


「んーまあここで活動はしてるからそうかな?あ、でもどっちかというと楽器庫の方が部室って感じかもね」


「なるほど」


楽器庫は楽器だけでなくメトロノームなどの小物や演奏会用の大道具、部員がここに隠してあるらしいテストの答案など様々なものがごちゃごちゃと置いてあり、確かに吹奏楽部の物置のような感じだった。


「けどさ、、あそこちょっと散らかってすぎじゃない?」


「年末掃除するよ」


「うわ、あれをか、、、」


「はーいミーティングはじめるよー」


女子の声に、ざわざわしていた音楽室が静まりかえった。

凄い。授業中の先生でも、こうはいかないな。


皆自分のパートの席に座った。前には3人、山下と、有賀先輩と、あと1人、ブロンドの髪をした2年生の女子が立っている。


有賀先輩と山下が副部長ということは、

「彩音、あれが部長?」


「そう、アリアっていうの」


「ハーフ?」


「確かそう」


「やっぱり」


「では、これからミーティングをはじめます、、、気を付け、れー」


「「「よろしくお願いします」」」


皆が一斉に返事をしたので、僕も慌ててそれに倣った。

ミーティングというのは、この部では、部活終わりに毎回全員集まって、出欠の確認と諸連絡とを行う場らしい。

色んな部員が先生からの伝達や、落とし物の連絡をしている。


「はい、じゃあ他にもうない?、、じゃあ」

 

そう言うと部長はおもむろに僕の方を向いた。一度後ろを向いてみたがやはりその目はまっすぐ僕を捉えている。


「、、え、僕ですか」


「そう」


「、、、え?」思わず間抜けな声がでる。


「入部したんだから自己紹介くらいするでしょ」彩音が隣で囁いた。

(あ、そうか)


「ホラ、前に出てこい」有賀先輩がニヤニヤしながら言った。

部員達の視線を浴びながら僕は前に出た。副部長と部長が立っている、扉の前に並ぶ。


「自己紹介」


「はい!、、えーと、今日からユーフォパートで入部しました、響奏です、よろしくお願いします!」


自分がはきはき喋っていることに違和感を感じながらも、いつも通りよりはマシだろうと思い頭を下げる。部員達からパラパラと拍手が起こった。


「よろしくー」


「彩音の弟ー!」


「姉弟パートー」

「うるさい!」


皆彩音が怒鳴ってもお構いなしだ。

温かい待遇にホッとして顔を上げると、さっき水道で会った女子と目が合ったので、素早く視線を蛍光灯に向けた。


「はい、じゃあこれで今日は終わりー」

「これでミーティングを終わります、気をつけ、れー」山下が号令をかける。


「「「ありがとうございましたー」」」


ミーティングが終わると皆それぞれ帰る支度を始めた。音楽室の電気が消え、打楽器には再び布が掛けられる。


「はいあと五分で校門出るよー急いでー」


部長が呼びかけると、部員の群れは何となく扉の方ヘ向かいだした。

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