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poco a poco  作者: 舞音
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一通りふらふら歩いて気持ちを整理した後で、僕は音楽室までやってきた。


重荷があるのには変わりなかったが、それでも大分軽くなったような気がする。


人に話したのが良かったのかな。


ため込む前にそうやって相談できるようになれたらいいのだが。


よく考えてみると、部活について相談できる相手がなかなかどうしていないという問題もある。


部活に入ってから今までそういう話を聞いてくれたのは彩音や山下、もとい、カノンだった。

近しい存在ではあるが、それ以前に二人は先輩と副部長だ。


なんというか、もっと気軽に腹を割って話せる相手みたいな、、


そうだ。


部活に同学年の男友達が欲しい。


唐突にそんな思いが浮かんだ。


思いついた後では、今まで考えなかったのが不思議なくらいだった。


部活には知りあいの1年生男子は殆どいない。


強いて言えばラッパの八朔が同じクラスか。


部活に入ってから、カノンと話す機会は増えたが、八朔とは特に話していないような気がするな。


同じクラスにいれば話すこともあるし、仲も悪くはないが、普通の知り合いなだけに、今から急に親友になったりはしないような気がした。


親友か。僕は親友が欲しいんだろうか。


そうかもしれない。

確かにそう呼べる人はいない。今までは特に欲しいとも思っていなかったが。


ただ部活をやっていく中で、一緒にふざけた話とかができて、かつ真剣な悩みも聞いてくれるような友達がいたらいいんじゃないかと、漠然と思ったのだ。


あくまでもそれは漠然としたイメージだった。

イメージだけ抱えていた所で、誰かとそんなに

親密な関係が気づけるとも思えない。


やはり自分から動き出さなければいけない。


しかし僕の知っている僕は、絶対にそんなことはしなかった。


(、、僕は結局、変わったのか?どうなんだろう)


考えながら楽器を出す。

とりあえず考えながらでもできるくらいに、楽器の組み立てには慣れたな。


こうやって少しずつできることが増えていって、音も奇麗に出せるようになればいいのだが。


楽器庫の脇で楽器を出したら、ケースだけ楽器庫に戻して、とりあえず音楽室へ向かう。


音楽室にあるホワイトボードには、部員全員が出欠を書き入れる場所がある。


僕が入部して新たに付け足された「響 (おとうと)」の欄、今日の日付の所に出席の丸を付ける。


部活の中で唯一姉弟の僕らだけが苗字が同じなので、出欠表の上では()を使って書き分けられているのだ。


ふとその少し上にある、響 (おねーちゃん)の箇所を見て気付いた。


(、、今日、彩音いないのか、、)


×がついていた。欠席だ。


ってことはどうなるんだ?


ユーフォパートは僕と彩音しかいないから、彩音がいなければ僕だけであの部屋を使うことになるのだろうか。 


1人で?贅沢だな。


てか、誰にも教えてもらわないで、マウスピースで音を出す練習をしている段階なのに、1人でやって何か捗るだろうか。



(けど、まだ音も出せないのに他のパートの人に教えてもらいにいくのも迷惑だしな、、そんな勇気ないしな、、)



そんなことを考えながら、響 (おねーちゃん)の枠に記された×をしばし見つめた後で、僕はとりあえずいつもの教室へ行ってみることにした。


(しかし、彩音なんで今日休みなんだろ、、なんか言ってたかな、、)



他の人の所を見てみると、×の横には人によっては休みの理由まで書いてあった。

部活としてはその方が望ましいだろうが、どうやらその辺はそこまできつくないらしい。


ぼーっと出欠表を眺めていると、あることに気がついた。


(、、この人は、、)


1人、出欠の欄にずっと×が続いている人がいた。

何の理由も書かれておらず、ひたすら×が並んでいる。


日付の所を見ると、この1週間はずっと来ていない。それより前の記録はこのホワイトボードには無かった。


(何か事情があるのかな、、それか、、)


いや、僕には関係の無いことだ。


僕はその横にある今日の予定に視線を移した。


17:00から少しだけ合奏があるようだが、それまでは各教室でパート練習だ。


1人でやれるだけやってみるかな。


僕はすっかりその重さにも慣れてきたユーフォを持ち上げ、抱えて、音楽室を出た。





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