表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Avengers  作者: くをん
5/25

『テラ』の結晶体

ポテトチップスの様にサクサク読めますよ。

※修正しました。ご迷惑をお掛けし申し訳ありません。

 ――私はただ黙視する。

 この地上のあらゆる生物達の成れの果てでこんなにも美しい場所がいまだ存在するとは予想だにしなかった。

 この青い惑星から放たれる光の源――その正体。

 それが私達の中に蔓延る邪悪な感情、物質を浄化させてくれる。

 だが――物事には順序や規律。ルールや思想というものがあるのだ。

 自分達に敵対する者は何時だって『悪』であり、自分達に味方する者は何時だって『善』だ。

 しかし目の前にいるあるいはある羽虫や植物の生命の根源を断つ事に躊躇する者がいない様に――そこには必ず『勝者』と『敗者』がいる。

 ――そう。これは世界の定め。掟であり、ルールだ。宿命だ。

 つまり食物連鎖のトップに立つこの星の存在を断つ事に何の躊躇も必要ない。

 しかしそこに矛盾が存在する。神の悪戯とも言うべき矛盾が。

 それが神の定めならば。それが神のルールならば――では無い。

 細菌やウイルスを殺す事に何の躊躇いがあろう? ましてや自らを蝕んでいく害あるもの――例えばそれが不治の病ならば完成されたばかりの特効薬を目の前に置かれたら、最早それを使って自己の内部にいるその生命を断つ事。これは必然で、そこにルール等無い。

 ――私はただ黙視する。ここにある存在が私と言う病に蝕まれていくまで。

 それが、この青い惑星に住む亜人種達の定めだ。


 ――『コンタギオン』と言う名の定め――


 亜人種達よ。この星の栄えある食物連鎖のトップに立つ青く美しき星の住人達よ。

 抗うならば抗えば良い。

 敵対するならば敵対すれば良い。それは私にとって『悪』なのだから。

味方になるのならば味方になれば良い。それは私にとって『善』なのだから。

その『善』『悪』の感情を蹂躙するのがこの星を守護する私の役目だ。

 しかし、私にとってその感情と言うカラクリは一体何なのだろう――?

 それだけが分からない。

 あの時、2人の少年と少女から辛うじて奪い取った『眼』――そこから弛まなく流れ出てくる『テラ』の結晶体。

 きっかけはそれだけだ。

 逆に言えばこの2つの『眼』だけが私の探究心を刺激する。

 私には少しだけだが読み取れる。『テラ』の結晶体から微かに滲み出てくる新たな感情。湧き上がってくる不可思議な感覚。

 ああ――分からない。もどかしい。

 あの2人はまだ生きている――なぜかそれだけは感じていた。

 やがて1秒経つごとにそれは確信へと塗り替えられる。一歩、また一歩と近付いていく。街の通りを歩いていれば自然と見える景色が変わって行く様に。

 だが、ここの亜人種達も可笑しなものだ。

 私は明らかにこの星の住人では無く、しかも『コンタギオン』と呼ばれる病の諸悪の根源だ。

 何時からか私は『レクティオン』と呼ばれている。

 そんな私を歓迎する輩が少なからずいるからだ。

 もちろん敵視する者が大多数だ。

 恐らく感情と呼ばれるカラクリがそれを成しているのだろう。

 だが、その要素の原因は一体何なのだろう?

 ああ――分からない。もどかしい。

 これまでには無かったこの謎めいた探究心。

 いつか晴れる日が来るのだろうか?

読者の方ありがとうございます。

評価や感想、ブクマ大歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ