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魔王298円  作者: のこ
11/13

act11.ずぼらはいかんでしょ!

っべー、マジっべー

全然ネタ詰め込めてねー

「あんまんあんまん♪」


 アンマンはあんまんが待ち遠しくて恥ずかしさを忘れ去ってしまっていた。

 足をブラブラさせて落ち着きがない。

 あの恥ずかしそうにしていたアンマンは可愛かったのになぁ。まぁこれはこれでいいんだけどさ。

 でもほら、いつもは見せない雰囲気がいいんだよ。まだ二日? 四日? まぁどっちでもいいけど、いつもって言えるほど出会ってから長くはないな。

 それでも最初とは想いが違う。お互いにね。


「柚希と金井さんが戻ってきてからだからな」


 少しはしゃぎ過ぎているので宥める。


「わかってる! あんまんー」


 だがあまり意味がないようだ。

 まぁ別にいいか。


「それにしてもなかなか戻ってこないな。服を選ぶのに時間かけすぎだろ。もう十分くらい経ってるんじゃねーの?」


 俺が選んだら五分もかからんぞ。パンツ選ぶときだって一分かからなかったしな。

 手持無沙汰だから適当にアンマンの頭をポンポン叩くと、アンマンがこちらを見て嬉しそうに笑う。

 仕事クビになったけど、どうでもよくなるな。

 最初こそ死にたくなったけど、こいつ買ってすぐに忘れちまった。

 忘れたとしても、どうにかしなきゃいけないんだけどな。

 フッ、とニヒルに笑って見せるがアンマンは俺ではなく俺の後ろを見ていた。

 俺が後ろを確認する前に良く知る衝撃。

 というかさっき喰らいました!

 ニヒルな笑みを浮かべて吹き飛ばされる俺ってどうなんだろ。どうなんですかアンマンさん。


「服買ってきた」


「うるせえ! いきなり何すんだ! 痛ぇじゃねーか!」


「変態が幼女の頭をポンポンしてたから助けた」


 冷たい目で俺を見やがって、誰が変態だクソ妹が!


「おねえちゃん!」


「わかってる。もう攻撃しない」


「いいやわかってないね! お前はまた攻撃するね!」


 一回約束したくせに破りやがって。アンマンに嫌われちまえ!


「またこうげきするの?」


 身体から黒い靄がゆらゆらと漏れる。

 やったれアンマン!


「大丈夫、攻撃しない。ふふ、……怒った顔も可愛い」


 確かに可愛いよ。怪獣のキグルミ着て真面目に怒ってる姿とか面白いし可愛いし、卑怯だね。


「やくそくだからね」


 そう言って黒い靄が引っ込んだ。

 あれま、許しちゃうのか。

 許さなかったらそれはそれで教育的によろしくないけども。無暗に暗闇に閉じ込めるなって言い聞かせる予定だから俺が促しちゃいけないしな。

 約束だからと柚希はアンマンと指切りしている。

 ちょうどそのとき金井さんに手招きされて呼ばれた。


「青葉さんちょっと」


 金井さんのところに行くと手に持っているかごには服とズボン、それにしっかりとパンツが入っていた。

 助かるっちゃ助かるけど、パンツまでしっかり選んでいるあたり、この人大丈夫か?

 あぁ、これでアンマンは金井さん色に染め上げられてしまうのか。なんて馬鹿なことを考えてしまった。


「一応あのキグルミと妹さんの一着を合わせれば一週間分になると思います。これ持ってるの恥ずかしいのでどうぞ」


 そう言ってかごを渡された。

 またあのレジに行くのか。嫌んなるぜ。

 レジに行くと予想通り変質者を見るような目で見られた。

 俺は客だぞ! あとで苦情入れてやろう。いやでも、なんて苦情入れればいいんだ? 女児用の服や下着買ったら変質者を見るような目で店員に見られたのですが、どのような教育をしているのでしょうか。……うん、店としては間違ってるよな、客に向ける目じゃないもんな!


 くそ、負けるもんか。

 俺も負けじと睨み返したら、あからさまに嫌な顔をされた。ダメだ、俺の負けだ。何も考えずに会計を済ませよう。

 店員からの視線に対して無心で会計を済ませ、逃げるようにアンマンたちの下へ戻った。



「そういえば靴忘れてません?」


 買い物袋を持って帰ろうかと考えていた俺と柚希とアンマンだったが、金井さんの一言で買い物が延長された。

 確かに忘れていた。これだからずぼらな奴はいかんね。アンマンを裸足にしたまま引っ張り歩くところだった。でも買うにしてもさっきの買い物で結構使ってピンチだ。必要経費だけども痛い出費だ。


「柚希、お前それ一着しか金出してないだろ。アンマンの靴買ってやれ」


「任された」


 素直に了承してくれて助かった。

 柚希はすぐに靴屋に向かおうとしているが一人じゃ無理だろ。どっかで迷うに決まっている。

 後を追う前にアンマン怪獣を肩車してやる。また裸足のまま歩かせるのは悪いからな。


「わわっ」


 急に肩車したからか驚いている。でも今までも肩には乗ってたぞ?


「大丈夫か?」


「うん、だいじょうぶ」


「それじゃあ行くぞ」


 アンマンの足を掴んで支えてやり、いざ出発と進みだそうとした。だが金井さんに呼び止められた。


「青葉さん、すみませんが僕はそろそろ帰りますね。この後予定があるので」


 靴も選んで欲しかったところだが、予定があるのなら仕方ない。


「そうですか、それではまた。今日は色々ありがとうございます」


「こちらこそ、アンマンちゃんの大変身が見られてよかったです。それではまた」


「ぎゃう!」


 サンドラちゃんもしっかり挨拶をしてくれたが、その声にアンマンがビクッと反応した。

 噛みつかれて苦手意識を持っちゃったみたいだな。

 そして金井さんは帰って行った。

 改めてアンマンと一緒に柚希の後を追おうとしたが、柚希はすでに見当たらない。どうしたものか。

 とりあえず靴売り場まで行くか。

 エスカレーターのある場所まで行き、案内板を見ると靴売り場はこの上の三階にあるようだ。そのままエスカレーターで上に行き、靴売り場に向かう途中のトイレ付近で右往左往している柚希を発見した。

 なんでトイレの前で行ったり来たりしてんだ。どう見てもそこ靴売り場じゃねーだろ。ほら周りの人も男性用、女性用の前を行ったり来たりしている柚希を変な目で見ているよ。知り合いだと思われたくないから近づかないでいよう。お前は一生そこで迷ってろ。


「おねえちゃん」


 そのまま素通りしようかなと思ったら、アンマンが柚希を呼んでしまった。

 あぁ、柚希に気づかれたよ、こっち見てるよ。ほらほら来ちゃった来ちゃった。


「迷子になるって言ったよね。はい」


 柚希が手を差しのばしてきた。

 確かに迷子になったな、お前がな。

 また手を繋ぐのかよ。結構恥ずかしいんだからな、これ。

 だけどまぁ、仕方ないっちゃ仕方ない。その手を握ってやる。

 なぜかアンマンが肩の上で嬉しそうに笑っている。


「ほら、さっさと行くぞ」


 その後、靴売り場で靴を買ったが、特に選ぶでもなく適当にスニーカーとサンダルだけだ。柚希も靴に可愛さを求められなかったようで早急に諦めていた。

 早速買ってやったサンダルのほうをアンマンに履かせて肩から降ろしてやる。


「うー、おにいちゃんのかたがいい」


 アンマンが駄々をこねる。

 もう仕方ない奴だなあ。


「アンマンちゃん、お姉ちゃんの肩も空いてるよ?」


「……おにいちゃんがいい」


 柚希はアンマンの反応にしゅんとしている。

 はっはっはーざまぁみろ! アンマンは俺がいいのさ! お兄ちゃん大好きっ子だからな!


「帰りにあんまん買ってやるからな」


「あんまんあんまん!」


 言いながら改めて肩車をしてやったら、肩の上で暴れられた。あんまはしゃがんといて……。

お読みいただきありがとうございます。

次こそ暴れさせるんで!

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