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天水国の太子(2)

「いいじゃねーか、減るもんじゃなし」


「若い娘や貴族の子女を預かっているんだ。みだりに触れるんじゃない」


女官がおろおろしている。

祥は笑顔を作って、退出するように掌を返して促した。

礼をして下がる姿を見て、亮が笑う。


「あーあ、あんなに怯えさせて」


「なっ、叱って無いだろう。お前の毒牙から逃がしただけだ」


「お前の顔が怖いんだよ。」


「……ちゃんと笑っただろう。」


「お前の顔では、笑顔も脅しになるんだなあ。」


「そんな理不尽な」


「『氷の太子様』」


笑いながら呼び掛けると、祥は目を鋭くした。

冷たいほどの美貌からついたその呼び名は、国中の若い女性なら知らぬ者は無いだろう。

自分だけに微笑んで欲しいと夢見る令嬢も多い。


しかし本人は嫌っていた。

建国以来の優れた統治をした歴代の王を、川の流れに例えて『行き渡る支流のように豊かな』などという言い回しがある。

それに引き換え、氷は不作を思わせる。


穿ち過ぎだとは思うものの。

将来は王となり民に慕われたい。まるで冷酷無比な人間のような言われようではないか。


亮は、生真面目な太子のそういう部分も昔から変わっていないので面白いと感じている。


女性方面に奥手なのも。


太子の立場ゆえに興味本意で溺れる訳にいかないと、自分を律しているのだと。



しかし、この年になると


お前どっかおかしーんじゃねーの、こんだけ女の子侍らしといて食わずに平気とか


等と思い、ついからかってしまう。




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