短歌
詩です
小説ではありません
春
夏
鼈甲の
天から甘露
梅の雨
※セピア色の
明るく懐かしい
色をした空から
優しく世界を包み込み、
祝福するかのように降る
梅雨の雨という詩です
蜘蛛来いと
菖蒲結びて
言歌う
※夏の季語に
菖蒲占
というものがあります
端午の節句の日に、
菖蒲を結んで
「思ふこと軒の
あやめにこととはむ
かなはば懸けのよ
ささがにの糸」
と唱え、祈りが
叶うよう願うのです
菖蒲に蜘蛛が
糸を張れば
祈願が成就する
との事です
そのことを
詩にしました
秋
冬
恋
潮引き
影寄り添えば
恋路なる
※引き潮の頃
夕日に照らされ
寄り添う二つの
影が伸び
引き潮でできた
浅瀬が影の先を行く
それが一つの道になる
まるで二人の恋の道のように
という詩です
電車から
刹那に過る
彼の姿
※そのままです
電車に乗っていると
いつも窓の外に見える
男の子を想う
といった詩です
こい(恋)こい(来い)と
呼べばくれども
あいならず
(相成らず)
(愛ならず)
※恋は自分がそう呼べば
「恋」となるが
それはなかなか
「愛」には
成らないという詩です
夜目遠目
彼との逢瀬は
傘の内
※女性が
一番美しく見える
条件です
相合傘……
したいものです