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プロローグ
幸せはいつも、
舞い散る桜のように
手のひらからこぼれ落ちていく。
掴んだと思った瞬間には、もう――
風にさらわれている。
今年も、春が終わろうとしている。
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桜が散っていた。
ひらひらと、音もなく。
その下に、ひとりの少女が立っている。
血に濡れた衣。
それでも、顔を上げていた。
すべてを失った夜の中で。
それでも、その瞳は消えていない。
「……必ず」
かすれた声で、少女は呟く。
「必ず、戻る」
風が吹く。
桜が、舞い上がる。
まるで――狂い咲くように。




