エンディング ‐この道わが旅‐
私たちの旅は、やっと終わりを迎えた。
勇者一行を結成してから数年、長いような、短いような、そんな時間。
色んな人と出会った。
カインや他の仲間たち、武器や道具屋の店主、道中に訪れた村の人々。
敵も多かったけれど、それでも、良い出会いの方が多かったと思う。
そして⋯⋯。
「こんな感じかな?」
私は、石の上に刺さった大きな剣を見て一人、呟いた。
刺さったといっても、鍛冶屋の人に言って中をくり抜いてもらっただけなんだけど。
地面に置いてあるバッグを開ける。
ごそごそと中を漁り、黒いローブを取り出す。
裏面がフカフカで、少し温かい。
また、下手くそな縫い目が所々にあり、それを見てげんなりする。
あんまり得意じゃないし、許して欲しい。
それを剣の上に被せてみる。
ちょうど鍔の部分が袖の所に通り、何だか良い感じだ。
片方の耳の中に柄が入っているからちょっとバランスが悪いかな。
へな、ってなっている。
体を動かすと、背中が痛んだ。
戦いの傷はまだ癒えていない。
本気でぶん投げられた痛みを、私は忘れない。
そうやってフードの頭を睨み、風に流された。
冷気が体を伝い、肌をこすって暖をとる。
ぽつ、ぽつ、と、頭にふんわりと何かが舞う。
柔らかく、語りかけるような感触。
空を見上げた。
雪だ。
かすかに、だけど確かに舞い落ちる。
手のひらに落とすと、涙のように消えていく。
積もらないように、フードの上に天井を作ろう。
小屋でも作ろうかな。
後ろにあるけれど。
足音がした。
軽快なリズムでこちらに近づく。
少し速い。
私は振り向いた。
そいつはこちらに駆け寄ると、笑顔で言った。
「勇者はおく⋯⋯」
「はいはい」
カインは苦い顔をした。
「言わせてくれよ、最後まで。まあいいや、はい」
「ありがと」
彼が渡してきたのは、串に刺さった肉だった。
香ばしい匂いのするタレがかかった屋台の味。
カインはあと二本、手に持っている。
「ロベルには、最後まで助けられちゃったな」
「そうね」
カインは戦いの後、王から勲章を貰っていた。
受け取るのに渋っていたけれど、私が背中を押してやった。
それが、きっとロベルの願いだから。
私は串を口に運んだ。
「どう?」
「そうね」
雪が舞う。
「とても、温かいわ」
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