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遭遇


 フィオレと別れ、充実した気分で馬車に乗り込んだ。


 そんな充実した気分は、一瞬で吹き飛んだ。


「ぎゃーっ!!!」


 びっくりしすぎて大声を出してしまった。


「会って一言目が『ぎゃあ』か。酷いものだ。」


「すっすすっすすす…スカイ様?何故ここに…?」


 大声を張り上げたことも許されていいと思う。何故か馬車には、不仲の婚約者が乗っていたのだから。


「ここの街でショッピングをした帰りに、君の家門の馬車があったからね。君に会いたかったから乗り込んで待っていたんだ。」


「は、はぁ…。」


 それにしてももっと別の方法もあったんじゃなかろうか?馬車の近くで待っていて、それから声をかけるとか…


「驚かせてしまったのは申し訳なかった。それと、君に渡したいものがあるんだ。本当は今度の茶会にでも渡そうと思っていたんだけど…」


 そう言って、スカイは花束を取り出した。

 見事に咲いた、たくさんの白薔薇が包まれた花束。


「はぁ…ありがとうございます。部屋に飾るよう、使用人に言っておきます。」


 そうお礼を言うと、スカイは顔をぱっと輝かせた。


「喜んでくれて良かった。そういえば今度、茶会を開くから、ぜひ来てくれないか?今から1週間後何だが…」


 なるほど贈り物の次は、お茶会の約束か。

 確かその日は、フィオレは用事があって会えないし、家族とお茶会や出かける予定も無いはずだ。

 流石に部屋で本を読む予定があるからと断るのは失礼だろう。


「そうですね…。その日は予定もありませんし…分かりました。お父様にその事を伝えておきます。」


「……!ありがとう!楽しみに待ってるよ。」


「はい。ありがとうございます。」


 お茶会の約束を出来たのが、スカイは相当嬉しかったらしい。

 ガタガタと音を立てて動き出した馬車は、まだ明るい道を進んで行く。


「ところでなのですが」


「どうした?」


「馬車が出発してしまいましたけど、ここ公爵領ですよ?どうやって伯爵邸に戻るつもりだったのですか?」


「……あ」


 馬鹿な婚約者である。


======================


 結局スカイは、私の馬車に送らせる事にした。


 公爵邸に帰ってきて、部屋に戻り、花瓶にもらった花束を生けるように使用人に言った後、私はベットに寝転んだ。


 今日もまた、スカイはお茶会に誘ってきた。それに、花束も渡してきた。その前は、甘いクッキー、紅茶の茶葉、薔薇の香水。色々な物をくれた。

 だから私は、彼と婚約破棄したい。

 お父様にも相談しよう。

 あの人は私のことなんて、何一つわからない。

 あの人は私のことなんて、何一つ覚えていない。

 私だって、そうかもしれないけれど。

読んで頂きありがとうございます。

コメント・リアクション頂けると踊り狂って喜びます。

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