入学準備(1)
王立学園へ入学まで、あと3ヶ月。
私達の様な爵位を持つ全ての貴族は、15歳になる年の、10月に王立学園へ入学する。
今日王都に来ているのは、その王立学園の制服を仕立てて貰うため。
「久しぶりの王都…少し楽しみです。」
「そうだな。午後は私は仕事があるけれど、サフィリアは街を見て回ってきたら良いんじゃないか?」
「では、そうさせて頂きます。」
たった今話しているのは私の父の、アレクサンダー・リーレットである。
「仕立て屋、混んでいるでしょうか?」
「そうだね…でも予約を取っているから大丈夫なはずだよ。」
「そうなのですね。ありがとうございます。」
そんな短い会話を交わして、窓の外を見る。
王都の住民だけでなく、顔だけ知ってる貴族の人も見かけた。
そうこうしている内に、目的地に到着したようだった。
王立学園の制服を仕立てている、王都一の服屋。
「流石は制服を仕立てているだけあって、大きいですね…。何だか緊張して来ました」
「ははは。そんな事ないさ。懐かしいな…。さぁ、入ろう。」
お父様がそう言って店のドアを開けると、カランカランと、軽いベルの音がする。
「予約していたリーレット様ですね。ご案内します。」
店の中に入ると、早速店員が声を掛けてくる。
「あぁ。じゃあ、私はこれにて。仕事がたまっているからね…サフィリア、王都を楽しんでくるんだぞ。」
「はい。分かりました。」
仕事が溜まっているらしいお父様は、苦笑いしながらこれにて離脱。そんな訳で、私は早速採寸をする事になった。
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あれから約2時間、なかなか身動きが取れないという苦痛に耐え、私はやっと解放された。
さて、これからどうしよう。
今日はせっかくの王都だけど、友達や婚約者と来ているわけでもない。強いて言えば護衛が付いているけど、だからどうしろという話である。
王都と公爵領は隣り合っているから、帰ろうと思えばすぐに帰れるのだが…
ひとまず今はお昼時なので、昼食場所を探さねば。
そう思い歩き始めると、だんだんといい匂いが漂ってきた。どうやら屋台街に入ったらしい。
これなら屋台で済ませても良いかもしれないと思い、屋台を見て回る事にした。
丁度良さそうと思った場所で3人分のサンドイッチとミントソーダを買って、後ろにいた護衛騎士のキースとガルクに一人分づつ渡す。
「えっ!?」とか、「どうしたんですか?」と驚く2人に、
「大の大人2人にじっと見られながら食べるのもなんか嫌だし、1人で食べてると虚しくなってくるから。それに、お腹空いてるでしょう?」
と返すと、顔を綻ばせて受け取ってくれた。
昼食を食べ終えて適当に歩いていると、大きな噴水のある広場に辿り着いた。
楽器を持った人が路上で歌っていたり、噴水に足をつけて涼んでいる人達がいたり、駆け回って遊ぶ子供たちがいたり。
手ごろなベンチに座って流れてくる音楽に耳を傾けながら、この後の行動を考える。
「王都に言ったからお土産」とでも言って、フィオレへのプレゼントでも買おうかな。私もお揃いの物を買って、ペアリングにするとか。スカイは…あいつは良いや。渡しても一回も身につけてくれたことないし、今の今まで何も渡してこなかったのだから。
スカイと婚約破棄したいという話は、お父様とお母様にももう伝えた。驚いていたが、受け入れてくれて、エリオンス側にも伝えておいてくれるとのことだった。
政略結婚でもあったから、何か支障があるのではとも思ったが、特に問題ないそう。
あれと結婚しなくて良くなったと思うと、気持ちがかなり軽くなった気がする。
せっかくだから、フィオレに何かプレゼントする事にしよう。ペアリングにしよう。
気持ちを切り替えてそう思い、ベンチから立ち上がる。
屋台街に戻ると、アクセサリーが売っているお店もあった。
その中で1つ、いや、2つ目に留まる物があった。
青と紫が入り混じったブローチと、赤と紫が入り混じったブローチ。
どうやらこの店は、ちょっとした骨董品も売っているらしい。
そんな訳でサクッとブローチを2つ買って、やる事もないし、私は公爵領へ戻る事にした。
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